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えーっと教育です…わ

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あの後「嘘だ」と喚く殿下に、鬱陶しくなったのか、オーウェンはハンカチを口に突っ込んで黙らせ、何処から取り出したのか紐で手首を縛って拘束し、使用人に指示を出して連れ出させたオーウェンは、机に突っ伏して深いため息を吐いた。

私はあっという間の出来事に、目を丸めているしか出来なかったけれど。


「………………3日後………………」



公園での約束事をふと思い出した私は、つい口を吐いて言葉が出た。私の言葉に、肩がピクリと動いた。



「……………………延期……かしら、ね………」



おかしいわ。顔が一切見えない筈なのに、黒いオーラをゆらりと噴出して、物凄く不服だと言う雰囲気が伝わってくる。なんて器用なのかしら。


「………………………………残念ね」


私がそう溢すと、オーウェンはゆっくりと身を起こして呟く。


「明日からアイツは辺境式ブートキャンプだ」


その時のオーウェンの顔は、笑っているのに歪んでいて、今から地獄が始まりそうな予感を思わせる、そんな顔をしていた。



大魔王に変身したオーウェンを背に帰宅した私は、お父様に今日元婚約者おバカが起こした事件を報告した。


「あー……なんだか騒がしいと思ったらそんな事が。数日騒がしくなるかなぁ」

「数日でどうにかなりますの?」

「まー…なんとか?とりあえず国立公園方面の隠し通路を封鎖してその近辺を調査。合わせて発見した通路も封鎖。準備出来次第隠し通路の出入り口を、物理的に内側から硬化して途中まで同じように硬化すれば……但し極少数、近衛騎士隊と騎士団長といった信頼のおける重職でしか出来ないだろうがな」

「そうですわね。一番手っ取り早くて安価なのはその案ですわ」

「それにしても、なんの因果かお前の婚約者の辺境伯邸で、お前の元婚約者を匿うとは。オーウェンくんも苦労するなぁ」

「辺境式ブートキャンプ……?なるものをするらしいですわ」


意外と楽しんでいるんじゃいかしら?と首を傾げて言えば、お父様は遠い目をして眉間に皺を寄せていた。


「……お前、特に予定ないんだったら、毎日様子を見に行ってあげなさい。良いね?」

「ぇえ?!……まぁ予定はありませんけど」

「それが回り回って、殿下の命に繋がるからね」

「?分かりましたわ?」

「はぁ。オーウェンくんも苦労するねぇ。同情しちゃうよ。さ、エリーとお茶でもするかなっ」


話は終わったとばかりに膝をポンと叩くと、いつもの如くお母様との逢瀬に勤しむようだ。

いそいそと部屋を出て行った背中を見て、改めて二人の関係を羨ましく思った。


「あんな二人になれるかしら……」


思わずこぼれ落ちた言葉は、誰の耳にも入る事なく霧散していった。
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