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▼第10章 重なる不幸
▼10-4 幽閉
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ハルシャ一人だけの落ち度とは言えないものの、ハルシャが気づいて王妃の所に駆けつけていれば。王の崩御は不可避だったにせよ、王妃の殉死だけは回避でたのではないか。
「母上」
ハルシャ王子はその場に膝から崩れ落ち、床に四つん這いになって遠くにまで届けとばかりに叫んだ。目は涙で一杯で、一つ二つと雫が溢れて床に落ちた。
「母上までもが亡くなるなんて。哀れな息子二人を棄てるのですか。戻ってほしい」
長男のラージャー王子は、父の遺体の左手を握りしめて号泣していた。父の左腕に巻かれた白い包帯は、父の最後の武勲の証として、悲しみに満ちた部屋の中で眩さを放っていた。ラージャーもまた、父を喪うと同時に母を喪うという悲しみの連打により心の強さが衰え、ただ幼子のように泣きじゃくるばかりだった。
室内、室外に居る者たちも皆一様に泣いていた。他の誰かが泣いている時に貰い泣きすることがあるが、現在発生しているのは、国王夫妻が亡くなった悲しみと、それを悲しんでいる息子二人から波及した貰い泣きの連鎖だった。
ヤソマティ王妃の最期を伝えに来た筆頭侍女のヴェラが涙を流しながら、兄に琅干珠のあしらわれた金の臂釧を渡す。次に、床に頽れたままのハルシャの側に歩み寄り、兄に渡したのとほぼ同じ形の臂釧を手渡してくれた。こちらは銀製だが、先ほどの金製のものと同様に濃い緑色の琅干珠がいくつも嵌め込まれている。
手に持っていても邪魔なだけなので、腕にはめる。緑は、ヤソマティ王妃が好んでいた色だ。
「他の宝飾品については、侍女たちや宮廷で働く者たちへ分けるように、と命じられております」
生前、世話になった人々へのお礼ということなのだろう。無論、死んでしまっては宝石など幾つ持っていても無意味なので、自分の亡骸と共に土に埋めるよりは、生き残っている人に還元するのが有益な使い方だ。ヤソマティ王妃らしい、合理的でありながら他者への配慮と感謝を忘れない人柄を象徴した最期の命令だ。
その時、部屋の外が泣き声以外の騒音で慌ただしくなった。三重の薄幕で仕切られているので、音は届いても外の様子は窺えない。
立ち上がったのは、父の亡骸に縋り付いて慟哭していたラージャー第一王子だった。
「何を騒いでいる。国王、王妃、両陛下の一大事というこんな時に騒々しい。不謹慎ではないか」
薄幕を掻き分けて室内に踏み込んできた人物は、ハルシャには見覚えがあった。最近は見かける機会が無かったので、久々にその長身の姿を見た。今は槍は持っていないようだ。
「自分は、ラージャシュリー様の専属護衛のサムヴァダカと申します」
ラージャシュリーが嫁入りしてカナウジに行った時に、長身の槍兵の護衛も一緒にそちらに行っていた。ただし、名前は初めて聞いた。だが、何故タネシュワールに戻って来たのか。専属護衛が居るということは主人のラージャシュリーも来ているのだろうか。
「国王陛下にご報告申し上げます。カナウジの街が敵の奇襲攻撃を受けまして、陥落いたしました。グラハヴァルマン陛下は名誉の戦死を遂げられました。お妃のラージャシュリー様とバーニ大臣は、敵軍に捕らえられ、カナウジの塔に幽閉されてしまいました」
「ラージャシュリーが幽閉だと」
「その敵というのは、何者なのだ」
最初の最初に妹のラージャシュリーを心配するハルシャ王子と、情勢を把握しようとするラージャー王子の違いが出る発言だった。ハルシャとしても、妹の生存が確認できれば、敵の正体が気になった。
「敵は、どうやらマーラヴァの奸王として知られるデーヴァグプタのようです」
話しながら、サムヴァダカと名乗ったラージャシュリー専属護衛の男は、周囲を見渡して、この室内で何が起きているのかを察したようだった。
「ちょっと待て。マーラヴァ王デーヴァグプタといえば、以前、父上が撃破したのではなかったか。マーラヴァ国は既に我がスタネーシュヴァラの勢力に取り込んでいるし、デーヴァグプタ王は敗走して行方不明だったはずだぞ」
兄の指摘に、弟のハルシャも大きく首肯した。ジャヤセーナ論師の講義でも周辺諸国の情勢として学んでいた。
それ以前に遡れば、ラージャーとハルシャの母であるヤソマティ王妃は、元はマーラヴァ国の姫であった。プラバーカラ王の元へ嫁ぐことによって両国の合従連衡が成立したはずだったが、その後マーラヴァの王位を継いだデーヴァグプタ王は、中つ国の風下に甘んじることを潔しとしなかった。兎か狐か砂狐のように狡賢い智慧に長けたデーヴァグプタは何かと策を弄してプラバーカラ王を挑発したため、撃破されてしまった。マーラヴァの奸王はその後行方不明となっていた。
「それが、どうやらデーヴァグプタ王はカルナ・スヴァルナ国のシャシャーンカ王と結託したようでして。軍隊もシャシャーンカ王から借りている模様です」
「これは、実質、カルナ・スヴァルナ国から我がスタネーシュヴァラへの宣戦布告だな」
ラージャー王子が涙を拭いながら低い声で断言した。
「いずれにせよ、情勢が大きく変化した。悲しんでいる場合ではなくなった。妹のラージャシュリーが捕らえられているということは、いつ処刑されるかも分からない。救出と、義弟グラハヴァルマン殿の敵討ちもしなければならない。早々に両親の葬儀を済ませ、僕が王として即位し、軍隊を率いてカナウジに急行する」
ハルシャもまた、立ち上がって涙を拭いた。もう、嗚咽も漏れていない。
「兄上、俺も行きます。敵はマーラヴァの奸王ですので、どんな卑怯な罠を用意して待っているか分かりません。そんな中で敵の撃破と人質ラージャシュリーの救出という両面作戦は、いかに兄上といえども荷が重いと思われます。兄は軍の主力を率いて敵の撃破を。俺は少数の精鋭を率いてカナウジに潜入し、ラージャシュリーの救出をお任せいただければと思います」
ラージャーはハルシャの顔を見た。ハルシャの引き締まった表情に対し、ラージャーはやや渋い顔をして眉を顰めた。
「確かにラージャーシュリーの救出は急務ではあるが、だからといってあまりにも強硬に迫り過ぎると、敵がかえって自暴自棄になって人質を害するようなことになっても逆効果だな。早急な救出が最善ではあるが、あくまでもラージャシュリーの安全が最優先だ。そこを間違えられては困る」
「無論です兄上。無理をするつもりはありません。幽閉されているということは相手にとってラージャシュリーが人質として価値があるということであり、すぐに殺すということは無いはずです。ラージャシュリーの生命最優先で行動するつもりです」
「よし、そういうことなら、すぐに準備に移ろう。法官は国王、王妃、両陛下の葬儀の準備、軍事長官はカナウジ遠征軍の編成、諸長官と財務長官は国王である僕が不在の間、摂政として国内のことを頼むことになる」
即位の儀式を行っていないのだからラージャー第一王子はまだ国王ではないのだが、既にその発言は周囲の者に王の発言として受け容れられている。
「母上」
ハルシャ王子はその場に膝から崩れ落ち、床に四つん這いになって遠くにまで届けとばかりに叫んだ。目は涙で一杯で、一つ二つと雫が溢れて床に落ちた。
「母上までもが亡くなるなんて。哀れな息子二人を棄てるのですか。戻ってほしい」
長男のラージャー王子は、父の遺体の左手を握りしめて号泣していた。父の左腕に巻かれた白い包帯は、父の最後の武勲の証として、悲しみに満ちた部屋の中で眩さを放っていた。ラージャーもまた、父を喪うと同時に母を喪うという悲しみの連打により心の強さが衰え、ただ幼子のように泣きじゃくるばかりだった。
室内、室外に居る者たちも皆一様に泣いていた。他の誰かが泣いている時に貰い泣きすることがあるが、現在発生しているのは、国王夫妻が亡くなった悲しみと、それを悲しんでいる息子二人から波及した貰い泣きの連鎖だった。
ヤソマティ王妃の最期を伝えに来た筆頭侍女のヴェラが涙を流しながら、兄に琅干珠のあしらわれた金の臂釧を渡す。次に、床に頽れたままのハルシャの側に歩み寄り、兄に渡したのとほぼ同じ形の臂釧を手渡してくれた。こちらは銀製だが、先ほどの金製のものと同様に濃い緑色の琅干珠がいくつも嵌め込まれている。
手に持っていても邪魔なだけなので、腕にはめる。緑は、ヤソマティ王妃が好んでいた色だ。
「他の宝飾品については、侍女たちや宮廷で働く者たちへ分けるように、と命じられております」
生前、世話になった人々へのお礼ということなのだろう。無論、死んでしまっては宝石など幾つ持っていても無意味なので、自分の亡骸と共に土に埋めるよりは、生き残っている人に還元するのが有益な使い方だ。ヤソマティ王妃らしい、合理的でありながら他者への配慮と感謝を忘れない人柄を象徴した最期の命令だ。
その時、部屋の外が泣き声以外の騒音で慌ただしくなった。三重の薄幕で仕切られているので、音は届いても外の様子は窺えない。
立ち上がったのは、父の亡骸に縋り付いて慟哭していたラージャー第一王子だった。
「何を騒いでいる。国王、王妃、両陛下の一大事というこんな時に騒々しい。不謹慎ではないか」
薄幕を掻き分けて室内に踏み込んできた人物は、ハルシャには見覚えがあった。最近は見かける機会が無かったので、久々にその長身の姿を見た。今は槍は持っていないようだ。
「自分は、ラージャシュリー様の専属護衛のサムヴァダカと申します」
ラージャシュリーが嫁入りしてカナウジに行った時に、長身の槍兵の護衛も一緒にそちらに行っていた。ただし、名前は初めて聞いた。だが、何故タネシュワールに戻って来たのか。専属護衛が居るということは主人のラージャシュリーも来ているのだろうか。
「国王陛下にご報告申し上げます。カナウジの街が敵の奇襲攻撃を受けまして、陥落いたしました。グラハヴァルマン陛下は名誉の戦死を遂げられました。お妃のラージャシュリー様とバーニ大臣は、敵軍に捕らえられ、カナウジの塔に幽閉されてしまいました」
「ラージャシュリーが幽閉だと」
「その敵というのは、何者なのだ」
最初の最初に妹のラージャシュリーを心配するハルシャ王子と、情勢を把握しようとするラージャー王子の違いが出る発言だった。ハルシャとしても、妹の生存が確認できれば、敵の正体が気になった。
「敵は、どうやらマーラヴァの奸王として知られるデーヴァグプタのようです」
話しながら、サムヴァダカと名乗ったラージャシュリー専属護衛の男は、周囲を見渡して、この室内で何が起きているのかを察したようだった。
「ちょっと待て。マーラヴァ王デーヴァグプタといえば、以前、父上が撃破したのではなかったか。マーラヴァ国は既に我がスタネーシュヴァラの勢力に取り込んでいるし、デーヴァグプタ王は敗走して行方不明だったはずだぞ」
兄の指摘に、弟のハルシャも大きく首肯した。ジャヤセーナ論師の講義でも周辺諸国の情勢として学んでいた。
それ以前に遡れば、ラージャーとハルシャの母であるヤソマティ王妃は、元はマーラヴァ国の姫であった。プラバーカラ王の元へ嫁ぐことによって両国の合従連衡が成立したはずだったが、その後マーラヴァの王位を継いだデーヴァグプタ王は、中つ国の風下に甘んじることを潔しとしなかった。兎か狐か砂狐のように狡賢い智慧に長けたデーヴァグプタは何かと策を弄してプラバーカラ王を挑発したため、撃破されてしまった。マーラヴァの奸王はその後行方不明となっていた。
「それが、どうやらデーヴァグプタ王はカルナ・スヴァルナ国のシャシャーンカ王と結託したようでして。軍隊もシャシャーンカ王から借りている模様です」
「これは、実質、カルナ・スヴァルナ国から我がスタネーシュヴァラへの宣戦布告だな」
ラージャー王子が涙を拭いながら低い声で断言した。
「いずれにせよ、情勢が大きく変化した。悲しんでいる場合ではなくなった。妹のラージャシュリーが捕らえられているということは、いつ処刑されるかも分からない。救出と、義弟グラハヴァルマン殿の敵討ちもしなければならない。早々に両親の葬儀を済ませ、僕が王として即位し、軍隊を率いてカナウジに急行する」
ハルシャもまた、立ち上がって涙を拭いた。もう、嗚咽も漏れていない。
「兄上、俺も行きます。敵はマーラヴァの奸王ですので、どんな卑怯な罠を用意して待っているか分かりません。そんな中で敵の撃破と人質ラージャシュリーの救出という両面作戦は、いかに兄上といえども荷が重いと思われます。兄は軍の主力を率いて敵の撃破を。俺は少数の精鋭を率いてカナウジに潜入し、ラージャシュリーの救出をお任せいただければと思います」
ラージャーはハルシャの顔を見た。ハルシャの引き締まった表情に対し、ラージャーはやや渋い顔をして眉を顰めた。
「確かにラージャーシュリーの救出は急務ではあるが、だからといってあまりにも強硬に迫り過ぎると、敵がかえって自暴自棄になって人質を害するようなことになっても逆効果だな。早急な救出が最善ではあるが、あくまでもラージャシュリーの安全が最優先だ。そこを間違えられては困る」
「無論です兄上。無理をするつもりはありません。幽閉されているということは相手にとってラージャシュリーが人質として価値があるということであり、すぐに殺すということは無いはずです。ラージャシュリーの生命最優先で行動するつもりです」
「よし、そういうことなら、すぐに準備に移ろう。法官は国王、王妃、両陛下の葬儀の準備、軍事長官はカナウジ遠征軍の編成、諸長官と財務長官は国王である僕が不在の間、摂政として国内のことを頼むことになる」
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