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クリスティーナは静かに屋内に入ると、その様子をスノウに気付かれるまで眺めた。

少しするとスノウの横に立つ女性、子供たちの母親であるマーヤに気付かれ、スノウがクリスティーナを見た。

びっくりした顔は段々とクシャリと歪められて目に涙が溜まっていくのが離れた場所からも見える。


「遅くなってごめんね、スノウ。良い子にしてたのね」
「クリ、スティ…ナ、さっ」


ボロボロと溢れ出て落ちる大粒の涙を拭いもせずに、スノウは駆け寄る。クリスティーナに後数歩と言うところでピタリと足を止めた。


スノウはスカートをギュッと握りしめて口を引き結んでクリスティーナを見つめたままヒックヒックとしゃくりあげる。
訴えるように見上げる様は、とても我慢しているように見える。

クリスティーナは膝をついて柔らかく微笑んで迎えるように手を広げた。


「ふふ、何を我慢しているの?さぁおいで。抱っこさせて頂戴っ」
「っ……!!ティナ、さまっ!」


スノウ堪らずにその広げられた腕の中に飛び込んで抱きついた。
辛く冷たい中で生きてきた小さなスノウ。我慢を強いられてきた環境で、愛される事を知らない、声をあげて泣く事を知らない彼女が、初めてクリスティーナの腕の中で声をあげて泣いた瞬間だった。




「ちょっと見ない間に重くなったわ~。平均より軽いくらいだったからもっと重い方がいいのだけど、なんか切ないわね」


大泣きして疲れたのか、スノウはクリスティーナの腕の中で眠ってしまった。
マーヤが気遣ってリビングのクッションの上に寝かせようかと提案してくれたが、しっかりと掴んだまま眠ってしまったスノウの手を引き剥がす気になれずに、包み込むように横抱きにして椅子に座った。


「はじめまして。スノウがお世話になりました」
「マーヤと言います。娘が出来たみたいで嬉しかったから気にしないで~」


明るく笑い飛ばすマーヤに、兄弟たちの明るさの素を見た気がしたクリスティーナは、眠るスノウの背を撫でて、微笑んだ。

クリスティーナは、マーヤにスノウの様子を聞かせてもらうことにした。
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