94 / 119
元治元年
ごたいめ~ん(録)
しおりを挟む
(ふぅー)
白川さんを見送ったあと、私は肩の力を思いっきり抜いた。さっきから姿勢を正しっぱなしだったから肩が凝った。
(いろんなことを聞いたなぁ………)
えーっと、なんだったかな?私が九尾の狐の依り代で、妖狐の里の長たちにとっては最重要保護対象で、それから………。
『おーい。反芻するのはいいが、荷物をまとめておかなくて良いのか?』
(おっと、いけない。そうだった)
ここを出るつもりでいるんだから荷物はまとめておいた方がいいだろう。
(ところでほむろ)
『なんじゃ?』
(池田屋で私は何をほむろに返したの?)
『それを今更になって聞くのか?』
だって聞くのをずっと忘れてたんだもん。
聞いた結果、私が返した能力は"言語チート"でした。
遅いとか思っても気にしないであげてください。
(土方さんたちは、今日は帰ってこないのかな?)
『もう夕暮れじゃからな。明日になるかもな』
(じゃあとりあえず山南さんたちにだけでも伝えてこよう)
『まだ大広間におるじゃろう』
荷物の整理は今夜やるとして、まずはここを出る旨を伝えてこよう。勝手に転がり込んでおいて、音もなく出て行くのはちょっと申し訳ない気がする。
「え、雫出て行っちまうのか?迷惑だなんて思ってねえからここにいろよ」
「土方くんたちにも聞いてもらわないと、なんとも言えませんね。君をここに置くと決めたのは彼ですし」
早速山南さんたちに伝えると、そんな返答をいただいた。やっぱり土方さんや近藤さんを待たなきゃいけないっぽい。
その日、ほむろの言っていた通り土方さんたちは戻ってこなかった。彼らが隊を率いて帰ってきたのは、翌日だった。
御所に討ち入った長州軍は、会津と薩摩の連合軍の手によって退けられた。
味方同士の情報伝達が乱れ、新選組の行動は後手にまわってしまい、残念ながら活躍らしい活躍はできなかったらしい。
生き残った長州の残兵たちは、追撃から逃れながらも、京の街に火を放った。
その結果、京の街では約3万戸の建物が焼失。太平の世を揺るがす大事件となった。
この事件をきっかけに、長州藩は朝廷に歯向かった逆賊、朝敵として京を追われることになった。
この事件は、のちに禁門の変と呼ばれることとなる。
白川さんを見送ったあと、私は肩の力を思いっきり抜いた。さっきから姿勢を正しっぱなしだったから肩が凝った。
(いろんなことを聞いたなぁ………)
えーっと、なんだったかな?私が九尾の狐の依り代で、妖狐の里の長たちにとっては最重要保護対象で、それから………。
『おーい。反芻するのはいいが、荷物をまとめておかなくて良いのか?』
(おっと、いけない。そうだった)
ここを出るつもりでいるんだから荷物はまとめておいた方がいいだろう。
(ところでほむろ)
『なんじゃ?』
(池田屋で私は何をほむろに返したの?)
『それを今更になって聞くのか?』
だって聞くのをずっと忘れてたんだもん。
聞いた結果、私が返した能力は"言語チート"でした。
遅いとか思っても気にしないであげてください。
(土方さんたちは、今日は帰ってこないのかな?)
『もう夕暮れじゃからな。明日になるかもな』
(じゃあとりあえず山南さんたちにだけでも伝えてこよう)
『まだ大広間におるじゃろう』
荷物の整理は今夜やるとして、まずはここを出る旨を伝えてこよう。勝手に転がり込んでおいて、音もなく出て行くのはちょっと申し訳ない気がする。
「え、雫出て行っちまうのか?迷惑だなんて思ってねえからここにいろよ」
「土方くんたちにも聞いてもらわないと、なんとも言えませんね。君をここに置くと決めたのは彼ですし」
早速山南さんたちに伝えると、そんな返答をいただいた。やっぱり土方さんや近藤さんを待たなきゃいけないっぽい。
その日、ほむろの言っていた通り土方さんたちは戻ってこなかった。彼らが隊を率いて帰ってきたのは、翌日だった。
御所に討ち入った長州軍は、会津と薩摩の連合軍の手によって退けられた。
味方同士の情報伝達が乱れ、新選組の行動は後手にまわってしまい、残念ながら活躍らしい活躍はできなかったらしい。
生き残った長州の残兵たちは、追撃から逃れながらも、京の街に火を放った。
その結果、京の街では約3万戸の建物が焼失。太平の世を揺るがす大事件となった。
この事件をきっかけに、長州藩は朝廷に歯向かった逆賊、朝敵として京を追われることになった。
この事件は、のちに禁門の変と呼ばれることとなる。
0
お気に入りに追加
101
あなたにおすすめの小説
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
16世紀のオデュッセイア
尾方佐羽
歴史・時代
【第12章を週1回程度更新します】世界の海が人と船で結ばれていく16世紀の遥かな旅の物語です。
12章では16世紀後半のヨーロッパが舞台になります。
※このお話は史実を参考にしたフィクションです。
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
ミネルヴァ大陸戦記
一条 千種
ファンタジー
遠き異世界、ミネルヴァ大陸の歴史に忽然と現れた偉大なる術者の一族。
その力は自然の摂理をも凌駕するほどに強力で、世界の安定と均衡を保つため、決して邪心を持つ人間に授けてはならないものとされていた。
しかし、術者の心の素直さにつけこんだ一人の野心家の手で、その能力は拡散してしまう。
世界は術者の力を恐れ、次第に彼らは自らの異能を隠し、術者の存在はおとぎ話として語られるのみとなった。
時代は移り、大陸西南に位置するロンバルディア教国。
美しき王女・エスメラルダが戴冠を迎えようとする日に、術者の末裔は再び世界に現れる。
ほぼ同時期、別の国では邪悪な術者が大国の支配権を手に入れようとしていた。
術者の再臨とともに大きく波乱へと動き出す世界の歴史を、主要な人物にスポットを当て群像劇として描いていく。
※作中に一部差別用語を用いていますが、あくまで文学的意図での使用であり、当事者を差別する意図は一切ありません
※作中の舞台は、科学的には史実世界と同等の進行速度ですが、文化的あるいは政治思想的には架空の設定を用いています。そのため近代民主主義国家と封建制国家が同じ科学レベルで共存している等の設定があります
※表現は控えめを意識していますが、一部残酷描写や性的描写があります
甲斐ノ副将、八幡原ニテ散……ラズ
朽縄咲良
歴史・時代
【第8回歴史時代小説大賞奨励賞受賞作品】
戦国の雄武田信玄の次弟にして、“稀代の副将”として、同時代の戦国武将たちはもちろん、後代の歴史家の間でも評価の高い武将、武田典厩信繁。
永禄四年、武田信玄と強敵上杉輝虎とが雌雄を決する“第四次川中島合戦”に於いて討ち死にするはずだった彼は、家臣の必死の奮闘により、その命を拾う。
信繁の生存によって、甲斐武田家と日本が辿るべき歴史の流れは徐々にずれてゆく――。
この作品は、武田信繁というひとりの武将の生存によって、史実とは異なっていく戦国時代を書いた、大河if戦記である。
*ノベルアッププラス・小説家になろうにも、同内容の作品を掲載しております(一部差異あり)。
angel observer
蒼上愛三(あおうえあいみ)
ファンタジー
2997年、世界は崩壊し人類は進化した種と、退化した種に二分化している。その世界に辛うじて存在している少女ヒルデ、彼女には、産まれた場所も両親の記憶もない。ただ記憶しているのは、自らが悪魔であることだけだった。しかし、この世界に存在し続けるためには、人間に信仰あるいは恐れられる必要があったのだ。進化した種は、欲という概念を探求という概念に転換して行きまた、退化した種は、理性を捨てただ本能的欲求を満たすためだけに存在していた。そのため、ヒルデの存在理由が徐々に失われつつあった。そんなある日ヒルデは、崩れ去ったコロシアムの真ん中に一つの洋ドアがそびえ立っているのを発見する。ヒルデがそのドアを開けるとそこは2019年の日本のとある事務所であった。そこには、一人の男が昼寝をしていた、彼の名は、若田利彦。寝起き開口一番の言葉は、「天使を観測してくれないか」であった。日本の抱える自然災害は、天使による人類削減のための審判だった。ヒルデは未来を変えるため、人類を救うため、若田利彦と天使を観測することを決意する。
イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?
すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。
「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」
家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。
「私は母親じゃない・・・!」
そう言って家を飛び出した。
夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。
「何があった?送ってく。」
それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。
「俺と・・・結婚してほしい。」
「!?」
突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。
かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。
そんな彼に、私は想いを返したい。
「俺に・・・全てを見せて。」
苦手意識の強かった『営み』。
彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。
「いあぁぁぁっ・・!!」
「感じやすいんだな・・・。」
※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。
※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。
※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。
※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。
それではお楽しみください。すずなり。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる