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しおりを挟む分かりやすい隠れ方だが、うまく隠れていると思っているのが美幼女だと思うと微笑ましさが倍増する。
クリスティーナはニヨニヨしながら近付いて膝を折った。
「2度目ましてね?スノウちゃん。私はクリスティーナ。出てきてくれると嬉しいわ」
適度な距離をキープしつつ優しく声をかけると、カーテンがビクッと震えたのがわかった。辛抱強く待っていると、カーテンの下から小さく見えていた足がウロウロと所在なさげにしているのが見えて、クリスティーナは頬を緩めた。
しばらく声を時折かけつつ待っていると、スノウがそっとカーテンに隙間を作って眼だけ覗かせじっと見つめてきた。
クリスティーナは「私は無害よ~」と訴える様に優しく微笑みかけると、少しずつ隙間が開いていき、とうとうスノウが姿を表してくれた。
「ス、スノウ……です」
まだ大部分はカーテンの影に隠れているけれど、その美しい容貌は隠せようもなく。明るくなった室内で輝いて見えた。
もちろんクリスティーナは「キャワっっっキャワィィ」と口元を押さえて悶絶中である。
「まぁ、ご紹介ありがとう。今日はプレゼントを持ってきたの。気に入ってくれると良いんだけど」
プレゼントをミラから受け取り、スノウへと押し出すと、スノウは不安げに瞳を揺らせながら自身に押し付けられている箱を仕方なさそうに受け取った。
「開けてみて?」
半分カーテンに隠れながら、言われた通りに手元の箱を床に置き上蓋を開けた。
「ゎ……」
その瞬間の輝く瞳と色づく頬をクリスティーナは見逃さず、気に入った事を確信してガッツポーズをした。
箱に入っていた品物を両手で拾い上げて持ち上げると、スノウは戸惑うような視線をクリスティーナへと向けた。
「貴女のものよ。気に入ってくれたら大切にしてくれると嬉しいわ」
まだ探るような瞳を向けつつも、小さく頷いたスノウは小さな両腕でそれを抱きしめた。
(やばぁっっっ!可愛すぎなんですけどぉぉ?!私、グッジョブ!)
プレゼントしたのは真っ白な、垂れ耳うさぎのぬいぐるみ。
スノウと同じ黒い瞳のぬいぐるみを抱く美幼女がどうしても見たかったクリスティーナは、良さそうなぬいぐるみを探したが思うような物は見つからなかった。
なので職人を呼んでデザインから考案して作らせたのだ。勿論クリスティーナのポケットマネーからの支払いである。色々拘り過ぎて少々値が張ったが、気にせず作らせた最早執念の一品といって差し支えないだろう。
そんな物とは知らずに大事そうに抱えるスノウを、部屋に備えられている長椅子に座るように優しく促した。
クリスティーナは時間が許す限りゆっくりとスノウと話をした。
スノウの母親はある没落した貴族の娘だった事。(事実上は)病気で亡くなっていること。
クリスティーナが親代わりに、スノウの面倒を見る事になった事など。
「私が忙しくてなかなか来れないかもしれないけど、何かあったら何でも言ってね?」
優しく微笑みかけて、間を置いて隣にちょこんと腰掛けるスノウへ手を伸ばして、艶やかな黒髪を撫でると大きな瞳に涙が盛り上がって潤みはじめる。拒絶されないか恐る恐る小さな肩に手を回して寄り添うように抱きしめると、スノウはクリスティーナの胸で声も上げずに身を震わせて泣いたのだった。
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