別に要りませんけど？

サイドストーリー・レブンズ伯爵家前日譚

嫌な予感は当たるもの

　目の前には忌々しいものが、変わらず鎮座している。



　始まりは低位貴族と商会の会頭と言った面々が集まる夜会で、商会長として出席したパーティー。
　何故か現れた侯爵家の現当主である男は、柔かな笑顔を張り付けて人並みを縫って近づいて来た。


「レブンズ伯爵。久しいな」
「…………これはこれは閣下、お久しぶりでございます。珍しいですな、こういった会は初めてでは？」
「そうだね。まぁ……」


　胡散臭いが、相手は上の爵位だ。しゃーないが下手に出て様子を見ることに。

　領地の特産品や、最近力を入れている物、興味のある物の話を振って相手の情報を引き出していく。
それにしても目的はなんだ？と対面用の笑顔の奥で、相手の表情を具に観察する。

　ふと話の合間に、スパークリングワインの入ったグラスを受け取り、喉を潤した侯爵は、ふぅっと息を吐く。いよいよ本題か？


「……そういえば、レブンズ伯爵には息子さんが三人、娘さんが二人居るのだとか。多産で羨ましい限りですな」
「はは、まぁそう言う家系なモノで。閣下のところはお一人でしたか？」
「ぁあ、そうだね。こればかりは天の采配と、そろそろ諦めようというものです」
「まぁそうですね」


　あかん、嫌な予感がしてきたぞ？まさか、血統主義をあれだけ言ってたクセに、変な事言い出さんよなぁ？？早々に撤退しとこか。


「閣下、そろそろわたs」
「どうだろうか？うちの息子に、二人のうちどちらかを嫁に」


ちゅどーーーーん