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▼第9章 エフタルの余喘
▼9-4 恐ろしい生き物
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室内は三重の薄幕によって仕切られていた。
病室内には、氷を詰めた桶が置かれている。医師の一人が台の上に置かれた樟脳の粉末、赤砂糖、ミロバラン、葡萄、シトロン、柘榴、赤い蓮の葉などを用いて慌ただしく作業をしている。調薬中のようだ。
月光石の寝台に横たわった父は、真っ赤な顔をして大量の汗が玉のように肌に浮かんでいた。容体は良くない。従者が大きな椰子の葉の団扇で煽いで風を送っている。
「ハルシャ王子殿下。プラバーカラ王陛下は、蚊に刺された傷から悪い物が入って悪化したようです」
ハルシャの隣に立って耳元で囁いたのは、四長官の第二席の諸長官だった。
「蚊、か。ならば先日まで健康だったのに急に重病になったのも仕方ないな」
人間がせいぜい四十歳過ぎくらいまでしか生きられないのは、病気になったり、野生動物に殺されたりするからだ。それが無ければ髪の毛が全て白髪になるくらいまで長生きできる人間も少なくない。
虎や毒蛇も恐ろしいが、蚊も侮ることができない脅威だ。叩けば容易に潰すことができるが、刺された小さな傷口から腫れが広がって病気になり、そのまま亡くなる人も多い。
猪が泥水を見つけると鼻で地面を掘って水溜まりを作り、その中に横臥するのは、蚊を含めた虫を防ぐためと言われている。
蚊は恐ろしい。だが、そこから起こるのが病気であるからには、医者の尽力で回復させてくれるはずだ。父王はまだ亡くなっていない。病膏肓に入る前に手を施し、王の生命力が病気に打ち勝つのを信じるしかない。
「俺です。次男のハルシャです」
プラバーカラ王は僅かに首を傾けてハルシャの方に視線を向けた。
髭に包まれた王の唇が小さく動いた。何か言っているようだが、声が小さすぎてハルシャの耳では聞き取れなかった。
「ラージャーはどうした、と陛下は仰っています」
王の側近の者が言った。王の少しの唇の動きを読み取っているらしい。
「兄上は、まだ白フン族との交渉のために残っています。すぐに纏めて戻って来る、と言っていました。なので父上、ご安心して、ご自分の療養に専念してください」
「自分はもう駄目だ。国のことをラージャーに託さなければならない、と陛下は仰っています」
「弱気なことを言わないでください。この国にはまだまだ父上が必要です」
「遅かれ早かれ、余が死ぬ時は来るのだ。その時、ハルシャは、王を継いだラージャーの弟として、新しい王を補佐して支えてやってくれ、と陛下は仰っています」
そこまで話して、父王は両目を閉じた。
「ち、父上。しっかりしてください」
父親を激しく揺すろうとしたハルシャを抱きかかえるようにして医師が制止した。
「おやめくださいハルシャ王子。陛下は眠っておられます。乱暴にしないで安静にする必要があります」
「眠っただけとは言うけど、このまま永遠に目を覚まさないなんてことは無いんだろうな」
父の生命は、悪魔ラーフによって引き起こされる月蝕のように、みるみる小さくなっているのがハルシャにも実感できた。
「そこは、陛下の生きようとする生命力を信じてください」
ハルシャとしては医者に従って引き下がるしかない。
先ほどまで様々な素材を使って調薬をしていた医師が立ち上がり、アパラヴァクトラの韻律の二行連句を声に出して唱えた。
”強き鳥、私の心。悲しみを捨てて自由に、裁量の道を追求する。”
”赤い蓮の池の美しさに、太陽は須弥山の頂に姿を隠す。”
眠っている王への子守歌のようでもあり、心が乱れているハルシャを慰めるものでもあった。と同時に、その内容からいって、人の命には限りがあり、王の長寿はそこまで望めないものなのだと、受け容れなければならない。ハルシャに覚悟を決めさせるものでもあった。
少し気持ちが落ち着くと、急に重い荷物を背負ったかのような疲労が訪れた。会談が行われていた北の寒村から、馬を休ませたり交替したりするための休憩以外はほとんど休むことなく、睡眠時間も最小限しか確保せずに強行軍で都に戻って来たのだ。明らかに睡眠不足だった。
「俺も、急いで戻ってきて疲れたから寝る。何かあったら起こしてくれ」
同時に空腹も感じた。それでもまずは睡眠が先だろう。
そう思いながら自室に向かっていると、潜めた小声で背後から名前を呼ばれた。小声であっても、自分の名前なら不思議と聞き取れるものだ。余計な動きをするだけでも億劫であったが、反射的に後ろを振り向いた。
「殿下、折り入ってお話ししたいことがあります」
この国の中心を担う四長官の一人、諸長官であった。かなり太っているが、愛嬌のある顔をしている。今は王の危篤ということで、元々細い目を更に細めて眉間に皺を寄せて厳しい表情をしていた。
「俺は眠いんだ。急ぎの用件なのか」
「はい。どうか、お時間をお願いいたします」
「分かった。場所を移そう」
二人が入ったのは、小さな物置部屋だった。諸長官は物陰に隠れている人がいないかどうか時間をかけて慎重に調べた。その様子を眺めながらハルシャは、そんな所に時間と労力を消費するならかえって何も無い部屋を選んだ方が良かったのに、と思って呆れていた。
「ハルシャ王子、あなたに次の王になっていただきたいのです」
盗み聞きしている者がいないことを確認し終えてから、諸長官はいきなり衝撃の発言をした。
「さっきの父上の言葉は、もしも万一父上が崩御されたら、遺言ということになるのだぞ。その遺言では、兄が王になって、俺は兄をしっかり補佐しろということだった」
「それは本当に陛下のお言葉なのでしょうか」
諸長官も、プラバーカラ王が聞き取れない程度の小声でしか話せないという容体であることは承知しているらしい。それを、側近の者が唇の動きを読み取って通訳している現状だ。
「つまり、読唇で通訳をしている側近の者が、自分に都合が良いように父の本当の発言内容を捻じ曲げている、と言いたいのか」
「絶対にそうだとまでは断言できません。ですが、可能性はあります。通訳をしている側近の立場なら、やろうと思えばできてしまうことです」
ハルシャには、その発想自体が出てこなかった。だが、こうして説明を受けると、確かにやろうと思えば可能な不正であることは理解できた。
「今、陛下が崩御されてしまうと、スタネーシュヴァラ国は未曽有の危機を迎えることとなります。ラージャー王子殿下は、まだ若くいらっしゃいます。次の国王となるには、まだ経験不足が明らか。そうなると、どうしても周囲の側近たちの補佐が必要となります。ですが、その側近たちというのが、必ずしも信頼できるでしょうか。嘘の読唇通訳をしているかもしれないのですよ」
諸長官の声を潜めた熱弁を、ハルシャは腕組みしながら聞いた。
「そりゃ、側近たちを疑えばキリは無いだろう。その通訳が嘘を言っているということに関しては、どちらとも判断できないな」
「そうです、疑えば誰もが怪しく見えてしまうものです。そういう状況では、若い王であっても強い指導力で引っ張って行く必要があるのです。小悪党が悪事を働く余裕が無いくらいに、強い王がほぼ独裁に近い形で治めるならば、王位継承による混乱を最小限に留めることができます。内政的にも民草の安寧につながりますし、外交的な観点でも、他国から付け入られる隙を作らずに安全を保障できます」
「つまり、兄では若くて頼りないから、俺が王になってくれ、という話か。でも当たり前だけど俺は兄よりももっと若いんだぞ」
「ですからそこが、ハルシャ王子殿下の王者としての器の大きさを見込んでの頼みなのです」
どうやら諸長官は、兄よりも弟のハルシャの方が王に相応しいと評価してくれているらしい。そのこと自体はハルシャの自尊心をくすぐった。悪い気はしなかった。
「だけど待てよ。読唇通訳が本当かどうかはともかくとして、順当に兄が王位を継承しろということになっているんだ。それを横車を押す形で俺が王になるといったら、かえって国内が混乱することにならないか」
「それは、王位継承が順調に行かず、兄弟間で争いになってしまった場合の話です。争いになる前にハルシャ殿下が即位して多くの者がそれを承認してしまえば、温厚な性格のラージャー殿下も無駄な争いは起こそうとしないでしょう。要は争いが起きなければ良いのです」
「諸長官、随分簡単そうに言うんだな。俺が王位を継ぐと言ったとしても、他の三人の長官をはじめとした臣下たちは素直に承認しないだろう。宮廷内に禍根を残すだけじゃないのか」
ハルシャ王子が王位継承に乗り出すことをなかなか首肯しないので、諸長官は難しい表情になった。
「ハルシャ王子殿下。王になりたいとは思わないのですか。栄誉あるヴァルダナ王家に生まれて、王にならない自分というものを疑問に思ったことは無いのですか」
「そ、それは」
宮廷内部の混乱を避けるためとか、民草の安寧のためとか言われてもハルシャ王子の心には全く響かなかったが、ハルシャ王子自身の問題として捉えると、まさにそこが図星であった。
病室内には、氷を詰めた桶が置かれている。医師の一人が台の上に置かれた樟脳の粉末、赤砂糖、ミロバラン、葡萄、シトロン、柘榴、赤い蓮の葉などを用いて慌ただしく作業をしている。調薬中のようだ。
月光石の寝台に横たわった父は、真っ赤な顔をして大量の汗が玉のように肌に浮かんでいた。容体は良くない。従者が大きな椰子の葉の団扇で煽いで風を送っている。
「ハルシャ王子殿下。プラバーカラ王陛下は、蚊に刺された傷から悪い物が入って悪化したようです」
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「蚊、か。ならば先日まで健康だったのに急に重病になったのも仕方ないな」
人間がせいぜい四十歳過ぎくらいまでしか生きられないのは、病気になったり、野生動物に殺されたりするからだ。それが無ければ髪の毛が全て白髪になるくらいまで長生きできる人間も少なくない。
虎や毒蛇も恐ろしいが、蚊も侮ることができない脅威だ。叩けば容易に潰すことができるが、刺された小さな傷口から腫れが広がって病気になり、そのまま亡くなる人も多い。
猪が泥水を見つけると鼻で地面を掘って水溜まりを作り、その中に横臥するのは、蚊を含めた虫を防ぐためと言われている。
蚊は恐ろしい。だが、そこから起こるのが病気であるからには、医者の尽力で回復させてくれるはずだ。父王はまだ亡くなっていない。病膏肓に入る前に手を施し、王の生命力が病気に打ち勝つのを信じるしかない。
「俺です。次男のハルシャです」
プラバーカラ王は僅かに首を傾けてハルシャの方に視線を向けた。
髭に包まれた王の唇が小さく動いた。何か言っているようだが、声が小さすぎてハルシャの耳では聞き取れなかった。
「ラージャーはどうした、と陛下は仰っています」
王の側近の者が言った。王の少しの唇の動きを読み取っているらしい。
「兄上は、まだ白フン族との交渉のために残っています。すぐに纏めて戻って来る、と言っていました。なので父上、ご安心して、ご自分の療養に専念してください」
「自分はもう駄目だ。国のことをラージャーに託さなければならない、と陛下は仰っています」
「弱気なことを言わないでください。この国にはまだまだ父上が必要です」
「遅かれ早かれ、余が死ぬ時は来るのだ。その時、ハルシャは、王を継いだラージャーの弟として、新しい王を補佐して支えてやってくれ、と陛下は仰っています」
そこまで話して、父王は両目を閉じた。
「ち、父上。しっかりしてください」
父親を激しく揺すろうとしたハルシャを抱きかかえるようにして医師が制止した。
「おやめくださいハルシャ王子。陛下は眠っておられます。乱暴にしないで安静にする必要があります」
「眠っただけとは言うけど、このまま永遠に目を覚まさないなんてことは無いんだろうな」
父の生命は、悪魔ラーフによって引き起こされる月蝕のように、みるみる小さくなっているのがハルシャにも実感できた。
「そこは、陛下の生きようとする生命力を信じてください」
ハルシャとしては医者に従って引き下がるしかない。
先ほどまで様々な素材を使って調薬をしていた医師が立ち上がり、アパラヴァクトラの韻律の二行連句を声に出して唱えた。
”強き鳥、私の心。悲しみを捨てて自由に、裁量の道を追求する。”
”赤い蓮の池の美しさに、太陽は須弥山の頂に姿を隠す。”
眠っている王への子守歌のようでもあり、心が乱れているハルシャを慰めるものでもあった。と同時に、その内容からいって、人の命には限りがあり、王の長寿はそこまで望めないものなのだと、受け容れなければならない。ハルシャに覚悟を決めさせるものでもあった。
少し気持ちが落ち着くと、急に重い荷物を背負ったかのような疲労が訪れた。会談が行われていた北の寒村から、馬を休ませたり交替したりするための休憩以外はほとんど休むことなく、睡眠時間も最小限しか確保せずに強行軍で都に戻って来たのだ。明らかに睡眠不足だった。
「俺も、急いで戻ってきて疲れたから寝る。何かあったら起こしてくれ」
同時に空腹も感じた。それでもまずは睡眠が先だろう。
そう思いながら自室に向かっていると、潜めた小声で背後から名前を呼ばれた。小声であっても、自分の名前なら不思議と聞き取れるものだ。余計な動きをするだけでも億劫であったが、反射的に後ろを振り向いた。
「殿下、折り入ってお話ししたいことがあります」
この国の中心を担う四長官の一人、諸長官であった。かなり太っているが、愛嬌のある顔をしている。今は王の危篤ということで、元々細い目を更に細めて眉間に皺を寄せて厳しい表情をしていた。
「俺は眠いんだ。急ぎの用件なのか」
「はい。どうか、お時間をお願いいたします」
「分かった。場所を移そう」
二人が入ったのは、小さな物置部屋だった。諸長官は物陰に隠れている人がいないかどうか時間をかけて慎重に調べた。その様子を眺めながらハルシャは、そんな所に時間と労力を消費するならかえって何も無い部屋を選んだ方が良かったのに、と思って呆れていた。
「ハルシャ王子、あなたに次の王になっていただきたいのです」
盗み聞きしている者がいないことを確認し終えてから、諸長官はいきなり衝撃の発言をした。
「さっきの父上の言葉は、もしも万一父上が崩御されたら、遺言ということになるのだぞ。その遺言では、兄が王になって、俺は兄をしっかり補佐しろということだった」
「それは本当に陛下のお言葉なのでしょうか」
諸長官も、プラバーカラ王が聞き取れない程度の小声でしか話せないという容体であることは承知しているらしい。それを、側近の者が唇の動きを読み取って通訳している現状だ。
「つまり、読唇で通訳をしている側近の者が、自分に都合が良いように父の本当の発言内容を捻じ曲げている、と言いたいのか」
「絶対にそうだとまでは断言できません。ですが、可能性はあります。通訳をしている側近の立場なら、やろうと思えばできてしまうことです」
ハルシャには、その発想自体が出てこなかった。だが、こうして説明を受けると、確かにやろうと思えば可能な不正であることは理解できた。
「今、陛下が崩御されてしまうと、スタネーシュヴァラ国は未曽有の危機を迎えることとなります。ラージャー王子殿下は、まだ若くいらっしゃいます。次の国王となるには、まだ経験不足が明らか。そうなると、どうしても周囲の側近たちの補佐が必要となります。ですが、その側近たちというのが、必ずしも信頼できるでしょうか。嘘の読唇通訳をしているかもしれないのですよ」
諸長官の声を潜めた熱弁を、ハルシャは腕組みしながら聞いた。
「そりゃ、側近たちを疑えばキリは無いだろう。その通訳が嘘を言っているということに関しては、どちらとも判断できないな」
「そうです、疑えば誰もが怪しく見えてしまうものです。そういう状況では、若い王であっても強い指導力で引っ張って行く必要があるのです。小悪党が悪事を働く余裕が無いくらいに、強い王がほぼ独裁に近い形で治めるならば、王位継承による混乱を最小限に留めることができます。内政的にも民草の安寧につながりますし、外交的な観点でも、他国から付け入られる隙を作らずに安全を保障できます」
「つまり、兄では若くて頼りないから、俺が王になってくれ、という話か。でも当たり前だけど俺は兄よりももっと若いんだぞ」
「ですからそこが、ハルシャ王子殿下の王者としての器の大きさを見込んでの頼みなのです」
どうやら諸長官は、兄よりも弟のハルシャの方が王に相応しいと評価してくれているらしい。そのこと自体はハルシャの自尊心をくすぐった。悪い気はしなかった。
「だけど待てよ。読唇通訳が本当かどうかはともかくとして、順当に兄が王位を継承しろということになっているんだ。それを横車を押す形で俺が王になるといったら、かえって国内が混乱することにならないか」
「それは、王位継承が順調に行かず、兄弟間で争いになってしまった場合の話です。争いになる前にハルシャ殿下が即位して多くの者がそれを承認してしまえば、温厚な性格のラージャー殿下も無駄な争いは起こそうとしないでしょう。要は争いが起きなければ良いのです」
「諸長官、随分簡単そうに言うんだな。俺が王位を継ぐと言ったとしても、他の三人の長官をはじめとした臣下たちは素直に承認しないだろう。宮廷内に禍根を残すだけじゃないのか」
ハルシャ王子が王位継承に乗り出すことをなかなか首肯しないので、諸長官は難しい表情になった。
「ハルシャ王子殿下。王になりたいとは思わないのですか。栄誉あるヴァルダナ王家に生まれて、王にならない自分というものを疑問に思ったことは無いのですか」
「そ、それは」
宮廷内部の混乱を避けるためとか、民草の安寧のためとか言われてもハルシャ王子の心には全く響かなかったが、ハルシャ王子自身の問題として捉えると、まさにそこが図星であった。
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