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第一章
05
しおりを挟む過去の話は一旦終わりと俺が言うと急に周りが暗くなった
窓の外をみるとどうやら日が落ちたようだ
「えっと…、夜になった??」
「の、ようですね。」
つまり、何かの会話又はイベントを進めることによりその日の行動が終わって
夜になるということなのだろう
で、眠ると多分朝になるはずだ
ということは、必ず何かしらのイベントをやらないと次の日にはならないということだ
「では、主様。 お部屋までご案内します」
ロビンはソファから立ち上がり俺に手を差し出す
その動作は普段からやっていることだから染み付いているというかのように似合っていた
俺は戸惑いつつも、その手をとって立ち上がった
「主様のお部屋は3階でよろしかったでしょうか?」
「え、どこでも良いけど…」
2階までは確認したが、3階はまだどうなっているのかみていないため適当な返事をする
「この家の中で一番大きな部屋が3階のお部屋でしたので、そちらにしましょう」
「あ、はい。」
階段を多く昇るのは面倒だが、ロビンがそこだと、決めてくれたようなので俺は従うことにした
階段を昇り終えて、通路を歩く
3階にもいくつか部屋があるようでデザインの違う扉があった
「こちらの部屋になりますね」
扉は、俺好みのデザインになっており
すぐに気に入った
どんな部屋なのか楽しみになり、俺は開けようと思ったが、聞きたい事があったので
扉の横に立っているロビンの方を向く
「……、ずっと思ってたんだけどさ」
「はい」
「なんで、俺の名前を聞いてくれないんだ?」
「……」
何度か名前を伝えようとはしたが、その度にロビンに止められてしまい
未だに教えられないでいる
普通は出会って早々に教えるものだと思うのだが初めから俺の事を主様と呼んでおり
名前を言うに言えないままだ
「ロビン…?」
距離は近いはずなのに、暗いためロビンの表情が見えない
あちらからも俺の表情は見えていないだろうが
「主様、ここでは主様の名前には特別な意味があります」
「特別な、意味?」
俺は首をかしげる
「ええ、我々の名前はもう決められたものです。
ですが、主様の名前には意味があり、呼ぶということは、」
「呼ぶというのとは…?」
「それは、主様にとって、特別な相手になったということになります」
ロビンを喚んだのは俺だから今でも、特別だと思うのだが…
名前を呼ぶことにそれ以上の特別という何かがあるのだろか?
一体なんだろうかと、考えていると
ロビンは俺に近づいて、耳元で話しだす
「……主様が、私を欲しいと思ってくださった際には、お名前で呼ぶことを了承をいただけると嬉しいです」
「へ? 欲しい??」
近くで聞こえた声と息に驚いて耳を押さえつつ俺は後ろに一歩下がる
近くにあった顔が遠くなり、一瞬見えたロビンの目がまるで獲物を狙っている獣のようだった
「…私は貴方の騎士です。貴方のためならば、喜んで夜もお供しますよ」
夜のお供…?
その言葉と先ほど見えた獲物を狙う目の意味がわかり俺は顔を熱くする
「!!!?!?」
理解ができてしまい、プチパニックを起こす
わからなければ、よかったのにこういう時に限り何故わかってしまったのかと焦り、恥ずかしくなり扉を開けて部屋の中へと逃げ込んだ
「…おやすみなさい、主様。」
ロビンはそう言うと優しく扉を閉じた
優しいロビンの声と先ほど耳元で話された声との違いが頭の中でぐるぐると回る
扉の向こうではコツコツと靴の遠ざかる音が聞こえて
彼が靴を履いていたことに気づくがそれを伝えられる心は今は持っておらず
俺は部屋にあったベットに倒れこむ
「、まさかの、そういう感じかよぉ…」
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