55 / 63
55.
しおりを挟む
朝から薬草摘みに行って皆で食事の準備を進める事にした。食事パートは子供達の家でサロが中心に準備。デザートはスティラの家でスノウとラケルも手伝い準備に励む。もうそろそろ出来上がる頃に、ロブが勢いよく飛び込んできた。
「スティラさーん!母ちゃん帰って来たー!」
「ノックぐらいせんかー!バカタレー!」
「あ、やっべ」
「全く…」とぶつぶつ言いながらスティラはデザートの仕上げにかかった。
準備も終えてタルトやコンポートを沢山持って子供達の家に向かう。
小さなスノウは、お手伝いしたくて手を差し出したけれそ、苦笑したラケルにウサギのぬいぐるみを手渡されてしまった。
サクサクと雪を踏む足音がスノウの心を沈ませる。
みんな離れてまた1人になって……クリスティーナが迎えに来るまでずっと1人になったらどうしよう。
クリスティーナは本当に来てくれるんだろうか?ラケルも皆居なくなってしまうのでは無いか?
そこはかとない不安が、小さな胸を静かに押しつぶす様だった。
「スノウ、大丈夫ですか?」
ラケルの声にハッとしたスノウは、取り繕った笑顔を張り付けてなんとか「大丈夫だよ」とだけ返した。
いよいよ子供達の家に着いたスノウ達。スティラが扉をドンドンとノックする。
「はーーーーいどうぞーーー!!」
中から来客の確認もしない声が返ってきて、「やれやれ」と苦い笑みを浮かべたスティラがドアノブを回して中へと踏み入る。
「来客の確認くらいしなっ」
中は一層賑やかな音に満ちていて、スティラの苦言も笑って流されていった。皆は暖炉の前に集まって囲んでいて、それどころでは無い様だ。
「スティラさん、ありがとー、こっち置いてくれ」
「おおー、良い匂い!タルト?久々~」
「イーサン、二ドル。見ないうちにでかくなったねー。これ任せたよ」
持ってきたコンポートやタルトを、寄ってきた2人に預ける。薬を卸に行っていた2人もちょうど返ってきていた様だ。2人がスノウとラケル、護衛の男に気付いて声をかける前に横から大きな声が掛かった。
「スティラさーーーーん!ありがとね、ほんと助かったわー!早くこっち来て顔を見てやって~!」
「はいはい、ちょっと炊事場借りるよ。手を洗わなきゃだからね」
「スティラさーん!母ちゃん帰って来たー!」
「ノックぐらいせんかー!バカタレー!」
「あ、やっべ」
「全く…」とぶつぶつ言いながらスティラはデザートの仕上げにかかった。
準備も終えてタルトやコンポートを沢山持って子供達の家に向かう。
小さなスノウは、お手伝いしたくて手を差し出したけれそ、苦笑したラケルにウサギのぬいぐるみを手渡されてしまった。
サクサクと雪を踏む足音がスノウの心を沈ませる。
みんな離れてまた1人になって……クリスティーナが迎えに来るまでずっと1人になったらどうしよう。
クリスティーナは本当に来てくれるんだろうか?ラケルも皆居なくなってしまうのでは無いか?
そこはかとない不安が、小さな胸を静かに押しつぶす様だった。
「スノウ、大丈夫ですか?」
ラケルの声にハッとしたスノウは、取り繕った笑顔を張り付けてなんとか「大丈夫だよ」とだけ返した。
いよいよ子供達の家に着いたスノウ達。スティラが扉をドンドンとノックする。
「はーーーーいどうぞーーー!!」
中から来客の確認もしない声が返ってきて、「やれやれ」と苦い笑みを浮かべたスティラがドアノブを回して中へと踏み入る。
「来客の確認くらいしなっ」
中は一層賑やかな音に満ちていて、スティラの苦言も笑って流されていった。皆は暖炉の前に集まって囲んでいて、それどころでは無い様だ。
「スティラさん、ありがとー、こっち置いてくれ」
「おおー、良い匂い!タルト?久々~」
「イーサン、二ドル。見ないうちにでかくなったねー。これ任せたよ」
持ってきたコンポートやタルトを、寄ってきた2人に預ける。薬を卸に行っていた2人もちょうど返ってきていた様だ。2人がスノウとラケル、護衛の男に気付いて声をかける前に横から大きな声が掛かった。
「スティラさーーーーん!ありがとね、ほんと助かったわー!早くこっち来て顔を見てやって~!」
「はいはい、ちょっと炊事場借りるよ。手を洗わなきゃだからね」
28
お気に入りに追加
2,751
あなたにおすすめの小説




愛など初めからありませんが。
ましろ
恋愛
お金で売られるように嫁がされた。
お相手はバツイチ子持ちの伯爵32歳。
「君は子供の面倒だけ見てくれればいい」
「要するに貴方様は幸せ家族の演技をしろと仰るのですよね?ですが、子供達にその様な演技力はありますでしょうか?」
「……何を言っている?」
仕事一筋の鈍感不器用夫に嫁いだミッシェルの未来はいかに?
✻基本ゆるふわ設定。箸休め程度に楽しんでいただけると幸いです。

魅了が解けた貴男から私へ
砂礫レキ
ファンタジー
貴族学園に通う一人の男爵令嬢が第一王子ダレルに魅了の術をかけた。
彼女に操られたダレルは婚約者のコルネリアを憎み罵り続ける。
そして卒業パーティーでとうとう婚約破棄を宣言した。
しかし魅了の術はその場に運良く居た宮廷魔術師に見破られる。
男爵令嬢は処刑されダレルは正気に戻った。
元凶は裁かれコルネリアへの愛を取り戻したダレル。
しかしそんな彼に半年後、今度はコルネリアが婚約破棄を告げた。
三話完結です。

追放された悪役令嬢はシングルマザー
ララ
恋愛
神様の手違いで死んでしまった主人公。第二の人生を幸せに生きてほしいと言われ転生するも何と転生先は悪役令嬢。
断罪回避に奮闘するも失敗。
国外追放先で国王の子を孕んでいることに気がつく。
この子は私の子よ!守ってみせるわ。
1人、子を育てる決心をする。
そんな彼女を暖かく見守る人たち。彼女を愛するもの。
さまざまな思惑が蠢く中彼女の掴み取る未来はいかに‥‥
ーーーー
完結確約 9話完結です。
短編のくくりですが10000字ちょっとで少し短いです。
このたび聖女様の契約母となりましたが、堅物毒舌宰相閣下の溺愛はお断りいたします! と思っていたはずなのに
澤谷弥(さわたに わたる)
ファンタジー
マーベル子爵とサブル侯爵の手から逃げていたイリヤは、なぜか悪女とか毒婦とか呼ばれるようになっていた。そのため、なかなか仕事も決まらない。運よく見つけた求人は家庭教師であるが、仕事先は王城である。
嬉々として王城を訪れると、本当の仕事は聖女の母親役とのこと。一か月前に聖女召喚の儀で召喚された聖女は、生後半年の赤ん坊であり、宰相クライブの養女となっていた。
イリヤは聖女マリアンヌの母親になるためクライブと(契約)結婚をしたが、結婚したその日の夜、彼はイリヤの身体を求めてきて――。
娘の聖女マリアンヌを立派な淑女に育てあげる使命に燃えている契約母イリヤと、そんな彼女が気になっている毒舌宰相クライブのちょっとずれている(契約)結婚、そして聖女マリアンヌの成長の物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる