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サイドストーリー・妹の冒険
これまた逃走
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「お前、名は何という」
「いえ、名乗るほどの者でもございませんわ。オホホ…」
「私が聞いているのだ。話せ」
ぃや、だからお前誰やねん。
これ聞いてイイやつじゃないよね?私商人用許可証で出入りしてるし。嫌な予感するけど、気付かないフリしてやり過ごす。
「フッ、この私を焦らそうとは」
「滅相もございませんわ」
「ますます面白い」
お前の頭がなぁっ!
…ともやっぱり言えずに、そのままジリジリと下がっていく。
「こら、そんなに下がってどうする。こっちへ来い」
「恐れ多いことですわぁ」
おかしい。姉直伝の「これで引かなきゃ普通じゃない⭐︎遠慮言葉連発」が効かない。って事はイカれヤロウか!まさかの王宮で遭遇するとは私も運がないっ
「遠慮せずとも良い。さぁ「エディオン様ー!どちらですか~?!」くっうるさいのが来たか」
どうやらこの男は、あの声が探している「エディオン様」と言うらしい。
「あら、お探しのようですわよ。どうぞそちらを優先なさって?」
「……お前は控え目なのだな」
こいつマジで大丈夫かいな。
シラーっとした目を向けながらスゥッと息を吸い込むと、私は淑女にあるまじき大声を出した。
「エディオン様はこちらですわー!!!」
「なっ!おい、何をっ」
「人の労力を無駄にしてはいけませんわ。お探しと言うことは、あの呼んでいる方にも譲れない用件があるのでしょう」
呼ばれてるんやからさっさと行けば?を遠回しに言ってみたのだが、どうやらまたしても通じないようだ。
「ふっ……自分より他を気遣うとは。本当にお前は控えめだな」
あんたホンマ大丈夫ぅ?
「エディオン様っ此方でしたか!」
ガサガサと生垣をかき分けて、エディオンを探していた声の主が現れた。
エディオンがそちらを振り返り、気を取られたのを見計らい、この心底面倒くさい場から走って逃げ出した。
なんか呼んでる気がしたけど、無視や無視。
そのまま荷物の納入用に充てがわれた一室に逃げ込んだ私は、従業員達が作業する中に入っていく。
「あ、ジゼルお嬢様納品終わりました─って何してるんですか?」
「気にせんで。木箱に蓋してさっさと帰ろ」
「いや、そうじゃなくて…はぁ、分かりました」
そうして呆れ顔の従業員たちは、何も言わずに木箱に蓋をして荷馬車へとどんどん乗せた。そして誰に止められる事もなく王宮を出られたのだった。
「いえ、名乗るほどの者でもございませんわ。オホホ…」
「私が聞いているのだ。話せ」
ぃや、だからお前誰やねん。
これ聞いてイイやつじゃないよね?私商人用許可証で出入りしてるし。嫌な予感するけど、気付かないフリしてやり過ごす。
「フッ、この私を焦らそうとは」
「滅相もございませんわ」
「ますます面白い」
お前の頭がなぁっ!
…ともやっぱり言えずに、そのままジリジリと下がっていく。
「こら、そんなに下がってどうする。こっちへ来い」
「恐れ多いことですわぁ」
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「遠慮せずとも良い。さぁ「エディオン様ー!どちらですか~?!」くっうるさいのが来たか」
どうやらこの男は、あの声が探している「エディオン様」と言うらしい。
「あら、お探しのようですわよ。どうぞそちらを優先なさって?」
「……お前は控え目なのだな」
こいつマジで大丈夫かいな。
シラーっとした目を向けながらスゥッと息を吸い込むと、私は淑女にあるまじき大声を出した。
「エディオン様はこちらですわー!!!」
「なっ!おい、何をっ」
「人の労力を無駄にしてはいけませんわ。お探しと言うことは、あの呼んでいる方にも譲れない用件があるのでしょう」
呼ばれてるんやからさっさと行けば?を遠回しに言ってみたのだが、どうやらまたしても通じないようだ。
「ふっ……自分より他を気遣うとは。本当にお前は控えめだな」
あんたホンマ大丈夫ぅ?
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「気にせんで。木箱に蓋してさっさと帰ろ」
「いや、そうじゃなくて…はぁ、分かりました」
そうして呆れ顔の従業員たちは、何も言わずに木箱に蓋をして荷馬車へとどんどん乗せた。そして誰に止められる事もなく王宮を出られたのだった。
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