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にっこりと微笑み、クリスティーナは令嬢を推してきた夫人達に同じ答えを返す。
「私、まだ把握していないことが多いの。王宮で行儀見習いをされているご令嬢方のお話を聞きたいわ」
「まぁ、是非!」
皆一様に喜びを表し、行儀見習いの令嬢達だけのお茶会をという流れを作り出す。クリスティーナはその様を微笑みながらじっと見つめて観察していた。
これといった収穫がなかった貴族夫人お茶会を経て、別の日に夫人達に推された行儀見習いのご令嬢を呼んでまたお茶会を開く事になった。
「王妃殿下とこうして、近くでお話しできるなんて夢の様ですわ」
クリスティーナよりやや年下の令嬢達は、無礼講と言ったためか若々しくキャッキャと楽しげにクリスティーナを持て囃す。
「普段の陛下は如何ですか?王妃殿下も今とお変わりはないのですか?」
「まぁ、貴女そんなことお聞きして失礼でしてよ?」
「ですが気になりますでしょう?2人だけの思い出とか、好まれる物とか…」
うっとりと夢見るように、しかしグイグイプライベートを聞いてくるのはハイデリシア。
保守派に属する伯爵家の娘である。
緩くふわふわと巻いた髪をハーフアップにして美しい花を模した髪飾りで留めている。
クリスティーナは前世のゆるふわ系腰掛け新人OLを思い出した。「そう言えばあんなん居たなぁ~」とちょっぴり前世を懐かしんだ。
「そうですわね、ですが私も少々存じ上げておりますのよ。お茶菓子や軽食をご用意致しますから。意外と甘味がお好きですとか……」
そう言いながらも意味ありげな視線をチラリと投げて寄越すのは、甘味と一緒に自分の身も投げ出しそうな妖艶な雰囲気を纏う新興派に属する子爵家のご令嬢、オレリー。
真っ直ぐな栗色の髪から覗く目元の黒子がまたセクシーなご令嬢である。
「アシェリードの事なら知っているわよ」と言う密かに香らせる、匂わせ系マウント女の様だ。
こんなのが側に居たなんて、なかなか厄介だわねと前世でのトラブルメーカーの女子社員を思い出していた。
匂わせ系女子。
さも自身の彼氏や夫と関係のあるように匂わせる。はっきり明言せずにSNSや写真、会話などから関係があるように思わせて関係悪化を招き破局に導く女だ。
厄介なのは、そうと匂わせただけで実際にはなんの関係も無かったりするところである。
クリスティーナはチラリと彼女を観察すると、さりげなく散りばめている装飾品がアシェリードの瞳の色だったり、髪の色だったりするのである。
「王妃殿下?こちらのバングルですか?とある高貴な方から頂きまして……お茶会には不似合いでしたでしょうか」
「いいえ?素敵なプラチナのバングルね。異国からの物かしら?透彫が素敵だわ」
「……ええ、隣国の物と伺いましたわ」
「何方から頂いたのかしら。素敵ね」
「それはちょっと……高貴な方からとしか。ふふ」
「まぁ、はっきり言えない様な方からなの?言えないようなご関係って思われるのは婚約中は頂けないわ。お控えになるのをお勧めするわ」
こう言う時は気付かない&言えない関係はダメよーと言う真っ当意見でスルーが正解。匂わせ女子は効果がないことが一番のダメージだったりするのだ。
「え……はい。申し訳ございません」
「私、まだ把握していないことが多いの。王宮で行儀見習いをされているご令嬢方のお話を聞きたいわ」
「まぁ、是非!」
皆一様に喜びを表し、行儀見習いの令嬢達だけのお茶会をという流れを作り出す。クリスティーナはその様を微笑みながらじっと見つめて観察していた。
これといった収穫がなかった貴族夫人お茶会を経て、別の日に夫人達に推された行儀見習いのご令嬢を呼んでまたお茶会を開く事になった。
「王妃殿下とこうして、近くでお話しできるなんて夢の様ですわ」
クリスティーナよりやや年下の令嬢達は、無礼講と言ったためか若々しくキャッキャと楽しげにクリスティーナを持て囃す。
「普段の陛下は如何ですか?王妃殿下も今とお変わりはないのですか?」
「まぁ、貴女そんなことお聞きして失礼でしてよ?」
「ですが気になりますでしょう?2人だけの思い出とか、好まれる物とか…」
うっとりと夢見るように、しかしグイグイプライベートを聞いてくるのはハイデリシア。
保守派に属する伯爵家の娘である。
緩くふわふわと巻いた髪をハーフアップにして美しい花を模した髪飾りで留めている。
クリスティーナは前世のゆるふわ系腰掛け新人OLを思い出した。「そう言えばあんなん居たなぁ~」とちょっぴり前世を懐かしんだ。
「そうですわね、ですが私も少々存じ上げておりますのよ。お茶菓子や軽食をご用意致しますから。意外と甘味がお好きですとか……」
そう言いながらも意味ありげな視線をチラリと投げて寄越すのは、甘味と一緒に自分の身も投げ出しそうな妖艶な雰囲気を纏う新興派に属する子爵家のご令嬢、オレリー。
真っ直ぐな栗色の髪から覗く目元の黒子がまたセクシーなご令嬢である。
「アシェリードの事なら知っているわよ」と言う密かに香らせる、匂わせ系マウント女の様だ。
こんなのが側に居たなんて、なかなか厄介だわねと前世でのトラブルメーカーの女子社員を思い出していた。
匂わせ系女子。
さも自身の彼氏や夫と関係のあるように匂わせる。はっきり明言せずにSNSや写真、会話などから関係があるように思わせて関係悪化を招き破局に導く女だ。
厄介なのは、そうと匂わせただけで実際にはなんの関係も無かったりするところである。
クリスティーナはチラリと彼女を観察すると、さりげなく散りばめている装飾品がアシェリードの瞳の色だったり、髪の色だったりするのである。
「王妃殿下?こちらのバングルですか?とある高貴な方から頂きまして……お茶会には不似合いでしたでしょうか」
「いいえ?素敵なプラチナのバングルね。異国からの物かしら?透彫が素敵だわ」
「……ええ、隣国の物と伺いましたわ」
「何方から頂いたのかしら。素敵ね」
「それはちょっと……高貴な方からとしか。ふふ」
「まぁ、はっきり言えない様な方からなの?言えないようなご関係って思われるのは婚約中は頂けないわ。お控えになるのをお勧めするわ」
こう言う時は気付かない&言えない関係はダメよーと言う真っ当意見でスルーが正解。匂わせ女子は効果がないことが一番のダメージだったりするのだ。
「え……はい。申し訳ございません」
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