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「ほらよ、スープ飲んであったまれ」


コクンと頷くスノウは、あれからしばらく歩いたところにあるログハウスに連れてこられた。
暖炉の薪に火を入れられ、特等席である切り株の椅子に座らされた。

濡れたタオルを手渡され、汚れを自分で拭き取りおわると、木のカップに入った温められたスープ渡された。

彼らは皆スノウを気遣い、親切に接してくれる。クリスティーナに次いで嫌な顔をしない人たちに会ったという事もあるが、子供に会ったことがなかったスノウは、目を丸くしたままキョロキョロと視線を動かす。


「お前何歳いくつだ?一番下のコイツより下だよな?」
「わー、何歳いくつ?僕より下?妹ってやつだね?」
「違うわボケ」

「あ……5歳」
「あれー?一緒だー。……双子?」
「お前もう黙れ。とりあえず着替えだな。1人で着替えられるか?」

「大丈、夫です」

「そか。ナット、小ちゃくなってた服あったろ。貸してやんな」
「あーい」



着替え終わると、スノウは長いテーブルに呼ばれて空いてる席へと勧められて遠慮がちに座る。

借りた服は簡素だが厚手の生地の上下と毛糸でざっくり編まれたセーター。スノウには少々長かったが、裾や袖を折って対処したので問題ないが、初めて履く木靴は慣れるには時間がかかりそうだった。


「さて。まずは自己紹介だな。俺はサロ。この家の臨時リーダーをやってる。そして俺の右のこいつがシュロ。でその横がゴード、スノウの横のがナットでその横がロブ。俺ら兄弟なんだ。
上にはイーサン兄と二ドル兄が居て、帰ってくるのはもうちょっと先になる。
近くに住んでる大人に、朝になったら相談しに行くから今日は兄さんのベッドで寝てくれ」

「あ、ありがとう。よろしくお願いします」


ペコリと頭を深く下げると、スノウの隣のナットが頭を撫でた。


「お礼ちゃんと言えたら“いい子いい子な”んだよー」
「おいナット、女の子は優しくだって兄さんが言ってたぞ」
「え、そなの?ロブ。んじゃそぉーっとそぉーっと?……こう?」
「え?こうだよゆーっくりゆーっくり」


急に触れられてびっくりしたが、スノウは頭を撫でられる感覚に不快感はなかった。むしろ戸惑いしたが何処かくすぐったくて、どうしたら良いか分からなくて撫でられながらアワアワとしてしまう。


「おい、ちび2人、スノウで遊ぶな。困ってんだろ」

「えー?イヤイヤだった?」


ナットに尋ねられ、ロブに首を傾げて覗き込まれるとスノウは慌てて首を振って否定した。


「まぁ困ってないなら良いけど。顔は真っ赤だな。そうだゴード、毛布出してやれ」
「あいよ~ぉ」

「シュロ、明日スティラさんとこ行くから準備するぞ」
「だな。ついでに持っていくもの纏めとくか」
「だな。あー、色々増えそ~」
「うげーぇ。仕方ないけど~」


サロ達年長組はぶつぶつ言いながら奥へと引っ込み、ナット達年少組はスノウを連れて暖炉の近くへと移動した。


「スノウ、可愛いブレスレットだね。最近街で流行り出したチャームってやつに似てるねー」
「貰った、の」

「そうかー。あれ?これの中に入ってるのって…魔石?」
「うん。お守りだって…言ってた」

「お守り?へーぇ、迷子防止もできたら良かったのにな~」


スノウは銀色に光る華奢なチェーンの先で、コロコロと鳴る“お守り“を撫でながら曖昧に微笑んだ。
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