別に要りませんけど?

ユウキ

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あなたの愛?

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 呆れ成分をたっぷり含ませた言葉に気付いたネイサンは、怒ったみたいで顔を赤くして眉を釣り上げた。


「それは貴様の家が、侯爵家との繋がりと利益を求めて」
「ご存知ないのですね」


 切ったったわ。最後まで聞くわけあらへん。
 仕方なくベッドから腰を上げて、ネイサンの向かいにある椅子に移動。腰を据えて説明したろ。何事も最初が肝心やもんな。


「我が実家は伯爵家ながらに、始まりは建国時期まで遡れる由緒ある家系ですわ。
 未だに伯爵位なのは、元々権力欲の薄い者ばかりで、陞爵を事あるごとに辞退。代々発生する当主争いは、“押し付け合い”で争いが発生するくらいですの。私、女で良かったと心底思っていますのよ」


 あぁ、継承権は男のみだもんなと、小さく呟いたネイサン。いくつか特例はあるんやけど。知らんかったりするんかな。今は置いとこ。


「そしてもう一つ特徴としては、多産である事。それが今回、侯爵様が求められたものの一つですわね。
 このお話を頂いた時、若い方が良いかと妹を推そうと思ったのですが、いつの間にか置き手紙を置いて居なくなっておりまして…………仕方なく私が参りましたの」


 ホンマに知らんかったんかいな。薄灯でも分かるくらい目を丸めるな、ネイサン(25歳)。
 大丈夫かな次代侯爵。


「……そう言った経緯なのですが。
 さて、何処かに貴方の愛が求められた箇所が、少しでもありまして?」



 心底分からんわぁって頬に手を当てて小首を傾げて聞いたら、ネイサンは今度は羞恥で顔を赤くした。

…………器用なこって。

貴族って顔に出したらあかんのよ?知ってた?


「そ……それはっやはり俺の愛がないと……」


 モゴモゴしたかと思うと、言うに事欠いてそれかいな。


「ですから、貴方の愛がなくとも家内の取り回しは出来ますし、貴方の愛がなくとも社交はできますし、貴方の愛がなくともヤるコトやれば子はできますでしょう?」


 まぁ最後は神様次第やけどなっと心で付け加えた。3段活用で「俺の愛は無価値」って説明したったけど、伝わったかなぁ~。
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