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嘘ですわよね?

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「お父様のお知り合いじゃないの?」

「私の知り合いと言えばそうだけどな。お前も知っている相手だ」

「???勿体ぶらずに教えてくださいませ」

「はぁぁぁぁ、マジか。まぁ最後に会ったのは婚約が決まる直前だったしな」

「そんな前なのですか?」

「貴女一応王族の婚約者ですからね。無闇矢鱈と未婚の男の子とは会わせられなかったもの」

「ふぅん?で?誰ですの?」


「デイモアール辺境伯の嫡男、オーウェンだ。小さい頃、ディモアール家の都合で息子だけ王都に数年滞在することになって。折角だからこの家で預かったろ。ネイトやお前と庭でよく遊んだんだが忘れたのか?」


「……………………オー………………ウェン?」


私はお父様が明かした名前に、雷に打たれた様な衝撃を受けて呆然としてしまう。




オーウェン。



確かにそんなのが居た。

小さい頃、お父様が「友人の夫婦」と言った大人二人に連れられてきた男の子。亜麻色の髪に海の様に深い紺碧の双眸。生意気そうな表情をして、私達兄妹をじっと見つめていた。

「友人の夫婦」はその子を残して領地へと戻っていった。時折母親だけ戻ってきたり、親戚?がきたりはしていたけれど、生意気そうなのに寂しげな雰囲気の子。


兄のネイトとは直ぐに仲良くなった。
棒を振り回してチャンバラごっこや木登り競争、秘密基地制作。

私は一生懸命ついていこうとした。兄はそんな私を困った顔をしながら待っててくれたけれど、奴はぶすーっとした顔で嫌味を言ってきた。「トロい」「お人形遊びでもしてろよ」「似合ってないっつーの」とかなんとか。


私は、私は………




………キレたんだわ。そう、キレた。



小ちゃいながら詰め寄って、思いっきり脛を蹴飛ばしたんだったわ。


「アンタなんかと遊ばないわよっ!お兄様と遊びたいの!後からしゃしゃり出たのはアンタでしょ?!小ちゃい男ね!!」


的なことを言ったんだったかな。
そういえば、なんか言うたびにお父様やお母様に文句言っては宥められてたな。



若かったのよ。私も。




え?待って待って待って待って。




え?誰と婚約したって?誰が?私?


…………………………あいつと?


………………私が?





「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
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