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「陛下、時間が合いましたら庭を散策しましょう。寒いですけれど雪の色に彩られた庭も素敵ですのよ」
「そうか。王族区の庭なら問題ないだろう。迎えに来よう」
「まぁ、嬉しいですわ」
隣同士に座るクリスティーナとアシェリードは、いつも以上にピッタリと身を寄せ合っている。勿論煽るためわざとここ最近そうしているが、そうとは知らないアシェリードの顔は緩みっぱなしである。
ミラと相談してアシェリードと共にいる時に給仕をさせて様子を見ているが、まだ尻尾は出て来そうにない。
「明日の予定は詰まっているのか?」
「いいえ、明日は少しゆっくりできますわ」
「そうか、では今日は遠慮なくてよさそうだね」
「陛下……遠慮したことありましたかしら?」
「其方が愛しくて歯止めが効かないのだ。すまない」
自然な流れで夜の話をしだしたアシェリードに、クリスティーナはツッコミを入れながら平静を装った。
2人の夜を思わせるやり取りに動揺したのか、「カチャン」と茶器がぶつかる音が響く。給仕係をしていたハイデリシアが「申し訳ございません」と咄嗟に謝罪した。
彼女は夢みがちなご令嬢という印象が強いものの、オレリーやナレシアほどの妬みは感じない。けれどふとした瞬間に見下す様な目をする時がある。
時々他愛もない話を空いた時間に振ると
「王妃殿下は本当にお美しくて羨ましいですわ~。私なんて“可愛い”とか“放っておけない”としか言われたことがなくって」
「私の家には温室がございますの。王妃殿下がお持ちのものとは違って小さいですが、南から取り寄せた花が沢山ございますの」
持ち上げながらも、主張は忘れない発言を繰り返すことが多い。
こんな娘居たなぁと、時代も背景も色々違えど人間やる事はそう変わらないものだと前世の職場に居たゆるふわ女子をハイデリシアに重ねて、何だか懐かしくなってさえ来ていたクリスティーナは、キラリと煌めく石のついたティースプーンを手に取ってくるくると紅茶をかき混ぜながらその水面を見つめた。
「そうか。王族区の庭なら問題ないだろう。迎えに来よう」
「まぁ、嬉しいですわ」
隣同士に座るクリスティーナとアシェリードは、いつも以上にピッタリと身を寄せ合っている。勿論煽るためわざとここ最近そうしているが、そうとは知らないアシェリードの顔は緩みっぱなしである。
ミラと相談してアシェリードと共にいる時に給仕をさせて様子を見ているが、まだ尻尾は出て来そうにない。
「明日の予定は詰まっているのか?」
「いいえ、明日は少しゆっくりできますわ」
「そうか、では今日は遠慮なくてよさそうだね」
「陛下……遠慮したことありましたかしら?」
「其方が愛しくて歯止めが効かないのだ。すまない」
自然な流れで夜の話をしだしたアシェリードに、クリスティーナはツッコミを入れながら平静を装った。
2人の夜を思わせるやり取りに動揺したのか、「カチャン」と茶器がぶつかる音が響く。給仕係をしていたハイデリシアが「申し訳ございません」と咄嗟に謝罪した。
彼女は夢みがちなご令嬢という印象が強いものの、オレリーやナレシアほどの妬みは感じない。けれどふとした瞬間に見下す様な目をする時がある。
時々他愛もない話を空いた時間に振ると
「王妃殿下は本当にお美しくて羨ましいですわ~。私なんて“可愛い”とか“放っておけない”としか言われたことがなくって」
「私の家には温室がございますの。王妃殿下がお持ちのものとは違って小さいですが、南から取り寄せた花が沢山ございますの」
持ち上げながらも、主張は忘れない発言を繰り返すことが多い。
こんな娘居たなぁと、時代も背景も色々違えど人間やる事はそう変わらないものだと前世の職場に居たゆるふわ女子をハイデリシアに重ねて、何だか懐かしくなってさえ来ていたクリスティーナは、キラリと煌めく石のついたティースプーンを手に取ってくるくると紅茶をかき混ぜながらその水面を見つめた。
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