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この国の秘密(シルリラside)
しおりを挟むふと、目が覚めると
私は私ではなくなっていた
はじめはそれはそれは驚いたけど、数日がたつとこれが普通だと思うようになった
両親もとても優しくて、欲しいものは何だっててに入れることができた
両親は名の知れた貴族らしく、それはそれは豪華だった
前の私とは大違いでもう二度とあちらには戻りたくないと思うほど幸せだった
そんなある日、私が欲しいというものを両親が探しに行った際に
この世界の両親が事故で亡くなった
とても悲しかったけど、これ以上に今後私がどうなってしまうのか不安だった
私は両親が残した屋敷を残せるほどの能力はなかったし
親戚が別の国に行ってみたらとおすすめしてくれたので、行くこととした
こちらの国では両親が居ないと良い縁に会うことができないし
素敵な人と出会いたいと思ったことと
その別の国が私の知っているゲームの世界によく似ていたからだ
ヒロインは別の国からやって来た留学生で
数人のヒーローと恋愛をするというものだ
私の中では神ゲーだったのだけど、R指定があったので周りで知っている子はいなかった
で、実際に留学してみたらそのゲーム通りで
登場人物も建物も内容だって同じだった
私は嬉しくなって、神様が私にご褒美をくれたんだって喜んだわ
そのゲームでの推しが第一皇子であるアビス様だ
国のトップになれるということももちろん嬉しいけど、アビス様の顔が好みなのだ
はじめはまったく表情を見せないのだが、少しずつ表情を出すようになり
最後の所の笑顔がとっても素敵なのだ!
そして、なにより…
この話のみ悪役令嬢がいて、邪魔をしてくる
私はそんな悪役令嬢を押しのけて彼と結婚ができるなんて楽しそうだわ
まぁ、その悪役令嬢をこの国から追い出したり処罰したり出来ないんだけど…
ちょっとそこは残念よねぇ
どうして、破棄しかできないのかしら
私はアビス様に近づいて、他のヒーローにもちょこちょこ手を出してイベントを進めていったわ
ゲーム通りの展開でとってもサクサク進める事が出来て、
私は悪役令嬢からアビス様を手に入れることができたわ!
少し、物語と違ったけど
婚姻が出来て、この国の妃となれたから私はもう幸せだわ
あれから数年たって、子供ができて
色々と大変だったけど、アビスの嬉しそうな顔を見れるようになったから
辛かったことももう今では許しちゃってる
それに、子供がいるからこの国はもう私の好きにできるしね
「シルリラ、君に会わせたい人がいるんだ」
「? 会わせたい人…?」
「前に話をしただろう?」
私はそんな事言われてたかしらと思いつつも話を合わせることとした
アビス様は嬉しそうに笑い、私の腕を引く
子供のように嬉しそうにはしゃぐアビス様に連れてこられたのは大きな扉の前
「へ…?」
「前に行っただろ? 俺の母上に会わせたいって」
「…どういうこと?」
確かに本編ではアビス様のお母様は病に臥せっていると出ていたが
どうして、こんなに大きな頑丈そうな扉の中にいるのだろう
その事に意識がいきすぎてアビス様が一人称を俺と言ったことを気にしなかった
幼い頃にしか使ってなかったらしい一人称に
「さあ、シルリラ 入ってみて」
「えぇ、」
私が足を踏み入れるとそこには女性と見たことのないそれらがいた
〈! もう、そんなにたったんだね〉
声ではない何かが私にも話しかけてくる
「あぁ。 新しい国の母だ」
どういうことか聞こうと口を開こうとしたが動かない
アビス様は私の横を通り、女性へと近づく
「母上、迎えに来ましたよ。 さあ、帰りましょう?」
女性を軽々と持ち上げると嬉しそうに女性に微笑みながら私の隣を通っていく
まって、待ってよ!!
アビス様!? アビス!!!??
私がどれだけ叫んでも彼には届かない
声をだそうにも口が動かない
〈僕たちの新しいお母さんだぁ!〉
〈えへへ、お母さん、お母さん〉
何かわからないそれらが嬉しそうに私を動かす
抗おうとするが、動かない
待って、助けて!!
お願い!! 助けっ!!!!
〈ねぇ、この人 嫌いなやつの臭いがする〉
〈?〉
〈僕らの大切な人を貶めたやつと同じ〉
〈ほんとだ!〉
〈こいつ、あいつだ!〉
〈許さない! 僕たちの大切な人を裏切ったやつは〉
〈貶めたやつは〉
〈はめたやつは〉
〈〈〈一生償え〉〉〉
私は危機感を覚えてなんとか逃げ出そうとするが
得意な魔法も使えない
どうして、こうなったのか私にはわからない
わからないけど、それらは私の事が憎いらしい
「…じゃあ、またね。 国の母」
アビス様の今までで、見たことのないくらい
幸せな顔と共に扉の向こうの光は消えた
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