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3 まだまだ続くよ! 試練その3
まだまだ続くよ! 試練その3 5
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「ありがとう! 何年も見つけられなかったタイムカプセルの場所を特定するなんて。二人とも、さすが名探偵だ!」
「生徒会長……」
わたしは生徒会長の言葉に、ジーンと感動してしまった。
「ウソ、こんなに早く見つけられちゃった」
美香センパイが青ざめている。
なんだか、かわいそうになってきた。
でも、それと同じくらい、タイムカプセルの中を見たくなってきたよ! へっへっへ。わたしってイジワルかな。
五、六歳のころ書いたことなんだから、なにが書いてあっても、そこまで恥ずかしいことじゃないと思うんだけどなあ。
それに、美人の美香センパイがオロオロととまどっている姿が、とってもかわいいんだ。
「ヨーシ! じゃあ、カプセルを掘りに行こう!」
「オウ!」
美香センパイ以外が声をそろえる。
「本当に、行くの?」
「行くの!」
わたしは美香センパイの背中を押した。
わたしたちは用具置き場からスコップを借りて、校舎の南側に向かった。
校舎から少し距離をあけて並んでいるイチョウの木の列に、一本だけクスノキが立っていた。
そのクスノキの太い幹をぐるりと見て回ると、根元の近くに「☆」と彫られていた。
「間違いない。ぼくが書いたものだ」
生徒会長がうわずった声を出した。
「じゃあ、タイムカプセルを掘ろうか」
大地センパイのかけごえで、大地センパイと生徒会長がスコップで掘り始めた。隼人もやると言ったんだけど、スコップが二つしかなくて、「力があるヤツが掘ったほうが早いからね」って断られちゃってた。
「どうしてイチョウの中に、クスノキがはえてるんだろうね。間違えて植えちゃったのかな?」
わたしが尋ねると、隼人は首をかしげた。
「たぶん、野鳥や小動物が運んだんじゃないかな」
隼人は、センパイたちが掘っている姿を眺めながら答えた。
「たとえば鳥でいうなら、ヤマガラやカケスは木の隙間や土の中に木の実を貯蔵するんだ。食べた実の種がフンと共に排出されて、芽がでることもある。クスノキは秋に実をつけるから、動物たちによく食べられるんだ」
「そっか。木の実って運ばれたいから、おいしい実をつけるのかもしれないね」
動けない木も、そうやって種を遠くまで運んでもらっているのかと思うと、よくできてるよね。
そんなことを話しているうちに、あっという間に穴の横に黒い土が山と積まれた。
「あった」
生徒会長はスコップで銀色のカプセルをすくい出した。五百ミリリットルのペットボトルくらいの大きさで、卵型のステンレス製のカプセルだった。
ちゃんとタイムカプセル専用の入れ物を買ったみたいで、それはサビたりカビたりしていなかった。
「よし、開けるぞ」
「待って兄さん。私に貸して」
美香センパイが駆け寄った。
せめて、自分の手でカプセルを開けたいんだろうね。
「いいよ、美香が開けて」
生徒会長は美香センパイにカプセルを渡した。
「ありがとう」
美香センパイはカプセルを両手で受け取ると、クルリと振り返った。
「ん? どうした美香」
美香センパイはそのまま走って、大きく手を振りかぶると――
カプセルを投げた!!
「生徒会長……」
わたしは生徒会長の言葉に、ジーンと感動してしまった。
「ウソ、こんなに早く見つけられちゃった」
美香センパイが青ざめている。
なんだか、かわいそうになってきた。
でも、それと同じくらい、タイムカプセルの中を見たくなってきたよ! へっへっへ。わたしってイジワルかな。
五、六歳のころ書いたことなんだから、なにが書いてあっても、そこまで恥ずかしいことじゃないと思うんだけどなあ。
それに、美人の美香センパイがオロオロととまどっている姿が、とってもかわいいんだ。
「ヨーシ! じゃあ、カプセルを掘りに行こう!」
「オウ!」
美香センパイ以外が声をそろえる。
「本当に、行くの?」
「行くの!」
わたしは美香センパイの背中を押した。
わたしたちは用具置き場からスコップを借りて、校舎の南側に向かった。
校舎から少し距離をあけて並んでいるイチョウの木の列に、一本だけクスノキが立っていた。
そのクスノキの太い幹をぐるりと見て回ると、根元の近くに「☆」と彫られていた。
「間違いない。ぼくが書いたものだ」
生徒会長がうわずった声を出した。
「じゃあ、タイムカプセルを掘ろうか」
大地センパイのかけごえで、大地センパイと生徒会長がスコップで掘り始めた。隼人もやると言ったんだけど、スコップが二つしかなくて、「力があるヤツが掘ったほうが早いからね」って断られちゃってた。
「どうしてイチョウの中に、クスノキがはえてるんだろうね。間違えて植えちゃったのかな?」
わたしが尋ねると、隼人は首をかしげた。
「たぶん、野鳥や小動物が運んだんじゃないかな」
隼人は、センパイたちが掘っている姿を眺めながら答えた。
「たとえば鳥でいうなら、ヤマガラやカケスは木の隙間や土の中に木の実を貯蔵するんだ。食べた実の種がフンと共に排出されて、芽がでることもある。クスノキは秋に実をつけるから、動物たちによく食べられるんだ」
「そっか。木の実って運ばれたいから、おいしい実をつけるのかもしれないね」
動けない木も、そうやって種を遠くまで運んでもらっているのかと思うと、よくできてるよね。
そんなことを話しているうちに、あっという間に穴の横に黒い土が山と積まれた。
「あった」
生徒会長はスコップで銀色のカプセルをすくい出した。五百ミリリットルのペットボトルくらいの大きさで、卵型のステンレス製のカプセルだった。
ちゃんとタイムカプセル専用の入れ物を買ったみたいで、それはサビたりカビたりしていなかった。
「よし、開けるぞ」
「待って兄さん。私に貸して」
美香センパイが駆け寄った。
せめて、自分の手でカプセルを開けたいんだろうね。
「いいよ、美香が開けて」
生徒会長は美香センパイにカプセルを渡した。
「ありがとう」
美香センパイはカプセルを両手で受け取ると、クルリと振り返った。
「ん? どうした美香」
美香センパイはそのまま走って、大きく手を振りかぶると――
カプセルを投げた!!
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