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通じませんわ…

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「神よりも俺を選んでくれて嬉しいよ」


ペカーっと後光が刺すような笑みを向けてきたオーウェンに、満足いくまで幻の三種のチーズケーキを味わった口元を拭う。


美味しかった。絶品だった。
あれを一生味わえないんなんて、ほんと無理。

神様ごめんなさい。
オーウェン悪魔に屈したけれど、仕方ないと思えるほどだった。


けれど失敗したからと言って、諦める私じゃなくってよ!

私は気を取り直して、しょげていた頭をクイっとあげると、オーウェンを見据えた。


「オーウェン様……あの様な形で申し込みをしてしまった私がいけないのですけれど……私、貴方様に相応しいとは思えませんの」

「気にしなくていい。元王族の婚約者として教育されたアデレイズに難癖をつけられる奴はいないさ」

「破棄された疵者ですわ」

「その疵は俺にとって、なんの問題にもならない。それにアデレイズの献身は皆の知るところだし、むしろ殿下に疵がついたと言える」


……まぁ、それはそうなんだけど。
ハイデリウス殿下に問題ありとして、再教育目的で離宮へと移られ、殿下の問題行動を幇助し関わっていた者、そしてその一族がスピード捕縛されて罰を受けたと聞くし。


「破棄宣言を受けた時の態度が悪かったでしょう?
面白おかしく言われたり、後ろ指を指されるかもしれませんわ…」

「王妃陛下の覚もめでたく、殿下の尻拭いに奔走しながらも公務仕事をこなし、王家であろうと悪行をきちんと諌めることが出来ると、高評価だそうだよ?」

「………………それは……どうも…?いえ、でも恥ずかしながらこんな性格では、殿方は敬遠しますでしょう?」

「むしろ要らぬ虫が寄らないなら好都合。俺はその性格に忌避感はないな」

「こ、攻撃的ですし」

「辺境からすれば可愛いもんだ」



どうしよう、何も通用しないんだけれども。
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