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料理ができてくると、匂いに誘われたようにゴード、ロブとナットが部屋から出てきて寝ぼけ目のままテーブルへと着いた。なんとなく昨日と同じところに座ると、ナットが目を擦ってぼんやりとスノウを見つめる。


「おはよぉスノゥ~」
「おはよう……ナット」


えへへ~と笑うナットに釣られてスノウも自然と笑顔になった。
しかしそのホンワカとした雰囲気を押し除けるように、テーブルの真ん中にはドンッドンっ!と大皿とパンの入ったカゴが置かれ、木の大きめのお皿とスープの入ったカップが配られた。


「ぅおっし、今日はスノウが居るからな、ちょっとは行儀よく食うんだぞ?ゴードはスノウに料理取り分けてやれ。いいな?
今日も女神に感謝して、さぁ食うぞ!」

「「「「感謝ー!」」」」


スノウは目の前の光景を目を瞬かせて見ていた。先にとゴードがサラダとオムレツとパンを1個取りわ分けてくれた後は…



「あーーー!ずるいシュロ兄!俺が刺してたのに!」
「バカやろー油断しお前が悪い!最後に口に入ったもん勝ちだ」
「皿引き寄せんなー!」
「肉ほしーーー」
「野菜も食えお前らっっ!」
「ソースないの、ソース」



まさにテーブルの上で繰り広げられる戦争だった。

最近はクリスティーナと食事をすることが増えたスノウだったけれど、常に静かで優しい空気が流れていた。優しく美しいクリスティーナ側で食べる食事は心まで満たされる様で。

なので、目の前の賑やかを超越する様な食事風景には驚いて、固まってしまったのだった。


「スノウも食べないとナットに食われるぞっ」
「は、はいっ!」


「無茶言うなよ」とゴードが苦笑する隣でシュロとロブが、テーブル越しにパン籠を引っ張り合っているのが目に入る。賑やかすぎる食卓に、スノウもいつの間にか笑いながらなんとか食事を摂り終えた。




朝食の後、着替えると準備していた荷物を背負ったり籠を持ったりして早速家を出る。スノウはナットのお下がりに、緑の厚手のコートとベージュのマフラーを巻いてモコモコ状態だ。木靴は危ないからチョコレート色のブーツを借りた。

先頭はサロで最後尾はシュロ。間をゴードとロブ、ナットとスノウが一列で歩く。

途中途中木の実を取ったり、草や花を摘んだりしていく。道途中でゴードが実が鈴生りに実っている木にするすると登っていって大きな声で呼びかけた。


「おーい、カゴ準備しろ~」


いとも簡単に木に登っていくゴードにびっくりして見上げていた横をナットとロブがカゴを高く掲げて嬉しそうに跳ねた。


「わーい!いっぱい落として~!」
「ジャム・ソース、あ、甘いので似てたべるのも良いな!」


準備万端な2人の上に、ゴードが沢山の木の実を降らせ始めると、カゴからこぼれ落ちた実をシュロとサロが拾い上げてカゴへと投げ入れていく。

みんなが楽しみながらやる作業であっという間に籠いっぱいになった。


「よっし、こんだけあればスティラさんも喜ぶだろ。もしかしたら色々作ってくれるかもな~」

「「早く行こー!」」


待てないと目を輝かせた年少の2人は、兄達を急かす様に先へと進み始めた。
ドサっと音を立てて飛び降りたゴードに、「さ、行くぞ」と背中を押され、また先へと進み始めた。

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