39 / 63
39.
しおりを挟む
料理ができてくると、匂いに誘われたようにゴード、ロブとナットが部屋から出てきて寝ぼけ目のままテーブルへと着いた。なんとなく昨日と同じところに座ると、ナットが目を擦ってぼんやりとスノウを見つめる。
「おはよぉスノゥ~」
「おはよう……ナット」
えへへ~と笑うナットに釣られてスノウも自然と笑顔になった。
しかしそのホンワカとした雰囲気を押し除けるように、テーブルの真ん中にはドンッドンっ!と大皿とパンの入ったカゴが置かれ、木の大きめのお皿とスープの入ったカップが配られた。
「ぅおっし、今日はスノウが居るからな、ちょっとは行儀よく食うんだぞ?ゴードはスノウに料理取り分けてやれ。いいな?
今日も女神に感謝して、さぁ食うぞ!」
「「「「感謝ー!」」」」
スノウは目の前の光景を目を瞬かせて見ていた。先にとゴードがサラダとオムレツとパンを1個取りわ分けてくれた後は…
「あーーー!ずるいシュロ兄!俺が刺してたのに!」
「バカやろー油断しお前が悪い!最後に口に入ったもん勝ちだ」
「皿引き寄せんなー!」
「肉ほしーーー」
「野菜も食えお前らっっ!」
「ソースないの、ソース」
まさにテーブルの上で繰り広げられる戦争だった。
最近はクリスティーナと食事をすることが増えたスノウだったけれど、常に静かで優しい空気が流れていた。優しく美しいクリスティーナ側で食べる食事は心まで満たされる様で。
なので、目の前の賑やかを超越する様な食事風景には驚いて、固まってしまったのだった。
「スノウも食べないとナットに食われるぞっ」
「は、はいっ!」
「無茶言うなよ」とゴードが苦笑する隣でシュロとロブが、テーブル越しにパン籠を引っ張り合っているのが目に入る。賑やかすぎる食卓に、スノウもいつの間にか笑いながらなんとか食事を摂り終えた。
朝食の後、着替えると準備していた荷物を背負ったり籠を持ったりして早速家を出る。スノウはナットのお下がりに、緑の厚手のコートとベージュのマフラーを巻いてモコモコ状態だ。木靴は危ないからチョコレート色のブーツを借りた。
先頭はサロで最後尾はシュロ。間をゴードとロブ、ナットとスノウが一列で歩く。
途中途中木の実を取ったり、草や花を摘んだりしていく。道途中でゴードが実が鈴生りに実っている木にするすると登っていって大きな声で呼びかけた。
「おーい、カゴ準備しろ~」
いとも簡単に木に登っていくゴードにびっくりして見上げていた横をナットとロブがカゴを高く掲げて嬉しそうに跳ねた。
「わーい!いっぱい落として~!」
「ジャム・ソース、あ、甘いので似てたべるのも良いな!」
準備万端な2人の上に、ゴードが沢山の木の実を降らせ始めると、カゴからこぼれ落ちた実をシュロとサロが拾い上げてカゴへと投げ入れていく。
みんなが楽しみながらやる作業であっという間に籠いっぱいになった。
「よっし、こんだけあればスティラさんも喜ぶだろ。もしかしたら色々作ってくれるかもな~」
「「早く行こー!」」
待てないと目を輝かせた年少の2人は、兄達を急かす様に先へと進み始めた。
ドサっと音を立てて飛び降りたゴードに、「さ、行くぞ」と背中を押され、また先へと進み始めた。
「おはよぉスノゥ~」
「おはよう……ナット」
えへへ~と笑うナットに釣られてスノウも自然と笑顔になった。
しかしそのホンワカとした雰囲気を押し除けるように、テーブルの真ん中にはドンッドンっ!と大皿とパンの入ったカゴが置かれ、木の大きめのお皿とスープの入ったカップが配られた。
「ぅおっし、今日はスノウが居るからな、ちょっとは行儀よく食うんだぞ?ゴードはスノウに料理取り分けてやれ。いいな?
今日も女神に感謝して、さぁ食うぞ!」
「「「「感謝ー!」」」」
スノウは目の前の光景を目を瞬かせて見ていた。先にとゴードがサラダとオムレツとパンを1個取りわ分けてくれた後は…
「あーーー!ずるいシュロ兄!俺が刺してたのに!」
「バカやろー油断しお前が悪い!最後に口に入ったもん勝ちだ」
「皿引き寄せんなー!」
「肉ほしーーー」
「野菜も食えお前らっっ!」
「ソースないの、ソース」
まさにテーブルの上で繰り広げられる戦争だった。
最近はクリスティーナと食事をすることが増えたスノウだったけれど、常に静かで優しい空気が流れていた。優しく美しいクリスティーナ側で食べる食事は心まで満たされる様で。
なので、目の前の賑やかを超越する様な食事風景には驚いて、固まってしまったのだった。
「スノウも食べないとナットに食われるぞっ」
「は、はいっ!」
「無茶言うなよ」とゴードが苦笑する隣でシュロとロブが、テーブル越しにパン籠を引っ張り合っているのが目に入る。賑やかすぎる食卓に、スノウもいつの間にか笑いながらなんとか食事を摂り終えた。
朝食の後、着替えると準備していた荷物を背負ったり籠を持ったりして早速家を出る。スノウはナットのお下がりに、緑の厚手のコートとベージュのマフラーを巻いてモコモコ状態だ。木靴は危ないからチョコレート色のブーツを借りた。
先頭はサロで最後尾はシュロ。間をゴードとロブ、ナットとスノウが一列で歩く。
途中途中木の実を取ったり、草や花を摘んだりしていく。道途中でゴードが実が鈴生りに実っている木にするすると登っていって大きな声で呼びかけた。
「おーい、カゴ準備しろ~」
いとも簡単に木に登っていくゴードにびっくりして見上げていた横をナットとロブがカゴを高く掲げて嬉しそうに跳ねた。
「わーい!いっぱい落として~!」
「ジャム・ソース、あ、甘いので似てたべるのも良いな!」
準備万端な2人の上に、ゴードが沢山の木の実を降らせ始めると、カゴからこぼれ落ちた実をシュロとサロが拾い上げてカゴへと投げ入れていく。
みんなが楽しみながらやる作業であっという間に籠いっぱいになった。
「よっし、こんだけあればスティラさんも喜ぶだろ。もしかしたら色々作ってくれるかもな~」
「「早く行こー!」」
待てないと目を輝かせた年少の2人は、兄達を急かす様に先へと進み始めた。
ドサっと音を立てて飛び降りたゴードに、「さ、行くぞ」と背中を押され、また先へと進み始めた。
1
お気に入りに追加
2,717
あなたにおすすめの小説
骸骨と呼ばれ、生贄になった王妃のカタの付け方
ウサギテイマーTK
恋愛
骸骨娘と揶揄され、家で酷い扱いを受けていたマリーヌは、国王の正妃として嫁いだ。だが結婚後、国王に愛されることなく、ここでも幽閉に近い扱いを受ける。側妃はマリーヌの義姉で、公式行事も側妃が請け負っている。マリーヌに与えられた最後の役割は、海の神への生贄だった。
注意:地震や津波の描写があります。ご注意を。やや残酷な描写もあります。
妹に傷物と言いふらされ、父に勘当された伯爵令嬢は男子寮の寮母となる~そしたら上位貴族のイケメンに囲まれた!?~
サイコちゃん
恋愛
伯爵令嬢ヴィオレットは魔女の剣によって下腹部に傷を受けた。すると妹ルージュが“姉は子供を産めない体になった”と嘘を言いふらす。その所為でヴィオレットは婚約者から婚約破棄され、父からは娼館行きを言い渡される。あまりの仕打ちに父と妹の秘密を暴露すると、彼女は勘当されてしまう。そしてヴィオレットは母から託された古い屋敷へ行くのだが、そこで出会った美貌の双子からここを男子寮とするように頼まれる。寮母となったヴィオレットが上位貴族の令息達と暮らしていると、ルージュが現れてこう言った。「私のために家柄の良い美青年を集めて下さいましたのね、お姉様?」しかし令息達が性悪妹を歓迎するはずがなかった――
父が再婚してから酷い目に遭いましたが、最終的に皆罪人にして差し上げました
四季
恋愛
母親が亡くなり、父親に新しい妻が来てからというもの、私はいじめられ続けた。
だが、ただいじめられただけで終わる私ではない……!
時間が戻った令嬢は新しい婚約者が出来ました。
屋月 トム伽
恋愛
ifとして、時間が戻る前の半年間を時々入れます。(リディアとオズワルド以外はなかった事になっているのでifとしてます。)
私は、リディア・ウォード侯爵令嬢19歳だ。
婚約者のレオンハルト・グラディオ様はこの国の第2王子だ。
レオン様の誕生日パーティーで、私はエスコートなしで行くと、婚約者のレオン様はアリシア男爵令嬢と仲睦まじい姿を見せつけられた。
一人壁の花になっていると、レオン様の兄のアレク様のご友人オズワルド様と知り合う。
話が弾み、つい地がでそうになるが…。
そして、パーティーの控室で私は襲われ、倒れてしまった。
朦朧とする意識の中、最後に見えたのはオズワルド様が私の名前を叫びながら控室に飛び込んでくる姿だった…。
そして、目が覚めると、オズワルド様と半年前に時間が戻っていた。
レオン様との婚約を避ける為に、オズワルド様と婚約することになり、二人の日常が始まる。
ifとして、時間が戻る前の半年間を時々入れます。
第14回恋愛小説大賞にて奨励賞受賞
やり直し令嬢は本当にやり直す
お好み焼き
恋愛
やり直しにも色々あるものです。婚約者に若い令嬢に乗り換えられ婚約解消されてしまったので、本来なら婚約する前に時を巻き戻すことが出来ればそれが一番よかったのですけれど、そんな事は神ではないわたくしには不可能です。けれどわたくしの場合は、寿命は変えられないけど見た目年齢は変えられる不老のエルフの血を引いていたお陰で、本当にやり直すことができました。一方わたくしから若いご令嬢に乗り換えた元婚約者は……。
私は逃げます
恵葉
恋愛
ブラック企業で社畜なんてやっていたら、23歳で血反吐を吐いて、死んじゃった…と思ったら、異世界へ転生してしまったOLです。
そしてこれまたありがちな、貴族令嬢として転生してしまったのですが、運命から…ではなく、文字通り物理的に逃げます。
貴族のあれやこれやなんて、構っていられません!
今度こそ好きなように生きます!
【改稿版・完結】その瞳に魅入られて
おもち。
恋愛
「——君を愛してる」
そう悲鳴にも似た心からの叫びは、婚約者である私に向けたものではない。私の従姉妹へ向けられたものだった——
幼い頃に交わした婚約だったけれど私は彼を愛してたし、彼に愛されていると思っていた。
あの日、二人の胸を引き裂くような思いを聞くまでは……
『最初から愛されていなかった』
その事実に心が悲鳴を上げ、目の前が真っ白になった。
私は愛し合っている二人を引き裂く『邪魔者』でしかないのだと、その光景を見ながらひたすら現実を受け入れるしかなかった。
『このまま婚姻を結んでも、私は一生愛されない』
『私も一度でいいから、あんな風に愛されたい』
でも貴族令嬢である立場が、父が、それを許してはくれない。
必死で気持ちに蓋をして、淡々と日々を過ごしていたある日。偶然見つけた一冊の本によって、私の運命は大きく変わっていくのだった。
私も、貴方達のように自分の幸せを求めても許されますか……?
※後半、壊れてる人が登場します。苦手な方はご注意下さい。
※このお話は私独自の設定もあります、ご了承ください。ご都合主義な場面も多々あるかと思います。
※『幸せは人それぞれ』と、いうような作品になっています。苦手な方はご注意下さい。
※こちらの作品は小説家になろう様でも掲載しています。
婚約破棄してくださって結構です
二位関りをん
恋愛
伯爵家の令嬢イヴには同じく伯爵家令息のバトラーという婚約者がいる。しかしバトラーにはユミアという子爵令嬢がいつもべったりくっついており、イヴよりもユミアを優先している。そんなイヴを公爵家次期当主のコーディが優しく包み込む……。
※表紙にはAIピクターズで生成した画像を使用しています
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる