別に要りませんけど?

ユウキ

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初夜の前に

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………………なんやコイツ。


 って返事もせんでポカンとしていると、続けて言い募ってきた。


「俺には愛する女性がいる。家のためにお前と仕方なく結婚したのだ。
 俺に愛されるなどと、間違っても思うんじゃない。分かったなっ」


 新種のナルシストか?
 ポカンとしてしもうたやないかぃってちょっと恥ずかしくなったところで、お返事待ってそうやわ。



「……別に要りませんけど?」



 素直に返してやったら、ネイサンはビックリしてた。そら要らんやろ?


「政略ですし、大多数はそのようなものでしょう?貴方の事情はどうだか知りませんけど……私、未来の侯爵家を継ぐ子を産まなきゃいけないのですよ。愛がなくともできるモノなんでしょう?ヤる事ヤって頂かないと困りますわ」


 あ、あかん。最後ちょっと本音出たわ。
 実家の商売を手伝ってた関係で、下町に頻繁に出入りしてたから、本当は口も訛りもキツいんよね。気をつけよ。


「ヤる事って……!淑女が見下げ果てたモノ言いだな!」


 ネイサンが顔を赤くしながらお怒りですわ。
 愛する者が居る~って言うからにはウブじゃないよなぁ?


「あら、それを言うなら貴方の部屋に入るなり吐き捨てた言葉も、なかなか見下げ果てたモノでしてよ?」


 どう?言葉返し。
 え、コレで「うぐぅっ」とか言っちゃうの?詰まっちゃうの?
 やめてよ、煽り機能搭載してるんよ私。コレで詰まるなら、誰にも口撃したらあかんでネイサン。

 バツが悪くなったみたいで、フィっと視線を外してベッド近くに置かれていた椅子にどかりと座った。子供か。


「……ふん、貴様も我が侯爵家におもねり、擦り寄ってきたのだろう。そんな態度で良いと思っているのか?」


 言外に実家への圧力をチラつかせてきたぞコイツ。はーーーぁ。


「はぁ。貴方もしかしてこの結婚の意味、ご存知ないとか仰います?」
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