婚約破棄されてイラッときたから、目についた男に婚約申し込んだら、幼馴染だった件

ユウキ

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一難去ってまた来ましたわ

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「な、何事……」

「あっ、あで、なっ!あた、!」

「お母様、落ち着いてくださいませ?」


赤いやら青いやらと顔を変色させて、言葉を詰まらせ、バンバンと私の上掛けを叩くお母様の肩を両手で抑えてみると、パクパクと口を動かした。

金魚みたいだわねぇ……

と、暢気に思っていると、シェリが「申し訳ございません」と割って入った。

珍しい。と、そちらに目をやると、これまた珍しく焦ったような顔をしたシェリが、恭しく頭を下げた。


「お話中かと存じますが、まずはお着替えを最優先致したく……!」

「はっ、そうね!やって頂戴、簡単でも綺麗なのをササっと、急いで!」


シェリの後にずらずらとメイドや侍女が入ってくると、私は揉みくちゃにされたのだった。


とは言っても、メチャクチャ早い手際で朝の身支度、化粧と服と装飾品のコーディネートを済ませられたのだけど。


「なんでこれ着なきゃなの?」


デイドレスだけれども、なんか無駄に煌びやかな気が……

しかし、侍女達は殺気立つくらいな雰囲気で 私の意見を黙殺した。


「お早く!」という言葉にせかされて、私は来客用のサロンへと赴く(と言うか引き摺られてきた)

「何よ、もぅ」とぶつぶつ言いながら、開けられた来客用のサロンの扉をくぐると、額をハンカチで押さえたお父様と、その隣で貼り付けた様な愛想笑いを浮かべるお母様、対面に座る何処かで見かけた青年が座っていた。

3人とも私の入室に気づくと、バッと顔を向けて三者三様の表情を浮かべる。
お父様は困惑と怒り、お母様は困惑を浮かべ、青年は読めない笑顔。

なんなの?なんかの商談かしら??私関係あるのかしら?無いわよねぇ?


「アデレイズ。此方へ」


お父様が私の困惑をよそに、硬い声で私を促す。
取り敢えず従うかと、小さく礼をしてから素直にお父様の隣へと腰を下ろせば、ギュゥっと眉間に皺を寄せて、引き結んでいた口を開いた。


「……………お前、この方と婚約したって、本当なのか?」
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