最終確認役として選ばれたらしい

灯月

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第一章

04

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少し、落ちいてきて
俺は口寂しくなったので、喉を潤すためにも果物水を飲む
飲む度に甘くて美味しいという感想が浮かび嬉しくていつの間にか口角をあげていた

ロビンはそんな俺を優しく見ており、まるで、彼の方が年上かのように見えた

「…それに、主様は魅力的ですよ? 年だって私とそんなに変わらないように見えますし」
「え?」

前半は小さめの声だったため聞き取りにくかったが、後半の年齢の事に関しては聞き取れた

「むしろ、年下にしかみえません。」
「……え?」

それは、おかしい。
俺から見たら、彼は20代後半に見えるし
俺は30代後半だ
どう頑張ったって、10才差は違うだろう

「私は今は27ですが、よろしければ、主様の年齢は?」
「……36だけど、」
「はい? ……そうは見えませんが??」

ロビンは何処かから出したかわからないが鏡を俺に渡してきた
俺は鏡で今の自分を確認すると、懐かしい顔があった

「…若返ってる???」

髭がなく、白髪もない
目の周りの隈やシワもない
目の色や髪の色は昔から変わらない色で、安心した
異世界にトリップするとたまに自分の髪の色や目の色が変わっていたりとか
もう、自分自身とは違った顔になったりする場合もあるので、そうなっていないことに、だ

流石に30年も生きていると、自身の顔に飽きてはくるが慣れてもきている
急に別人のように変わることがなくてよかった

「…ちなみに、主様。 その頃のご年齢は?」
「…25くらいかと、首に痣もないし…」

27になるくらいに俺は事故に巻き込まれて、首や肩、腕にいくつかの傷や痣ができる
避けようと思えば多分、避けれただろうが
もし、避けていた場合その事故は人が数人亡くなるような大きな事故となっていただろう

信号を待つ歩道には両手あれば数えられるくらいの人がいた
そこに向かって走っている車があり、このままでは大きな事故となると判断し、俺はあえて乗っていたバイクを使い、突っ込んでいった
そのお陰で、車の運転手は気づき、ハンドルをきり
予想以上にスピードが出ていた車はスピンし、近くにあった電信柱へとぶつかり怪我人はその車の運転手と俺だけですんだ
車の運転手は運転前に薬を飲んでいたとのことで急な眠気におそわれ、意識が朦朧していたとのことだ

信号待ちをしていた何人かに助けてもらい、このままではあぶないところだったと感謝された
とりあえず、誰も命を落とすことなかったので、よかったのだろう。
ちなみに、その事故は大きくは取り上げられることもなく、報道されることもなかった

…俺のバイクはもう使えない状態になったし、上手く受け身をとったのだが、俺の左腕は細かな作業をする際に上手く動かなくなった

「……そういや、痛くないし 動くな」

怪我を負ってから約10年たつのだ、いつの間にかあまり使わないように無意識のうちに動かしていたので、いままで気づかなかった

「…首に痣ですか?」
「ん、あぁ 昔にね。 でも無いみたいだし」
「誰にやられたのですか?」
「誰って、……え?顔怖いよ?」

今にも誰かを殺してきそうな表情をしている
笑ってはいるが、目は全く笑っていない

「あー、いいの。いいのその事は」

俺の中では過去の事で
今のこの世界には全く関係のない事なのだから


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