学生だけど、魔術学院の音楽教授で最終兵器な先生を好きになってしまいました。

茜部るた

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第1楽章 18000Mpの叫び 4

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「君たち、このことはそのまま学院に報告させてもらうから…退学じゃないとしても僕の授業にはもう来るな」

 当人たちにその言葉が聞こえたかはわからないが、ノートヴォルトは自分のローブを脱ぐと素早くコールディアに被せた。
 騒ぎを聞きつけた学生が数人、戸口から様子を伺っている。その野次馬をかき分けて入って来たのはフレウティーヌだった。

「コールディア!!」

「フレウティーヌ、彼女を…何か問題があれば医務室へ…野次馬は解散しないなら保管庫の魔奏器全ての調律をしてもらう」

 それを聞いた野次馬は一斉に散り、フレウティーヌは彼らの目から庇うようにコールディアを医務室に連れ出した。

 ノートヴォルトは隣の部屋から楽譜を回収すると、自室へと戻ってしまった。

「なんだ今の…」

「ノートヴォルト教授、音楽だけじゃなかった」

「そりゃそうだろ、なんかあったら最前線に送られるんだぜ…」

「それって文系の教授でも?」

「関係ないわよ、魔術学院にいる教師と教授は全員そういう契約がされているもの」

「そうは言ってもあんな早く出せるか?しかもなんだよあの変形呪文」

 ほどなくして警備員が意識の微妙な3人を回収すると、やっとその場は収まった。

 翌日以降、彼らの姿を学院で見た者はいなかった。

 コールディアは学院から彼らの処分を聞くと、幾分安心した。
 さらに伯爵家からはいくらかの口止め料をもらったが、認めるのが悔しくて突き返してやった。
 私の気持ちは、家賃3か月分程度じゃ収まらない。そう思いながら。

 朝、彼女は授業前にノートヴォルト教授の部屋を訪ねた。

(助けてもらったとは言え、先生に見られたのが物凄く恥ずかしい…)

 コールディアは借りたままのシャツに加え洗って綺麗に畳んだローブを抱え、深呼吸してから教授の扉をノックした。

「コールディアです」

 珍しく、返事ではなく教授自らドアを開けた。
 彼女の上にある視線は、合う前にはもう部屋の中に向いていた。
 トレードマークの黒のローブの予備なのか、今日は濃紺のローブを纏っていた。
 ノートヴォルト教授に色が着いたのが珍しくて、戸口に突っ立ってしまった。

「…入りなよ」

「失礼します」

 部屋に入るなり、教授は「聞きたいことがあるんだけど」と言ってきた。
 もし昨日の詳細を聞かれたらどうしようかと思ったが、そうではなかった。
 ソファに座るよう指差されたので座ると、教授はピアノの椅子に座った。

「防音解除とあの雑音、どうやったの…言葉も無しに」

 自分のあの時の状況をあまり見られてはいなさそうだと思ったのも束の間、やっぱり色々と把握はされているらしい。
 口に物を詰め込まれていたのも、男三人に押さえつけられていたのも、はだけた胸を見られたのも死ぬほど恥ずかしくて即答できなかった。

「いや、またそのうち聞かせてくれ…これは返してもらうけど」

 そう言うといつの間にか握りしめていたローブとシャツを取り上げた。
 どちらもハンガーにかけられると、クローゼットの中に戻された。
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