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サイドストーリー フレディ奮闘記
真っ直ぐに
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出迎えた僕に、満面の笑顔でアマンダが言ったのは「律儀ですねぇ」と、なんともアマンダらしい肩透かしな言葉だった。
背後で並んで出てきたアデラインは隣国で切ったのか、肩の上辺りまでに短くなった髪を揺らして背後から口をあんぐり開けたまま、姉の顔を覗き込んだ。
流石のアデラインも呆れ顔だ。
「そろそろ気づいても良さそうなものだと思うのは、僕のわがままなのかな?」
「いいえ、先輩。邪魔している私が言うのもなんだけど、お姉様はどうやら相当鈍いみたい」
分かって居たけど、アデラインが言う様に本当に鈍い。
「何?」と怪訝そうに眉を顰めて、僕とアデラインを探る様に見るアマンダの手から荷物を奪い取って、足元に置くと手を握った。
「あのね、幾ら何でも後輩っていうだけでここまで付き合う奴なんていないだろう?
君が好きで、頑張る姿が愛しくて、ずっとそばにいたいと下心を抱えているからに決まっているだろう?」
ポカンと口を開くアマンダに、このまま止める気のない僕は続けてはっきりと告げていく。
休日の取り合いに触れると、アマンダの後ろから顔を出したアデラインが舌を出したのが目に入る。
「君の気が向くまでは婚約しておいてくれる?結婚してもお仕事続けてもいいよ?
家は僕のが王宮に近いし、一緒に住めば王都に家も手に入るね」
いつかアマンダ口にした何気ない言葉すら、こんなに鮮明に思い出せる。
「え??」
「君が言ったんだろ?
『家は王都で。結婚は、働き続けても良いという人がいて、かつ気が向けば』って」
記憶を探る様に目を泳がせるアマンダは「言ったかも?」とモゴモゴと口の中でつぶやいている。
「全て条件が揃っている上に、僕は君を愛している。ね?」
もう勘違いで済まさせない。真っ直ぐアマンダの瞳と目を合わせて愛を告げる。後ろのアデラインがものすごく邪魔だけれども、ここで有耶無耶に流せば僕の想いはきっとずっと空回りするんだろう。
目をまん丸くして、口すらポカンと開いたままで固まっているアマンダ。ダメ押しに握っていたアマンダの手を優しく開かせて、手のひらへと口づけを落とす。
知っているアマンダ?
指先は賞賛、手の甲は敬愛、手首は欲望。
手のひらへは愛の懇願 ─ 相手へのプロポーズなんだよ。
口付けた手のひらを呆然と見ているアマンダは、ジワジワと言葉が浸透していったようで。
人が疎らになったホームで
「先輩、私のこと、好きだったの?!」
と、大きな声をあげた。
背後のアデラインが、驚いてピョンと跳ねてるよ?
「やっと伝わった。すぐにとは言わないから、返事をくれると嬉しいな。ひと段落着いたら手加減せず攻めに行くから。覚悟して?アマンダ」
赤く染まる君の頬に希望を灯して、僕は誰にも……過去の君にも遠慮する事もなく、君を一番に攫いに行くから。
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「全て条件が揃っている上に、僕は君を愛している。ね?」
もう勘違いで済まさせない。真っ直ぐアマンダの瞳と目を合わせて愛を告げる。後ろのアデラインがものすごく邪魔だけれども、ここで有耶無耶に流せば僕の想いはきっとずっと空回りするんだろう。
目をまん丸くして、口すらポカンと開いたままで固まっているアマンダ。ダメ押しに握っていたアマンダの手を優しく開かせて、手のひらへと口づけを落とす。
知っているアマンダ?
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口付けた手のひらを呆然と見ているアマンダは、ジワジワと言葉が浸透していったようで。
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「やっと伝わった。すぐにとは言わないから、返事をくれると嬉しいな。ひと段落着いたら手加減せず攻めに行くから。覚悟して?アマンダ」
赤く染まる君の頬に希望を灯して、僕は誰にも……過去の君にも遠慮する事もなく、君を一番に攫いに行くから。
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