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龍之介 合宿一日目 昼
龍之介 合宿一日目 昼 その5
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他のメンバーの部屋割りはというと、屋敷の西側二階には、中央階段から順に蒼一、奈月、キャロルの部屋になっている。西側一階は中央から、空き室、陽菜乃、桜子という順序だ。
風呂場に近づくと、硫黄のにおいがしてきた。ここは天然温泉だとホームページに書いてあった。
和樹が風呂場の扉を開けると、強烈な硫黄の匂いと、木の匂いも充満していた。好みはありそうだが、龍之介は嫌な香りではない。ヒノキ風呂だ。大きい窓から日がさすので、昼間入っても気持ちがよさそうだ。
「広いわあ。これは泳げるで、楽しみや」
「みんなの迷惑にならない程度にしましょうね、和樹」
ルールやマナーに厳しいクリスだが、風呂で泳ぐのはいいんだな、と龍之介は心の中で突っ込んだ。合宿といってもほぼ遊びの旅行とかわらないので、あまり細かく言うつもりはないのかもしれない。
厨房に繋がっている食堂に入ると、本格的に食欲のそそる香りが漂っていた。
「わたしたちも手伝いましょうか」
「そうだな」
龍之介はクリスの言葉にうなずいた。
料理が不得手な自分は出る幕がないと思っていた龍之介だが、盛り付ける前の皿を洗って拭いたり、箸や飲み物を並べたりと、意外にやることが多かった。これなら、もっと早く手伝いに来ればよかった。
陽菜乃と桜子の指示に従って食事の準備が整った頃に、蒼一、キャロル、奈月の三人が二階から降りてきた。時間は十六時近くになっていたため、昼も兼ねた早めの夕食というところだ。
「手伝えなくてごめんだヨ。明日の朝食はワタシが準備するネ」
「私もやる。もっと早く降りてくるはずだったのに、蒼一と関わるとろくなことにならないんだから」
「俺のせいにするな」
「あのね、どう考えても……」
「まあまあ、いいのよ、私たち料理を作るの好きだから。ね、陽菜乃」
また蒼一と奈月が言い争いになりそうなところを、桜子が割って入った。
「そうね。でも、片づけは手伝ってね」
「もちろんだヨ!」
なんとか和やかな空気に戻り、全員そろって夕食となる。
メニューは、五目炊き込みご飯となめこの味噌汁、肉じゃが、カツオのたたき、マカロニサラダだ。
実家暮らしの龍之介としては食べ慣れたメニューだが、入っている具や味付けが違い、母の料理とはまた違うのでおもしろい。そして美味しかった。
クリスはもちろん、キャロルも箸を使っているがどこかぎこちない。フォークやスプーンも用意しておいたのだが、使わないところを見ると練習中なのかもしれない。
「おかわりあるからね」
「食う!」
一番乗りは和樹だ。その姿は育ち盛りという表現が似合う。
「二十歳近くになって、まさかまだ育つ気か」
「和樹くんは伸びるつもりで、いっぱい食べるようにしているんだと思うな」
龍之介の言葉に、隣りに座る桜子が同意した。
「桜子、美味かったよ、ごちそうさま」
龍之介は空になった茶碗を重ねた。
「もう食べないの?」
「ああ。この後のマジックのお披露目会、俺の講義から始まるだろ。早めに戻って準備するわ」
龍之介は桜子の肩にポンと手を乗せて立ち上がり、使った茶碗を厨房で洗ってから部屋に戻った。
風呂場に近づくと、硫黄のにおいがしてきた。ここは天然温泉だとホームページに書いてあった。
和樹が風呂場の扉を開けると、強烈な硫黄の匂いと、木の匂いも充満していた。好みはありそうだが、龍之介は嫌な香りではない。ヒノキ風呂だ。大きい窓から日がさすので、昼間入っても気持ちがよさそうだ。
「広いわあ。これは泳げるで、楽しみや」
「みんなの迷惑にならない程度にしましょうね、和樹」
ルールやマナーに厳しいクリスだが、風呂で泳ぐのはいいんだな、と龍之介は心の中で突っ込んだ。合宿といってもほぼ遊びの旅行とかわらないので、あまり細かく言うつもりはないのかもしれない。
厨房に繋がっている食堂に入ると、本格的に食欲のそそる香りが漂っていた。
「わたしたちも手伝いましょうか」
「そうだな」
龍之介はクリスの言葉にうなずいた。
料理が不得手な自分は出る幕がないと思っていた龍之介だが、盛り付ける前の皿を洗って拭いたり、箸や飲み物を並べたりと、意外にやることが多かった。これなら、もっと早く手伝いに来ればよかった。
陽菜乃と桜子の指示に従って食事の準備が整った頃に、蒼一、キャロル、奈月の三人が二階から降りてきた。時間は十六時近くになっていたため、昼も兼ねた早めの夕食というところだ。
「手伝えなくてごめんだヨ。明日の朝食はワタシが準備するネ」
「私もやる。もっと早く降りてくるはずだったのに、蒼一と関わるとろくなことにならないんだから」
「俺のせいにするな」
「あのね、どう考えても……」
「まあまあ、いいのよ、私たち料理を作るの好きだから。ね、陽菜乃」
また蒼一と奈月が言い争いになりそうなところを、桜子が割って入った。
「そうね。でも、片づけは手伝ってね」
「もちろんだヨ!」
なんとか和やかな空気に戻り、全員そろって夕食となる。
メニューは、五目炊き込みご飯となめこの味噌汁、肉じゃが、カツオのたたき、マカロニサラダだ。
実家暮らしの龍之介としては食べ慣れたメニューだが、入っている具や味付けが違い、母の料理とはまた違うのでおもしろい。そして美味しかった。
クリスはもちろん、キャロルも箸を使っているがどこかぎこちない。フォークやスプーンも用意しておいたのだが、使わないところを見ると練習中なのかもしれない。
「おかわりあるからね」
「食う!」
一番乗りは和樹だ。その姿は育ち盛りという表現が似合う。
「二十歳近くになって、まさかまだ育つ気か」
「和樹くんは伸びるつもりで、いっぱい食べるようにしているんだと思うな」
龍之介の言葉に、隣りに座る桜子が同意した。
「桜子、美味かったよ、ごちそうさま」
龍之介は空になった茶碗を重ねた。
「もう食べないの?」
「ああ。この後のマジックのお披露目会、俺の講義から始まるだろ。早めに戻って準備するわ」
龍之介は桜子の肩にポンと手を乗せて立ち上がり、使った茶碗を厨房で洗ってから部屋に戻った。
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