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1週間が経ち、調査が完了した。
今回の件を重く受け止めた国王は、コルビン伯爵家の身分剥奪の上に財産没収、国外追放。連座として連なる家の褫爵、または奪爵を命じた。

その結果は、貴族家全てに通知された。
理由はもちろん明示した上で。


すると、クリスティーナ付きに配属されていた行儀見習いの残り2人が、「結婚が決まったので行儀見習いを終えて生家に戻る」と申し出た。


「まぁ、オレリー、ナリシア。同時に結婚が決まるなんて偶然ね?何故か他にも結婚が決まった方々が居るみたいなのだけど……春も近いし良いことだわ。2人には祝いの品を用意するから、楽しみにしてね?」



最後の挨拶にと王妃の執務室に現れた2人に、クリスティーナは手を叩いて喜びを表し、満面の笑みで祝福に言葉を伝えたのだが当の2人の顔色は何故か悪い。


「あの、いえ…」「お気遣いなきよう……」


小さな声だが、辞退の言葉を告げる彼女らの声色は必死である。

何せマウントを取ったり、匂わせたりと小さな棘を含ませた会話を、何度か口にして来た2人だ。

アシェリードに秋波を送る事もしていたし、誰にも頼まれてもいないのにも関わらず配属先の権限を濫用して、お茶を持っていこうとした事もある。

同じ考えの者が近くにいるからか、先を越されないようにと行動しているうちに段々とエスカレートしながらも、お互いを牽制し合ってもいた。

そんな中で身近な1人が国外追放に処された。
ビビるなと言う方が無理な話である。

追い討ちをかけるように結婚式に届くかもしれない王妃からの贈り物。

内容によっては王家の機嫌を損ねた嫁としてのレッテルと貼られかねない。いくら嫁側の権力や立場が上であってもひっくり返る可能性のある案件だ。

結婚式当日にクリスティーナから何が贈られるか分からないなんて、マリッジブルー以前の問題だろう。


「やだわ~、遠慮しないで?ね?ふふ」


年齢が近く、元変人令嬢と侮っていた2人はここに来てようやく骨身に染みた。

眼前にいるこの女こそが貴族の女性のトップに座する人物であり、王族の一員であるのだと。



「お心遣い…………ありがとう……ござい、ます」



完全敗北を悟った2人は、婚姻が決まった輝く花嫁の表情とは思えない、蒼白&引き攣り顔で王城を後にしたのだった。




因みに、結婚祝いに贈ったのは王家御用達の茶菓子とクリスティーナのお気に入りの茶葉と一見無難な物であったが、それを見つめる花嫁は疲れ顔の上に複雑そうであったと言うのは、全くの余談である。




──────────────

<補足>

クリスティーナは贈り物にそこまで深い思いはございません。

「あれ?この世界でも割れ物贈っちゃダメとかあるのかしら?」

で無難なお茶セットを選んだだけでございます。ホントダヨー。
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