婚約破棄されてイラッときたから、目についた男に婚約申し込んだら、幼馴染だった件

サプライズですわ…よね？

お父様が重苦しく聞いてきて、目をパチクリとさせましたわ。

婚約？コンヤク？？？？


「？解消したばかりですわよ？」

「そんなのは知ってる。そうじゃないし、そこじゃない。お前、こちら、と、婚約、したのか？」


お父様は区切って強調して言うと、対面に座る青年を手で示した。


「…………んああ！」


何処かで見たことあるなーと、少々眠気の残る頭で考えていると、その顔はつい一昨日見たアドリブに乗ってくれた、男性と同じものだった。

えっと、確かあの時……


『貴方、私と婚約してくださるかしら？！』
『喜んで、我が愛しの君』ﾁｭｯ


……って感じだから、そう聞かれたら


「あーー……まぁ、それはそぅと言ぅ」
「と、アデレイズ嬢もお認めですので、宜しいですよね？」


青年は私の言葉を遮って切り取り、お父様へと言葉を向けた。お父様は仕方なさそうに重くため息を吐くと、青年へと返事をする。


「そのよう……ですな。しかし娘は勢いで」

「勢いでもなんでも申し込まれて、私は受け入れました。契約は口頭でも当事者の合意があれば成立するのです。今回は証人も居ますしね？それに、不都合が無いのであれば、良いのでは無いでしょうか？」

「ぃや、まぁそれは」

「では、契約成立ということで。書類は直ぐご用意できますので、今週また日を改めてお伺いします。それでは、私はこれで」


青年はスクっと立ち上がると爽やかに微笑んで私に礼をし、お父様へ握手を求めてグッと握りあうと颯爽と立ち去ってしまった。

見送りのためにと慌てて付いていったお父様とお母様。残された私は


「えーーーーぇっと……？」


まだ頭がついていっていなかった。


「婚約したってこと？？？？」


つまりはそういう事なのだろう。


「あの人と？私が」


……はっはーん？


「ドッキリね」


そうよね？え？そうよね？？