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信用がありませんわ

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「それからハイデリウス殿下の身辺も洗い終わりました。教師数名、側近候補の男、侍女数名を捕縛。関わった家門で伯爵以上のものは爵位を落とし、当主は親戚筋へと譲位して領地へ蟄居。王都への立ち入りを永久に禁じました。実行犯は強制労働施設へと連行済みです」


淡々と報告される結果に、静かに聞いていた一同の中で、殿下だけがソワソワと落ち着かな気にしていた。

それを見て察した国王陛下が「なんだ」と声をかけると、殿下は一度キュッと口を引き結ぶと、意を決した様に口を開く。


「あ、あの、陛下。ヘザー、ヘザー・アビルデンはどうなりましたか?」

「あの小娘か」

「アビルデン男爵家、ヘザー嬢は一連の家門とは無関係と確認されました。本日牢から出され、家に返される手筈です」


近衛騎士団長が捕捉する様にそう告げると、殿下はホッとした様に息を吐いた。


「帰される前に、少しだけ会って話しても宜しいでしょうか?」

「……会ってどうするというのだ」

「巻き込んだ事に……謝罪を」


辛そうに歪めた顔を俯かせてそう呟いた殿下の肩は、握りしめた手のせいか小さく震えていた。

一体どんな説教をすれば、ボンクラの代表の様な殿下がこうなるのかが甚だ疑問である。

王妃陛下は扇子を広げ、息子の劇的な成長を遂げた姿に目尻に涙を浮かべている。


「2人で会うことはならん」

「陛下……!っ、いえ、申し訳ございません」

「この場でなら許可しよう」

「えっっ!」

「連れてこさせよ」


陛下の言葉を受けて、近衛副団長が素早く部屋を出て行く。私を含め皆がその言葉に驚いたままだ。


「2人で変な約束をされるより、目の前で弁えさせながら言葉を交わさせる方がマシと踏んだのだろう」


お父様が小さく言葉を漏らした。
確かに、下手に言質を取られかねないことを2人きりという空間でされるより、それを覆すことができる国王陛下上位者が居るこの場であった方が安全と言うことなのね。

納得するとともに、ハイデリウス殿下の信用の無さに憐憫の情を沸かさせた。
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