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元治元年

告白(壱)

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 結局、私は新選組にて保護されることになったようだ。え、男所帯に女の子放り込むの?とか思ったけど、なんか部屋を一個くれるらしいので、それなら頑張ればなんとかなるかな。

 平隊士のほとんどは前川邸を使ってるみたいだから、好き勝手に出歩かなければ平隊士と遭遇することもないし、絡まれることもないだろうし、男装してるから女だってバレる可能性も低いでしょ。

 しかし幹部の方々はあまり私にその辺をうろついて欲しくない雰囲気を醸し出していた。自分では絶対に嘘だと思ってるんだが、どうもこの時代の人たちには私はすごい美人さんに見えるらしいから、その辺を歩くだけで目立つんだろう。

 ま、一番手っ取り早い話、私は引きこもってればいいのね。

 斎藤さんのあとについて、与えられた部屋まで歩く。八木邸は幹部や少数の平隊士が使っている屯所だから、夜になると廊下をうろつく人は少なくなる……と思われる。

 ていうかさ、斎藤さん影薄すぎだよね。さっき大広間でも沖田さんの横に座ってたけど、完璧に景色と同化してた。私なんて、ほむろが言ってくれるまで存在すら忘れ去ってたもん。思わず、不動さん、ってあだ名をつけそうになっちゃったよ。

 あ、不動産じゃないから。




(やっと寝れるー!)
『部屋に入って第一声がそれ?』

 押入れと文机があるだけの、あまり広くもない部屋だが、それでも雑魚寝よりはいいでしょ。あ、雑魚寝してる平隊士の人たちにはごめんなさい。

(寝れることってのは大事なことなんだよ?人間の生理的反応なんだから)
『よくわからん』
(つまり自然の摂理ってことよ)

 荷物は何も取り上げられていなくて、腰に差してきた刀もそのままだ。旅の荷物と刀を文机の横に置いて、私は着替える。男物の着物以外にも着替えは持ってきているから寝間着には困らない。

 明日着る分の上着の袴はあるが、この血まみれの着物は洗濯したいな。部屋の前にある中庭に井戸があったけど、幹部の人に言えば使わせてくれるかな?

 押入れから布団を取り出し、それを部屋の真ん中に敷く。2017年ではほとんどベッドだったから、布団なんて新鮮だ。この部屋は空き部屋だったのか、布団も綺麗なままだった。

 でもちょっと埃っぽいから、明日外ではたいてこよう。ちょうどこの部屋は中庭に面してる。

(新選組の幹部はいい人ばっかだったよね)

 布団の中に潜り込みながら、私はほむろに念話を送る。広間を出たあと、広間で幹部たちが交わしていた会話をほむろから聞いたので、私にも彼らが悪い人じゃないって理解できている。

『そうじゃな。人斬り集団との噂を聞いておったが、なんとも根が優しい連中ばかりじゃった』
(うん)

 そこまで言って、私はふと黙り込んだ。
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