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翌日3
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「裕貴……」
和さんはもじもじと俺の方を振り返って名前を呼んだ。
「……やっぱり挿れて」
え、チョロ……
とは思ったが、冷やかしてやっぱりやめる、と言われても困るので、さっさとベッド横からローションとゴムを取り出した。
「そんなの常備してるなんて、遊んでんね」
シーツに顔の片側を埋めたまま、和さんはとろんとした目で俺がゴムをつけるのを見つめていた。
和さんと会うことになった時、流れで家に来る可能性を考えて買ったんだよ、とは重い男と思われそうで言えない。
「ゴム、俺にもつけて」
和さんは手を伸ばしたけど、無視して後ろから組み敷いた。
「和さんがイクとこ見たいから、しなくていいです」
「ベッド汚しちゃうじゃん」
「そんなこと気にしなくていいから」
実際片付けるときに後悔するのは目に見えていたが、びしゃびしゃの汁まみれになる和さんが見たいという欲望には勝てなかった。
寝バックでゆっくり挿入すると、和さんは声もなくピクピク震えた。
「え、もういっちゃった?」
「ち、違……」
背中に覆い被さるようにして、耳に唇をつける。
「ちんぽ扱かれても何ともないのに、ケツゴシゴシされたら挿れて欲しくなるんだ?」
そう言って耳を甘噛みすると、中がきゅんきゅん締まった。わかりやす過ぎる。
昨日散々やりまくったせいで、奥まで簡単に嵌った。
「マジで俺の形になっちゃってるじゃん。他の人に使わないでくださいね」
「な、何言って……」
抜き差しはせずに、腰を密着させたまま揺すって奥を突いた。奥の襞に引っ掛かけるように中を擦ると、和さんの体温が上がって汗が吹き出す。ぎゅっとシーツを握り締める手を掴むと、シーツの代わりに俺の手に指を絡めた。
「裕貴、待って……」
和さんはふうふう息をしながら身体を起こすと、俺をベッドに押し倒した。
仰向けの俺の上に跨がって、ゆっくりと腰を落とす。
和さんは背中が反りそうになるのを抑えて、腰を上下に振り始めた。
亀頭が抜けそうなくらいギリギリのところまで腰を上げてから、ゆっくりと奥まで挿入する。激しさはないが、意図的に亀頭を責める腰の振り方だった。しかも後ろ手で玉を揉んでくる。
……もしかして、騎乗位下手って言われたの、めちゃくちゃ気にしてる?
和さんは俺の様子を伺いながら、腰を振る速度を上げた。和さんの汗が滴って、俺の体に落ちてくる。思わず息を吐くと、動きを緩めて奥できゅっと締め付ける。
和さんは奥に押し当てたまま上体を倒し、俺の胸に顔を埋めた。疲れて倒れ込んだのかと、背中を撫でて労わろうとした俺は、ハッと固まってしまった。
和さんは細かく腰を揺らしながら、俺の乳首を吸った。
思わず和さんの髪をギュッと掴んでしまった俺を、和さんは乳首に舌を這わせたまま、どうだと言いたげな目で見ていた。
まあ、下手ではない。ていうか、めちゃくちゃ上手いとは思う。
「和さん、騎乗位上手いですね」
和さんは満足そうに笑って体を起こしたが、俺がグッと腰を突き上げると、すぐに動きを止めて体を震わせた。
上手いとは思うけど、ちんこに弱すぎる。
「もっと動いてよ」
和さんは困ったように俺を睨んで、腰を揺らした。
「そこ好きなんだ?」
「好き……裕貴のでかいから、好きなところ全部当たる」
恥ずかしそうにしながら、好きなところに当てるように腰をうねらせる。
俺は和さんの体を抱えると、挿入したまま体勢を入れ替えた。
「和さん騎乗位上手いけど、別に俺は抜いて欲しいわけじゃないからね」
正常位で腰を抱えて、一番奥まで挿入する。
ぐぽっと音がして、奥の襞が吸い付いてくる。和さんの中全体が締まって、俺のちんこに纏わりついた。
「和さん、責めるより責められる方が好きでしょ。俺は責める方が好きなんで、じっとしといてください」
責められるのが嫌いなわけじゃないけど、他の男に仕込まれたテクニックかと思うとむかついた。
わざと激しく奥を突くと、和さんは声を上げながらながら痙攣した。壁が薄いから隣に聞こえてると思うけど、気にする余裕もなかった。
「……俺ばっかりイカされんのやだから……裕貴も気持ちよくなって……」
「…………」
何か気の利いたことを言いたいのに、言葉が出てこなかった。
昨日からヤリまくってるのに、全然足りない。すぐにイクのがもったいなくて、奥に押し当てたまま、一旦動きを止めた。
「やだ……もっと……」
和さんはM字に大きく開いた脚を俺の腰に回して、自分から腰を振り始めた。
びっくりして思わず和さんを見下ろすと、無意識の行動だったのか、トロンとした目に動揺が浮かび、視線を泳がせて顔を赤らめた。
その表情に、暴発してしまった。
最悪……
眉間に皺を寄せて閉じていた目を開けると、和さんと目が合った。情けなさから言い訳をしようとしたのに、和さんは顔を寄せて唇を塞いでしまった。
「お前のイキ顔、エッチ」
はにかむようにそう言われて、俺は和さんの真っ赤に火照った体の上に突っ伏した。
「え、靴下どこ?」
「ないなら泊まっていくしかないですね」
「アホか。これ以上いたら、まじでやり殺される」
俺は仕方なく、床に転がっていた靴下を拾い上げると跪いて、ベッドに腰掛ける和さんの足に穿かせた。
「本気でケツ壊れそうなんだけど、お前いっつもこのペースでやってんの?」
和さんは呆れたように、靴下で覆われたつま先で俺の股間をつついた。
「ちゃんと和さんのペースに合わせるんで、安心してください」
安心できねー、と呟いて、和さんは立ち上がった。
「帰っちゃうの?」
わざとしゅんとした声で聞く。かなりガチ目に気落ちしていたが、真面目なトーンで訊く勇気はなかった。
和さんは何の屈託もない笑顔で靴を履いてしまった。
「また月曜日な」
暗に、休みの間連絡してくんなよって牽制されている気がする。まあするけど。
「あ、でもお前、五階に来んなよ」
五階は和さんの部署があるフロアだった。
「え、朝一に行きますけど。こっそりいちゃいちゃしてください」
和さんは呆れた顔で俺を見つめた後、どうもお邪魔しました、と律儀に頭を下げた。駅まで送ると言ったが、タクシーで帰るから、と断られた。
「足腰ガタガタなんだよ」
「すみません」
和さんが出ていった後、思わずドアにゴンっと額を押し当てた。まだ玄関に和さんの匂いがする。
やばい。
和さんとセックスしてしまった。しかも交際にまで漕ぎ着けた。まだ心臓がバクバクしている。
今まで和さんのことを考えて何度も抜いたけど、想像以上に感じやすい、開発済みの体だった。
俺じゃない、別の誰かに甘やかされて躾けられた体だった。
それ自体はモヤモヤはするけど、気にするようなことでもない。
ただ、
──俺、年下はないな
前に聞いた和さんの言葉が、小さな棘のように心に引っかかっていた。
和さんはもじもじと俺の方を振り返って名前を呼んだ。
「……やっぱり挿れて」
え、チョロ……
とは思ったが、冷やかしてやっぱりやめる、と言われても困るので、さっさとベッド横からローションとゴムを取り出した。
「そんなの常備してるなんて、遊んでんね」
シーツに顔の片側を埋めたまま、和さんはとろんとした目で俺がゴムをつけるのを見つめていた。
和さんと会うことになった時、流れで家に来る可能性を考えて買ったんだよ、とは重い男と思われそうで言えない。
「ゴム、俺にもつけて」
和さんは手を伸ばしたけど、無視して後ろから組み敷いた。
「和さんがイクとこ見たいから、しなくていいです」
「ベッド汚しちゃうじゃん」
「そんなこと気にしなくていいから」
実際片付けるときに後悔するのは目に見えていたが、びしゃびしゃの汁まみれになる和さんが見たいという欲望には勝てなかった。
寝バックでゆっくり挿入すると、和さんは声もなくピクピク震えた。
「え、もういっちゃった?」
「ち、違……」
背中に覆い被さるようにして、耳に唇をつける。
「ちんぽ扱かれても何ともないのに、ケツゴシゴシされたら挿れて欲しくなるんだ?」
そう言って耳を甘噛みすると、中がきゅんきゅん締まった。わかりやす過ぎる。
昨日散々やりまくったせいで、奥まで簡単に嵌った。
「マジで俺の形になっちゃってるじゃん。他の人に使わないでくださいね」
「な、何言って……」
抜き差しはせずに、腰を密着させたまま揺すって奥を突いた。奥の襞に引っ掛かけるように中を擦ると、和さんの体温が上がって汗が吹き出す。ぎゅっとシーツを握り締める手を掴むと、シーツの代わりに俺の手に指を絡めた。
「裕貴、待って……」
和さんはふうふう息をしながら身体を起こすと、俺をベッドに押し倒した。
仰向けの俺の上に跨がって、ゆっくりと腰を落とす。
和さんは背中が反りそうになるのを抑えて、腰を上下に振り始めた。
亀頭が抜けそうなくらいギリギリのところまで腰を上げてから、ゆっくりと奥まで挿入する。激しさはないが、意図的に亀頭を責める腰の振り方だった。しかも後ろ手で玉を揉んでくる。
……もしかして、騎乗位下手って言われたの、めちゃくちゃ気にしてる?
和さんは俺の様子を伺いながら、腰を振る速度を上げた。和さんの汗が滴って、俺の体に落ちてくる。思わず息を吐くと、動きを緩めて奥できゅっと締め付ける。
和さんは奥に押し当てたまま上体を倒し、俺の胸に顔を埋めた。疲れて倒れ込んだのかと、背中を撫でて労わろうとした俺は、ハッと固まってしまった。
和さんは細かく腰を揺らしながら、俺の乳首を吸った。
思わず和さんの髪をギュッと掴んでしまった俺を、和さんは乳首に舌を這わせたまま、どうだと言いたげな目で見ていた。
まあ、下手ではない。ていうか、めちゃくちゃ上手いとは思う。
「和さん、騎乗位上手いですね」
和さんは満足そうに笑って体を起こしたが、俺がグッと腰を突き上げると、すぐに動きを止めて体を震わせた。
上手いとは思うけど、ちんこに弱すぎる。
「もっと動いてよ」
和さんは困ったように俺を睨んで、腰を揺らした。
「そこ好きなんだ?」
「好き……裕貴のでかいから、好きなところ全部当たる」
恥ずかしそうにしながら、好きなところに当てるように腰をうねらせる。
俺は和さんの体を抱えると、挿入したまま体勢を入れ替えた。
「和さん騎乗位上手いけど、別に俺は抜いて欲しいわけじゃないからね」
正常位で腰を抱えて、一番奥まで挿入する。
ぐぽっと音がして、奥の襞が吸い付いてくる。和さんの中全体が締まって、俺のちんこに纏わりついた。
「和さん、責めるより責められる方が好きでしょ。俺は責める方が好きなんで、じっとしといてください」
責められるのが嫌いなわけじゃないけど、他の男に仕込まれたテクニックかと思うとむかついた。
わざと激しく奥を突くと、和さんは声を上げながらながら痙攣した。壁が薄いから隣に聞こえてると思うけど、気にする余裕もなかった。
「……俺ばっかりイカされんのやだから……裕貴も気持ちよくなって……」
「…………」
何か気の利いたことを言いたいのに、言葉が出てこなかった。
昨日からヤリまくってるのに、全然足りない。すぐにイクのがもったいなくて、奥に押し当てたまま、一旦動きを止めた。
「やだ……もっと……」
和さんはM字に大きく開いた脚を俺の腰に回して、自分から腰を振り始めた。
びっくりして思わず和さんを見下ろすと、無意識の行動だったのか、トロンとした目に動揺が浮かび、視線を泳がせて顔を赤らめた。
その表情に、暴発してしまった。
最悪……
眉間に皺を寄せて閉じていた目を開けると、和さんと目が合った。情けなさから言い訳をしようとしたのに、和さんは顔を寄せて唇を塞いでしまった。
「お前のイキ顔、エッチ」
はにかむようにそう言われて、俺は和さんの真っ赤に火照った体の上に突っ伏した。
「え、靴下どこ?」
「ないなら泊まっていくしかないですね」
「アホか。これ以上いたら、まじでやり殺される」
俺は仕方なく、床に転がっていた靴下を拾い上げると跪いて、ベッドに腰掛ける和さんの足に穿かせた。
「本気でケツ壊れそうなんだけど、お前いっつもこのペースでやってんの?」
和さんは呆れたように、靴下で覆われたつま先で俺の股間をつついた。
「ちゃんと和さんのペースに合わせるんで、安心してください」
安心できねー、と呟いて、和さんは立ち上がった。
「帰っちゃうの?」
わざとしゅんとした声で聞く。かなりガチ目に気落ちしていたが、真面目なトーンで訊く勇気はなかった。
和さんは何の屈託もない笑顔で靴を履いてしまった。
「また月曜日な」
暗に、休みの間連絡してくんなよって牽制されている気がする。まあするけど。
「あ、でもお前、五階に来んなよ」
五階は和さんの部署があるフロアだった。
「え、朝一に行きますけど。こっそりいちゃいちゃしてください」
和さんは呆れた顔で俺を見つめた後、どうもお邪魔しました、と律儀に頭を下げた。駅まで送ると言ったが、タクシーで帰るから、と断られた。
「足腰ガタガタなんだよ」
「すみません」
和さんが出ていった後、思わずドアにゴンっと額を押し当てた。まだ玄関に和さんの匂いがする。
やばい。
和さんとセックスしてしまった。しかも交際にまで漕ぎ着けた。まだ心臓がバクバクしている。
今まで和さんのことを考えて何度も抜いたけど、想像以上に感じやすい、開発済みの体だった。
俺じゃない、別の誰かに甘やかされて躾けられた体だった。
それ自体はモヤモヤはするけど、気にするようなことでもない。
ただ、
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