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5 ニセモノの写真を見抜け!
ニセモノの写真を見抜け! 3
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「や、やっぱり、隼人も呼びます!」
わたしはスマートフォンを取り出して、メッセージを送った。
隼人、来てくれるかな……。
でも、それを期待して待っているだけじゃいけないよね。
わたしはわたしで考えなきゃ。
わたしたちで話したのは、移動時間のこと。
金髪センパイの家から学校まで、本当に一時間かかるのか。
美術館から学校まで、本当に二時間半かかるのか。
電車の特急を使ったり、自家用車を使ったりした場合を考えると、もっと早く到着することもできる。
金髪センパイの場合は、車を飛ばせば四十分間で移動できる可能性があった。
でもそれは、渋滞に引っかからない場合のこと。そううまくいくかな? って大地センパイが言ってた。
リーゼントセンパイの場合は、奇跡的な乗り継ぎができたとして、計算上では二時間に縮まった。仮に二時間で移動できたとしても、学校に着くのは五時。警備員が巡回から戻ってくる時間なので、犯行は不可能だった。
ということは、金髪センパイが犯人なのかな? どうなんだろう……。
やっぱり、決定打がみつからなかった。
頭を抱えていると、
「チース」
「来てやったぜ」
金髪センパイとリーゼントセンパイが、部室に入ってきた。
「あわわ、来ちゃった……!」
写真で見るより、ワルそうな感じだよ!
金髪センパイは頭の上半分の髪を結ぶハーフアップにしていている。Yシャツのボタンをいくつか外して、胸元に金のネックレスが見えていた。
リーゼントセンパイは眉を短くしていて、三白眼で目つきが悪い。ブレザーを短くして、スラックスを下げて、両手をそのポケットに入れている。
さすが不良さん。こ、こわい……!
「俺たちはちゃんと写真まで提供してるんだからな」
「これで、どっちも犯人じゃねえとか言ったら、ブッとばすぞ」
うわあっ、ブッとばされる!
「きみたちには、撮影日の確認ができるものを持ってきてほしいと頼んだはずだが、持ってきているか?」
生徒会長は不良さんにひるみもせずに、堂々としている。すごいなあ。
「わかってる。ほらよ」
金髪センパイが、生徒会長にスマートフォンを渡した。
その画面には、テーブルに置いてあるのと同じ、誕生会の写真が映っていた。
「そのスマホで写したんだ」
生徒会長が詳細ボタンを押すと、撮影日と時間が表示される。
先週の日曜日の、三時五十分で間違いない。
「きみは?」
「俺は、写した写真はすぐにパソコンに移動するんだよ」
そう言ったリーゼントセンパイは、ノートパソコンを机に置いて、美術館の写真を表示させた。
そこから交代した生徒会長が詳細画面を開いた。作成日時も更新日時も、先週の日曜日の三時で間違いなかった。
「問題なし、か……」
生徒会長は眉を寄せてつぶやいた。
「あとは、なにを確認したいんだよ。俺たちは逃げも隠れもしねえけど?」
リーゼントセンパイが言った。ふるっと長いリーゼントが揺れる。余裕シャクシャクという感じだ。
もしかして、二人とも、本当に犯人じゃないのかな……?
でも、タイミング的に、この二人しかいないと思うんだけど。
どうしよう、もう本当に時間がないよ!
「ほら、結局、俺たちが犯人だっていうショーコはなかったんだろ? どう落とし前をつけてくれんだよ」
金髪センパイが生徒会長にせまった。
「いつもすましてるおキレーな生徒会長には、ぜひギャフンと言ってもらいたいぜ」
「そっちのかわいい女の子が、遊んでくれるんでもいいけどな」
「えっ、わたし?」
わたしはビクリと肩を震わせた。
不良の遊びってなんだろう。なんだか、怖そうだよ。
「紫苑のことはどうでもいいが、うちのかわいい後輩には関わらないように」
大地センパイがすっと立ち上がって、わたしを背中にかくしてくれた。
「大地、ぼくのことはどうでもいいとは、聞き捨てならない」
「おまえは自力で、どうにでもなるだろ」
そんな話をしていると、外から駆け足が聞こえて、乱暴にドアが開いた。
「マユカ、大丈夫か⁉」
「隼人っ!」
髪や制服を乱した隼人が部室に入ってきた。ゼイゼイと息を切らせている。
わたしはスマートフォンを取り出して、メッセージを送った。
隼人、来てくれるかな……。
でも、それを期待して待っているだけじゃいけないよね。
わたしはわたしで考えなきゃ。
わたしたちで話したのは、移動時間のこと。
金髪センパイの家から学校まで、本当に一時間かかるのか。
美術館から学校まで、本当に二時間半かかるのか。
電車の特急を使ったり、自家用車を使ったりした場合を考えると、もっと早く到着することもできる。
金髪センパイの場合は、車を飛ばせば四十分間で移動できる可能性があった。
でもそれは、渋滞に引っかからない場合のこと。そううまくいくかな? って大地センパイが言ってた。
リーゼントセンパイの場合は、奇跡的な乗り継ぎができたとして、計算上では二時間に縮まった。仮に二時間で移動できたとしても、学校に着くのは五時。警備員が巡回から戻ってくる時間なので、犯行は不可能だった。
ということは、金髪センパイが犯人なのかな? どうなんだろう……。
やっぱり、決定打がみつからなかった。
頭を抱えていると、
「チース」
「来てやったぜ」
金髪センパイとリーゼントセンパイが、部室に入ってきた。
「あわわ、来ちゃった……!」
写真で見るより、ワルそうな感じだよ!
金髪センパイは頭の上半分の髪を結ぶハーフアップにしていている。Yシャツのボタンをいくつか外して、胸元に金のネックレスが見えていた。
リーゼントセンパイは眉を短くしていて、三白眼で目つきが悪い。ブレザーを短くして、スラックスを下げて、両手をそのポケットに入れている。
さすが不良さん。こ、こわい……!
「俺たちはちゃんと写真まで提供してるんだからな」
「これで、どっちも犯人じゃねえとか言ったら、ブッとばすぞ」
うわあっ、ブッとばされる!
「きみたちには、撮影日の確認ができるものを持ってきてほしいと頼んだはずだが、持ってきているか?」
生徒会長は不良さんにひるみもせずに、堂々としている。すごいなあ。
「わかってる。ほらよ」
金髪センパイが、生徒会長にスマートフォンを渡した。
その画面には、テーブルに置いてあるのと同じ、誕生会の写真が映っていた。
「そのスマホで写したんだ」
生徒会長が詳細ボタンを押すと、撮影日と時間が表示される。
先週の日曜日の、三時五十分で間違いない。
「きみは?」
「俺は、写した写真はすぐにパソコンに移動するんだよ」
そう言ったリーゼントセンパイは、ノートパソコンを机に置いて、美術館の写真を表示させた。
そこから交代した生徒会長が詳細画面を開いた。作成日時も更新日時も、先週の日曜日の三時で間違いなかった。
「問題なし、か……」
生徒会長は眉を寄せてつぶやいた。
「あとは、なにを確認したいんだよ。俺たちは逃げも隠れもしねえけど?」
リーゼントセンパイが言った。ふるっと長いリーゼントが揺れる。余裕シャクシャクという感じだ。
もしかして、二人とも、本当に犯人じゃないのかな……?
でも、タイミング的に、この二人しかいないと思うんだけど。
どうしよう、もう本当に時間がないよ!
「ほら、結局、俺たちが犯人だっていうショーコはなかったんだろ? どう落とし前をつけてくれんだよ」
金髪センパイが生徒会長にせまった。
「いつもすましてるおキレーな生徒会長には、ぜひギャフンと言ってもらいたいぜ」
「そっちのかわいい女の子が、遊んでくれるんでもいいけどな」
「えっ、わたし?」
わたしはビクリと肩を震わせた。
不良の遊びってなんだろう。なんだか、怖そうだよ。
「紫苑のことはどうでもいいが、うちのかわいい後輩には関わらないように」
大地センパイがすっと立ち上がって、わたしを背中にかくしてくれた。
「大地、ぼくのことはどうでもいいとは、聞き捨てならない」
「おまえは自力で、どうにでもなるだろ」
そんな話をしていると、外から駆け足が聞こえて、乱暴にドアが開いた。
「マユカ、大丈夫か⁉」
「隼人っ!」
髪や制服を乱した隼人が部室に入ってきた。ゼイゼイと息を切らせている。
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