8 / 63
8.
しおりを挟む
翌日からクリスティーナの生活は、とっても厳しいものへと変わる。
早朝に起こされて身支度を済ませると、最新の情報を聞かされながら朝食。王族マナーに始まり王侯貴族の派閥とパワーバランス、軽くお昼を摂ると、近年諸外国との力関係をみっちりetc、etc……
「クリスティーナ様はその他3ヶ国語、計算やマナーはしっかりされておりますので、教える事も少なくって楽ですわ」
とは、とある教育係談。
引きこもりアピールで本や勉強に精を出していなかったら……と、こっそり青ざめたのは言うまでもない。
クリスティーナは勉強漬けの毎日の中、何とか隙間時間を見出しては自分で起こした事業の調整や、ユイマール侯爵家と打ち合わせ、薬の品質をチェック、新薬製作の方向性を決定……などなど。
おはようからおやすみまで、目も回るほどの忙しさとはこの事か。と妙なテンションで納得しつつ、「何か忘れてるなぁ」という引っ掛かりを頭の片隅に覚えながらも怒涛の日々がすぎていく。
そしてあっという間の1年が過ぎて、クリスティーナはこの国の国王陛下であるアシェリードと結婚式を挙げた。
後妻という事もあり、主だった高位貴族と重職に就く者、そしてユイマール侯爵家の一家という、王族にしては慎ましやかな式であった。
婚約期間中の1年でクリスティーナとアシェリードはそこそこ距離を近づけていくことに成功していた。時間が空けば顔を出しにくるアシェリードの努力のお陰でもある。
と言っても、クリスティーナにとって、豆粒くらいに遠くで一度見かけたことのある程度の相手が、ちょくちょく顔を合わしてお茶を飲む程度の知り合いになったくらいの親しさだったが。
しかしながら式を挙げて口づけを交わした時には「あらやだチューしちゃったわ」と少々照れた。宴を終えた後に身を整えられて入れられた先で
「美しい……クリスティーナ。僕は幸せ者だな、聡明で美しい君を迎えることができて……」
「陛下……」
「アシェリードと呼んでくれ……2人だけの時は敬称も無しだ」
「ア、アシェリード……さま」
「ふふ、まだ夜は始まったばかりだ。いっぱい呼んで僕のクリスティーナ」
妖艶に微笑むアシェリードに覆い被さられながら、「あ、夫になったんだったわこの人」と、やっとこさ認識したのであった。
早朝に起こされて身支度を済ませると、最新の情報を聞かされながら朝食。王族マナーに始まり王侯貴族の派閥とパワーバランス、軽くお昼を摂ると、近年諸外国との力関係をみっちりetc、etc……
「クリスティーナ様はその他3ヶ国語、計算やマナーはしっかりされておりますので、教える事も少なくって楽ですわ」
とは、とある教育係談。
引きこもりアピールで本や勉強に精を出していなかったら……と、こっそり青ざめたのは言うまでもない。
クリスティーナは勉強漬けの毎日の中、何とか隙間時間を見出しては自分で起こした事業の調整や、ユイマール侯爵家と打ち合わせ、薬の品質をチェック、新薬製作の方向性を決定……などなど。
おはようからおやすみまで、目も回るほどの忙しさとはこの事か。と妙なテンションで納得しつつ、「何か忘れてるなぁ」という引っ掛かりを頭の片隅に覚えながらも怒涛の日々がすぎていく。
そしてあっという間の1年が過ぎて、クリスティーナはこの国の国王陛下であるアシェリードと結婚式を挙げた。
後妻という事もあり、主だった高位貴族と重職に就く者、そしてユイマール侯爵家の一家という、王族にしては慎ましやかな式であった。
婚約期間中の1年でクリスティーナとアシェリードはそこそこ距離を近づけていくことに成功していた。時間が空けば顔を出しにくるアシェリードの努力のお陰でもある。
と言っても、クリスティーナにとって、豆粒くらいに遠くで一度見かけたことのある程度の相手が、ちょくちょく顔を合わしてお茶を飲む程度の知り合いになったくらいの親しさだったが。
しかしながら式を挙げて口づけを交わした時には「あらやだチューしちゃったわ」と少々照れた。宴を終えた後に身を整えられて入れられた先で
「美しい……クリスティーナ。僕は幸せ者だな、聡明で美しい君を迎えることができて……」
「陛下……」
「アシェリードと呼んでくれ……2人だけの時は敬称も無しだ」
「ア、アシェリード……さま」
「ふふ、まだ夜は始まったばかりだ。いっぱい呼んで僕のクリスティーナ」
妖艶に微笑むアシェリードに覆い被さられながら、「あ、夫になったんだったわこの人」と、やっとこさ認識したのであった。
51
お気に入りに追加
2,751
あなたにおすすめの小説




愛など初めからありませんが。
ましろ
恋愛
お金で売られるように嫁がされた。
お相手はバツイチ子持ちの伯爵32歳。
「君は子供の面倒だけ見てくれればいい」
「要するに貴方様は幸せ家族の演技をしろと仰るのですよね?ですが、子供達にその様な演技力はありますでしょうか?」
「……何を言っている?」
仕事一筋の鈍感不器用夫に嫁いだミッシェルの未来はいかに?
✻基本ゆるふわ設定。箸休め程度に楽しんでいただけると幸いです。

魅了が解けた貴男から私へ
砂礫レキ
ファンタジー
貴族学園に通う一人の男爵令嬢が第一王子ダレルに魅了の術をかけた。
彼女に操られたダレルは婚約者のコルネリアを憎み罵り続ける。
そして卒業パーティーでとうとう婚約破棄を宣言した。
しかし魅了の術はその場に運良く居た宮廷魔術師に見破られる。
男爵令嬢は処刑されダレルは正気に戻った。
元凶は裁かれコルネリアへの愛を取り戻したダレル。
しかしそんな彼に半年後、今度はコルネリアが婚約破棄を告げた。
三話完結です。

追放された悪役令嬢はシングルマザー
ララ
恋愛
神様の手違いで死んでしまった主人公。第二の人生を幸せに生きてほしいと言われ転生するも何と転生先は悪役令嬢。
断罪回避に奮闘するも失敗。
国外追放先で国王の子を孕んでいることに気がつく。
この子は私の子よ!守ってみせるわ。
1人、子を育てる決心をする。
そんな彼女を暖かく見守る人たち。彼女を愛するもの。
さまざまな思惑が蠢く中彼女の掴み取る未来はいかに‥‥
ーーーー
完結確約 9話完結です。
短編のくくりですが10000字ちょっとで少し短いです。
このたび聖女様の契約母となりましたが、堅物毒舌宰相閣下の溺愛はお断りいたします! と思っていたはずなのに
澤谷弥(さわたに わたる)
ファンタジー
マーベル子爵とサブル侯爵の手から逃げていたイリヤは、なぜか悪女とか毒婦とか呼ばれるようになっていた。そのため、なかなか仕事も決まらない。運よく見つけた求人は家庭教師であるが、仕事先は王城である。
嬉々として王城を訪れると、本当の仕事は聖女の母親役とのこと。一か月前に聖女召喚の儀で召喚された聖女は、生後半年の赤ん坊であり、宰相クライブの養女となっていた。
イリヤは聖女マリアンヌの母親になるためクライブと(契約)結婚をしたが、結婚したその日の夜、彼はイリヤの身体を求めてきて――。
娘の聖女マリアンヌを立派な淑女に育てあげる使命に燃えている契約母イリヤと、そんな彼女が気になっている毒舌宰相クライブのちょっとずれている(契約)結婚、そして聖女マリアンヌの成長の物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる