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怒られましたわ

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遅めのブランチを終えて居間のソファーでのんびりしていると、お父様が帰ってきた。王宮へ行っていたらしい。


「アデレイズ、今いいか?」


困惑、怒り、悩みが織り混ざったような顔で声をかけてきたお父様。どうやら昨日の件でそんな顔をしているようだ。

わかる。私もそうだから。



「ええ。お茶は……要りますわよね」



静かに淹れたお茶は、膝に肘をついて指を組んで、前傾姿勢の格好で私の隣に座ったお父様の前に静かに置かれた。けれども折角入れたお茶に口もつけずに、お父様は重苦しい声色で聞いてきた。


「お前もその場で別の相手を引っ掛けたって、どう言うことだ?」

「………………あーーー…ん、成り行き?」

「成り行きで、お前は見知らぬ男に婚約を迫るのか?」

「………………オホホ…デスヨネー」


はぁぁぁっと、これまた重苦しい溜息をついたお父様は、クイッとヤケクソ気味に紅茶を口に含む。


「なんでも、殿下の素行を指摘して、手酷くこき下ろしたとか?」

「………………そう、デスネ。
申し訳ございません。疲労が溜まっていた上に、寝不足で…。キレてしまいましたの」

「はぁぁぁ。お前は…しかし、陛下は痛み分けということで、双方矛を収めて婚約は合意の上で解消にするのが良いのではと」

「まぁ、寛大なご配慮感謝いたしますわっ。是非そういたしましょうっ」


すごく苦労したけれど、なかった事になるなら万々歳だわ。妃教育は終わっているし、公務もなんやかんやでほぼほぼ代わって(押し付けられて?)いたけれどもうやらなくて良い。慰謝料?縁が切れるなら、要らんわそんなもん!な気分ですわ。

幸い我が家は資金に困ってはいない。
困るのは第三王子ハイデリウスの押し付け先くらいだろう。もう残ってないわよね?適齢期で未婚、お相手なし。すんごい年下か、未亡人か……になりそうよね。


知らんけど。
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