最終確認役として選ばれたらしい

灯月

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第一章

01

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拝啓、この世界に連れてきてくれた神々様
お元気しているでしょうか
俺はこの世界にこれてとても満足していました

ゲームの世界に似た異世界にとても心踊らせ、ひとつひとつの操作にとても楽しんでいました
新たな世界に俺を連れてきてくれたことにはとても感謝しており、良いのですが
世界について詳しく教えていただきたかったです。

今さら後悔しても遅いし、この言葉は届かないかもしれないがとりあえず思ったことが伝わるようにと俺のなかで呟いた

つまり、わかりやすく言うと現実逃避を始めたのである

何故、お助けキャラが男性も魅了されるレベルのイケメンなのですか?
この箱庭を開拓していくのではないのですか?
それにしては、顔面偏差値高くないですか?
そして、何故こんなにも優しく接してくれるのでしょうか?

「ーーーー?」

この世界を望んだ人はもしかしてですが、女性ですか?
そして、その方は乙女ゲーム好きでしょうか?
てか、俺はこの世界でやっていけるのでしょうか…?
確かに理解はありますけど、自身がその立場になるなんて思ってもいないじゃないですか
いや、まぁでも美男美女には見惚れちゃいますが

「ーーーま?」

せめて、この世界の好感度が絆であることを願っていますが
なんとなくそんな気がしないのは何故でしょうか…?

「ーーー様?」

というか、かっこよすぎませんか?
反則だと思います。

「…はぁ」

今後どうなるのかと心配になりため息をついた

「主様?」
「っ!?」

急に目の前にロビンの美しい顔が現れ、俺は驚く
耐性のない今の俺には刺激が強すぎて、いつの間にか座っていたソファの隅へと逃げた

「な、何かようでしょうか!?」

心臓がうるさいし、顔も熱い

「先ほどから、主様をお呼びしてましたが 返事がなかったもので」
「へ? あ、ごめんなさい。 ちょっと考えてて…?」

眉をハの字にしてこちらの様子を見ている
どうやら、心配してくれていたらしい

「あ、大丈夫ですよ! 俺は元気ですし」
「…」
「……えっと? 俺の顔に何かついてますか?」

何か言いたそうだが何も言ってこないので俺は困る
相手がまだ同性だったからいいものを、こんな整った顔の女性だったら俺はパニックをおこしていただろう
まぁ、同性の彼でもパニックを先ほどおこしたのだけど…

「…えっと、その? なんでも言ってくれて良いんですけど…?」

先ほどから口元に指を持ってきて何かを考えているようだが何も言ってこない
青いきれいな目はずっと俺の方を見ている

「……???」

どうかしたのかと困り、俺は首を傾けると
ロビンは口を開く

「…主様は、」
「?」
「私の事が嫌いですか?」

まさかの一言に俺は訳がわからなかった

「はいぃぃぃぃ? え、どこで??どこら辺でそう思ったわけ??」

ロビンの顔は真剣で、冗談を言っているようには見えない

「先ほどもですが、私が近づくと逃げますよね?」
「そ、そりゃあ…」

あなたのその整った顔に体制がないんです何て言えないわけで
俺は口ごもる

「それに、すぐに視線をそらしますよね?」
「いや、だって…」
「……主様のお好みとは違いましたか?」
「むしろ、ドストライクというか… って、え?? 今なんと!?」

俺の前半の小声で言っていたところはロビンの耳まで届いていなかったようで助かったのだが
それよりも、お好みと違うとは…??

「確かに、私は騎士ですので畑には詳しくはないですし、建築やここで役に立ちそうなことは知りません ですので、落ち込んでいるのではないかと」
「そ、そうじゃないですから!!」

ロビンの言うことは俺も少しは思ったりしたけどさ
でも、俺よりも彼の方がここでの生活は上手くできると思うし

「ロビンさんが悪い訳じゃなくて、俺が勝手に思ってるだけで…、ってじゃなくて!、
ロビンさんの方が俺よりもここに馴染んでますから!って、そうでもなくてぇ!!!
え、えっあの…、俺が、そのきれいな目に見られていると思うと恥ずかしいだけで…」

昔からそうだが、上手く言葉に出来ない
言いたいことがまとまらなくて、俺自身も何をいっているのかよくわかっていない

「と、とりあえず!!、ロビンさんがかっこよすぎて、ずっと見てられないんです!!
だから、嫌いとかじゃなくて、むしろ……」

ロビンの方に顔を向けると
ずっとしゃべっていて気づかなかったが、ロビンはポカンと俺を見ていた
何かおかしな事を言ったのかと思い先ほどまで口にしていた言葉を思い返すと、まるで告白しているかのような事を言っていたことに気づく

「!!?? あ、その、えっ、いや、あの!!!??」
「…それならよかったです」

俺の横に膝をつく
嬉しそうに笑うロビンの破壊力はすごく
すぐに顔をそらそうとしたが、ロビンの手が俺の頬に触れてきたため
そらそうにもそらせなくなった

「気に入っていただけていたのでしたらよかったです」

恥ずかしくなり今にも隠れたいが隠れることが出来ないことにパニックしつつも
どこか冷静的な俺もいて
笑っているはずなのに、何故か悲しそうなロビンの目が俺は不安になった
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