転生令嬢の危機回避術の結果について。

ユウキ

文字の大きさ
上 下
16 / 63

16.

しおりを挟む
「くそぅ、キラ顔の悪魔め……」



ちょっと前に同じ様な事を呟いていた気がするな、とどうでもいい事を考えながら、渋々お仕事に向かうアシェリードをベッドの上でなんとか見送ったクリスティーナは、やはりその日の午後にやっとこそさ這い出て身支度をした。


「王妃殿下、こちら補佐につきましたラケル、クロル、アトリでございます」


早速ミラが見繕った補佐兼専属侍女3人が連れてこられ、王妃の居室にて紹介される。

並んだ3人は従順そうな良い娘に見える。


「そう、仕事が早いわねミラ。早速だけれど貴方達にお仕事を任せたいの。采配はミラに任せるから頼むわね」

「「「はい、王妃殿下」」」


まず頼んだのは現在の王宮の人員配置把握とリスト化、そしてスノウの一日の過ごし方や周りの環境だった。


思い立ったが吉日!とばかりにサクッと環境改善、美幼女と戯れライフをしようと思っていたクリスティーナだったのだが、日が暮れてくるとどんなに取り込み中でもご機嫌なアシェリードに寝室に引き摺り込まれ、翌日昼頃まで籠もらざる得ない状況のせいで思う様に進められなかった。



「業務改革しましょう」
「王妃殿下……?」


栄養ドリンクが代わりの効能の高い薬草青汁を一気飲みしたクリスティーナは、そう宣った。


「まず現状把握するのに、全部文章だけで纏めるのに無理があるし、前日の続きをするのに読み込み直していたら進みが悪いし」
「「「「はぁ……」」」」


まずは資料の規格統一化で雛形を作り、部署ごとに分けられた箱に情報更新があった場合に箇条書きで書き込んでポストしてもらうことに。

同じ様に備品管理も雛形を作り、要らん文言を削除。何が何処にどれだけ必要かを調べて定期購入出来るところはする。変動がある部分は都度申請用紙の提出し、部署ごとにファイリング。

過去の分は所定の文書保管室で管理することに決めさせた。

これはクリスティーナがユイマール領で行なっている事業を立ち上げる際に決めた仕組みだった。
理由は貴重な薬草の横流し、取り扱い注意な薬品の紛失や悪意のある二次流用などの防止のためであった。透明化する事で、誰でもわかる管理体制となり、結果引き継ぎもスムーズにできたのだ。


反発もあるだろうからと、クリスティーナはアシェリード最高権力者に事前に相談して承認をもらって黙らせることにした。


しかしそうして導入させた新体制は、知らぬところで威力を発揮して思わぬ副産物を生み出していくのだが、その時の彼女は知る由もない。
しおりを挟む
感想 97

あなたにおすすめの小説

巻き戻ったから切れてみた

こもろう
恋愛
昔からの恋人を隠していた婚約者に断罪された私。気がついたら巻き戻っていたからブチ切れた! 軽~く読み飛ばし推奨です。

余命1年の侯爵夫人

悠木矢彩
恋愛
余命を宣告されたその日に、主人に離婚を言い渡されました

もう終わってますわ

こもろう
恋愛
聖女ローラとばかり親しく付き合うの婚約者メルヴィン王子。 爪弾きにされた令嬢エメラインは覚悟を決めて立ち上がる。

愛など初めからありませんが。

ましろ
恋愛
お金で売られるように嫁がされた。 お相手はバツイチ子持ちの伯爵32歳。 「君は子供の面倒だけ見てくれればいい」 「要するに貴方様は幸せ家族の演技をしろと仰るのですよね?ですが、子供達にその様な演技力はありますでしょうか?」 「……何を言っている?」 仕事一筋の鈍感不器用夫に嫁いだミッシェルの未来はいかに? ✻基本ゆるふわ設定。箸休め程度に楽しんでいただけると幸いです。

魅了が解けた貴男から私へ

砂礫レキ
ファンタジー
貴族学園に通う一人の男爵令嬢が第一王子ダレルに魅了の術をかけた。 彼女に操られたダレルは婚約者のコルネリアを憎み罵り続ける。 そして卒業パーティーでとうとう婚約破棄を宣言した。 しかし魅了の術はその場に運良く居た宮廷魔術師に見破られる。 男爵令嬢は処刑されダレルは正気に戻った。 元凶は裁かれコルネリアへの愛を取り戻したダレル。 しかしそんな彼に半年後、今度はコルネリアが婚約破棄を告げた。 三話完結です。

追放された悪役令嬢はシングルマザー

ララ
恋愛
神様の手違いで死んでしまった主人公。第二の人生を幸せに生きてほしいと言われ転生するも何と転生先は悪役令嬢。 断罪回避に奮闘するも失敗。 国外追放先で国王の子を孕んでいることに気がつく。 この子は私の子よ!守ってみせるわ。 1人、子を育てる決心をする。 そんな彼女を暖かく見守る人たち。彼女を愛するもの。 さまざまな思惑が蠢く中彼女の掴み取る未来はいかに‥‥ ーーーー 完結確約 9話完結です。 短編のくくりですが10000字ちょっとで少し短いです。

このたび聖女様の契約母となりましたが、堅物毒舌宰相閣下の溺愛はお断りいたします! と思っていたはずなのに

澤谷弥(さわたに わたる)
ファンタジー
マーベル子爵とサブル侯爵の手から逃げていたイリヤは、なぜか悪女とか毒婦とか呼ばれるようになっていた。そのため、なかなか仕事も決まらない。運よく見つけた求人は家庭教師であるが、仕事先は王城である。 嬉々として王城を訪れると、本当の仕事は聖女の母親役とのこと。一か月前に聖女召喚の儀で召喚された聖女は、生後半年の赤ん坊であり、宰相クライブの養女となっていた。 イリヤは聖女マリアンヌの母親になるためクライブと(契約)結婚をしたが、結婚したその日の夜、彼はイリヤの身体を求めてきて――。 娘の聖女マリアンヌを立派な淑女に育てあげる使命に燃えている契約母イリヤと、そんな彼女が気になっている毒舌宰相クライブのちょっとずれている(契約)結婚、そして聖女マリアンヌの成長の物語。

処理中です...