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第12楽章 問一。 2
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上級生たちがニヤニヤ笑っている。
1人がノートヴォルトに向かい「炎の槍」を放った。魔力加減こそ抑えているようだが、無抵抗のままのノートヴォルトの右手に当たり、手のひらを切り裂くと同時に火傷の傷を負わせた。
ジュっと嫌な音がする。
「んーっ!! んんーっ!」
「なんだよ、もうちょっとびびれよ」
コールディアは魔法が唱えられないように口を塞がれてしまった。
攻撃されておきながら無反応のノートヴォルトが気に喰わないらしい学生は、今度は隣の学生に「お前もやってみろよ」と言っている。
「ストラヴィス教授。僕も抵抗しますがいいですか?」
「お前がストラヴィス教授の呪縛を破れるわけないだろ」
精神、神経系の魔法攻撃の1つで体の自由を奪われている状態のノートヴォルト。
これを解除するには他人が異常を回復させるか、本人がかけた相手より大きな魔力で破るのが常套だ。
異常回復ならともかく、破られた場合かけた側の精神・神経は術を反射されたことによりダメージを受ける。
ノートヴォルトの「いいですか?」とはつまり反撃によってダメージを喰らうがいいのか、ということだ。
「風の矢」
そうこうしている内に「お前も」と言われた学生がまたノートヴォルトに攻撃魔法を使う。今度は頬を掠め、黒髪が数本一緒に落ちた。
かまいたちのように切られた頬からは、一筋の血が流れる。
「んーっ!!」
「動かない的は確実に当たっていいな。投石開始」
最後の学生が呪文を唱えると、無傷だった左手に小さな石つぶてが数発当たる。
小さくても速さのある石つぶては、手の甲に数発めり込むと下に落ちた。少し遅れて血の雫がその上に落ちる。
「痛そうー。それってピアノ弾けるの?」
攻撃しといてそう言うと、3人は何が面白いのかゲラゲラ笑い始めた。
叫ぶこともできないコールディアが、悔しさとノートヴォルトの血の滲む手を見て涙を浮かべる。
「じゃあこいつは借りていくぜ」
コールディアが乱暴に引っ張られると同時に、ノートヴォルトは目を閉じた。
そしてすぐに目を開けた時、知らん顔をするストラヴィス教授が痙攣したかと思うとその場に崩れた。
「ストラヴィス教授っ!?」
「彼女の手を離してくれないか。そうでないのならフリオッソの後を追うことになる」
ノートヴォルトが流れる血もそのままに、状況の飲み込めない上級生らに言った。
コールディアを掴んでいた学生がその手を離す。
しばらくノートヴォルトを恐れた目で凝視した後、倒れたストラヴィス教授に駆け寄った。
1人がノートヴォルトに向かい「炎の槍」を放った。魔力加減こそ抑えているようだが、無抵抗のままのノートヴォルトの右手に当たり、手のひらを切り裂くと同時に火傷の傷を負わせた。
ジュっと嫌な音がする。
「んーっ!! んんーっ!」
「なんだよ、もうちょっとびびれよ」
コールディアは魔法が唱えられないように口を塞がれてしまった。
攻撃されておきながら無反応のノートヴォルトが気に喰わないらしい学生は、今度は隣の学生に「お前もやってみろよ」と言っている。
「ストラヴィス教授。僕も抵抗しますがいいですか?」
「お前がストラヴィス教授の呪縛を破れるわけないだろ」
精神、神経系の魔法攻撃の1つで体の自由を奪われている状態のノートヴォルト。
これを解除するには他人が異常を回復させるか、本人がかけた相手より大きな魔力で破るのが常套だ。
異常回復ならともかく、破られた場合かけた側の精神・神経は術を反射されたことによりダメージを受ける。
ノートヴォルトの「いいですか?」とはつまり反撃によってダメージを喰らうがいいのか、ということだ。
「風の矢」
そうこうしている内に「お前も」と言われた学生がまたノートヴォルトに攻撃魔法を使う。今度は頬を掠め、黒髪が数本一緒に落ちた。
かまいたちのように切られた頬からは、一筋の血が流れる。
「んーっ!!」
「動かない的は確実に当たっていいな。投石開始」
最後の学生が呪文を唱えると、無傷だった左手に小さな石つぶてが数発当たる。
小さくても速さのある石つぶては、手の甲に数発めり込むと下に落ちた。少し遅れて血の雫がその上に落ちる。
「痛そうー。それってピアノ弾けるの?」
攻撃しといてそう言うと、3人は何が面白いのかゲラゲラ笑い始めた。
叫ぶこともできないコールディアが、悔しさとノートヴォルトの血の滲む手を見て涙を浮かべる。
「じゃあこいつは借りていくぜ」
コールディアが乱暴に引っ張られると同時に、ノートヴォルトは目を閉じた。
そしてすぐに目を開けた時、知らん顔をするストラヴィス教授が痙攣したかと思うとその場に崩れた。
「ストラヴィス教授っ!?」
「彼女の手を離してくれないか。そうでないのならフリオッソの後を追うことになる」
ノートヴォルトが流れる血もそのままに、状況の飲み込めない上級生らに言った。
コールディアを掴んでいた学生がその手を離す。
しばらくノートヴォルトを恐れた目で凝視した後、倒れたストラヴィス教授に駆け寄った。
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