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「王妃殿下、大事ございませんか?」
「ええ、何ともないわ。……あの、さっきの子は」
クリスティーナがそう言って声の方へ振り返ると、後方に付き添ってくれていた鉄壁の無表情侍女ミラが、口元をキュッと引き結んで気まずそうに目を伏せている。
付き合ってみると存外わかりやすい人物だなと、何だかほっこりしつつ答えを急かさず必殺・無言の圧力を稼働しながらじぃっと待つ。
「………………前王妃様のご息女でございます」
たっぷり間を置いたが、無言の圧力に耐えきれずに答えたミラは、ほんの僅かに口端を歪める。
コレは訳ありだな、と察したクリスティーナはそのまま東屋中ほどへ足を進めて休憩用にと置いてあるベンチに腰を下ろす。
ミラ以外の護衛を下がらせると、ミラを向いの席へと座る様に促した。
固辞していたミラだったが、無言で強く催促するクリスティーナの真顔には耐えられなかったのか、またもや渋々と言った体で向いの椅子へと極浅く腰掛けた。
「忘れていた私も何だけど、どうして誰も紹介してくれなかったのかしら?」
「…………至らぬ点でございました。誠に申し訳ございません」
「うん・で?説明してくれる?」
「それは……」
「そう……じゃ、アシェリード様にお聞きした方が良いかしら」
「っ……」
忘れていたわけではなく隠していたっぽいと言うことが僅かな反応から見て取れる。しかしアシェリード本人に事情聞くのは憚られるらしいと、クリスティーナは静かに見つめながら解析する。
本人から詳しく聞けないんだったら、今ミラに聞いてしまうのが得策だろうと、質問の手を緩めることなく追求することにした。
「前王妃様の生家、今は伯爵でしたかしら?王都より北側の領地と伺っていた気がしたんだけど?」
「はい、元子爵領でもある彼のお方の生家は、北の辺境近くに位置し、牧畜が盛んな領地でございます」
当たり障りのない質問には、スラスラと答えるミラ。しかし目は伏せられたままである。
「王家は代々プラチナか、濃い金髪は居るけれど、南から血を入れたことはないわよね?」
「左様でございます」
「前王妃様のご生家でここ3代で同じ髪色の子でもいらっしゃるのかしら?」
「いえ、居られません……」
「なら、何であの子はツヤッツヤの黒髪なわけ?」
「………………」
「ええ、何ともないわ。……あの、さっきの子は」
クリスティーナがそう言って声の方へ振り返ると、後方に付き添ってくれていた鉄壁の無表情侍女ミラが、口元をキュッと引き結んで気まずそうに目を伏せている。
付き合ってみると存外わかりやすい人物だなと、何だかほっこりしつつ答えを急かさず必殺・無言の圧力を稼働しながらじぃっと待つ。
「………………前王妃様のご息女でございます」
たっぷり間を置いたが、無言の圧力に耐えきれずに答えたミラは、ほんの僅かに口端を歪める。
コレは訳ありだな、と察したクリスティーナはそのまま東屋中ほどへ足を進めて休憩用にと置いてあるベンチに腰を下ろす。
ミラ以外の護衛を下がらせると、ミラを向いの席へと座る様に促した。
固辞していたミラだったが、無言で強く催促するクリスティーナの真顔には耐えられなかったのか、またもや渋々と言った体で向いの椅子へと極浅く腰掛けた。
「忘れていた私も何だけど、どうして誰も紹介してくれなかったのかしら?」
「…………至らぬ点でございました。誠に申し訳ございません」
「うん・で?説明してくれる?」
「それは……」
「そう……じゃ、アシェリード様にお聞きした方が良いかしら」
「っ……」
忘れていたわけではなく隠していたっぽいと言うことが僅かな反応から見て取れる。しかしアシェリード本人に事情聞くのは憚られるらしいと、クリスティーナは静かに見つめながら解析する。
本人から詳しく聞けないんだったら、今ミラに聞いてしまうのが得策だろうと、質問の手を緩めることなく追求することにした。
「前王妃様の生家、今は伯爵でしたかしら?王都より北側の領地と伺っていた気がしたんだけど?」
「はい、元子爵領でもある彼のお方の生家は、北の辺境近くに位置し、牧畜が盛んな領地でございます」
当たり障りのない質問には、スラスラと答えるミラ。しかし目は伏せられたままである。
「王家は代々プラチナか、濃い金髪は居るけれど、南から血を入れたことはないわよね?」
「左様でございます」
「前王妃様のご生家でここ3代で同じ髪色の子でもいらっしゃるのかしら?」
「いえ、居られません……」
「なら、何であの子はツヤッツヤの黒髪なわけ?」
「………………」
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