今更気付いてももう遅い。

ユウキ

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その後④

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白い砂浜を、この旅路を思い出しながら進む。

引き渡しまでの2ヶ月を待たずに国を出た。
国王が足元の小さな騒ぎに気取られている内に、強行突破するのが最善と考えたからであるが。屋敷に引き篭もっていると思っているだろうが、気づいた頃には、住人が変わっているとは思いもしないだろう。

旅路も直接ではなく、痕跡を追えない様に遠回りもした。

ここに来るまでに半年もかかったのは、致し方のない事だ。


潮風に乗って、笑い声が耳を掠める。
足元から視線を上げれば、波に足先を付けながら子供達が遊び、それを近くで見守る大人が3人。

先に気づいたのは大人のうちの1人だった。



「兄さん!遅かったじゃないか!」


大きな声で、手を振るのは良い歳をした弟だ。


「……え、あ、お父様っ!?」


元気のいい声に苦笑して、深く被っていた帽子を取って軽く振る。
子供達の中から飛び出て、砂に足を取られながら裸足で走るオフィーリアは、塞ぎ込む前よりももっと快活になった様に思えた。


「お帰りなさいませっ!!」


躊躇わずに父に抱きついたオフィーリアは、無事を確かめる様に顔を覗き込んだ。


「ご無事で、安心しましたわ」
「これでも多少の旅には慣れているんだ。心配ないさ。皆んなと仲良くなったのかい?」
「ええ!叔父様の子供、みんな元気で色々教えてくれるの。良い子ばかりだわ」


娘の満面の笑顔に、ホッと息をついた父は、弟へと笑顔を向けた。


「久しぶりだね兄さん、元気そうで安心したよ」
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