最終確認役として選ばれたらしい

灯月

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第一章

02

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「??? ロビンさん…?」

やはり、なにか嫌なことをしてしまったのかと不安になり俺は聞こうとするが
ロビンは何もなかったかのように俺から離れて飲み物を取ってくると言って見えないところへといってしまった

「……、はぁー」

俺は一人になれた安心感と先ほどのロビンの表情の不安にため息をついた

「…俺、なにしてんだよ」

前の世界では、異性だろうと同性だろうと愛しあっていれば結ばれることが当たり前だった
俺が生まれる前までは違った考えだったらしいけど、その時代を知らない俺からしたら
何故、両想いなのに一緒にいられないのかが不思議だ

…漫画やゲームの中でも一部は同性向けの恋愛ゲームもあるが、数が少ない
男性向けはR指定のものが多く、俺はやったことがない
女性向けはいくつかお薦めされて、感想を教えてほしいと言われたのでやったがなかなか楽しかった覚えがある
ちなみに、そのゲームはR指定無しのものだ

「…、イケメンが出て、好感度がある…」

そう、つまりこの世界は女性向け…
いや、乙女ゲームの世界に似た設定で用意されたのではないかと答えを導きだしたのだ

「いや、確かに、偏見はないよ?」

ないけど、俺がまさかヒロイン立場になるなんて思ってもみなかった
てか、俺なんかがヒロインの立場で良いのだろうか

「かわいくて、守りたいって思うようなかわいい子が良いのでは…?」

良い歳した男がヒロインとか、なんとなく泣けてくる
あ、もちろん俺の立場からしてではなく
ロビンの立場からしての話である
きっとロビンも俺のような良い歳した男ではなくかわいい女の子とか、せめてもう少し若い子が良かっただろうに…

「ごめんね、ロビンさん…」
「? 何がでしょうか、主様?」

いつの間にか戻ってきたロビンは不思議そうに俺を見ている
ロビンの手には2つの木製のカップがあり、周りに水滴がついているのできっと言っていた通りに飲み物を持ってきてくれたのだろう

「いや、その…」
「主様、どうぞお受け取りください」
「あ、ありがとう。」

ロビンからカップを受け取り一口飲む
ほんのり柑橘系の香りがし、口の中に広がる甘みが美味しくて、癒される

「美味しい…」
「それなら、よかったです。」

嬉しそうに微笑むロビンは先ほどからずっと俺のとなりに立ったままだ

「…、よかったら、ロビンさんも座っていいんだよ?」
「いえ。 私は主様の騎士ですので。」
「えっと、」

俺が飲みづらいというのもあるが、立たれていると気になってしまう
それに、俺には騎士というものが物語の中のものしか知らないため、それが当たり前なのかもわからない

「ロビンさん」
「はい。」
「顔をあげて話さないといけなくて、首が疲れるので ソファに座ってもらえない?」

あ、床に膝をついて座られても今度は首をそちらに向けないと行けないので辛いです
と付け加えると、ロビンは困った顔を一瞬したが
俺が今、座っているソファに座ってくれた
渋々という感じがするが、そこは何も言わないでおこう

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