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サイドストーリー フレディ奮闘記
出奔する姉妹①
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とうとう出奔計画当日になった。
アマンダは貴族籍を管理する科へと行って手続きを済ませると、上司に報告してそのまま出張の体で外へと出た。
僕は馬車止めで彼女を待ち、一路学園へ向かう。
卒業式は始まっているようで、閑散とした出入り口にアマンダを下すと、僕は近場の宿屋に向かって部屋を1室押さえた。寝室しかないような安い部屋だけど、着替えて出るくらいならこれでいいだろう。
アマンダから預かった荷物から、鉄道のチケット入った封筒がポケットから覗く。
これを見つけた伯爵夫人には焦ったが、侍女の誘導で「誕生日プレゼント」とは恐れ入る。まだ先だったよね?とは思わなかったのだろうか。
ボスんとベッドに腰を下ろした。
「……心配だ」
2人だけで。鉄道も中流向け指定席。ホテルも警備に力を入れているところだ。女性2人でも、普通なら要らぬ心配なのだろうけど。
「一緒に行きたい」
何度もアマンダにはダメだと言われたけど。
深い深いため息を何度かこぼすと、控えめなノック音が響く。アマンダかな?とそのまま許可を出すと、予想通りアマンダが姿を表した。
「どうだった?卒業式は」
「ええ、アディの輝く姿を目に出来てっ!本当に大きく立派になって……!」
感動の涙を流すアマンダを中に入れて、扉を閉める。腕に優しく触れながらベッドへ座るように誘導して、僕もちゃっかり横へと腰を下ろす。
普通なら意識しまくったり、緊張して然るべきシチュエーションのはずなのだが、彼女は咽び泣きに近い泣きっぷりで、雰囲気は甘くなりようがない。
仕方ないかと、内ポケットからハンカチを取り出してそっと涙を抑えてあげた。
「ひぃっく、先輩ありがっっ、とぉぅっ」
「まるで愛娘の結婚式にでも出たみたいな感じだよアマンダ」
「ぅぅ、だっってっ、うぃっく」
「アデライン来るまでに落ち着かないと、アデラインまで泣いちゃうよ?」
「そ、そりはっっ、だめっ」
「あーはいはい。擦らないで。こっちみてアマンダ」
こんな至近距離で覗き込んで、顔を拭っていてもアマンダは涙を止めるのに必死で気付きもしない。
ちょっと悔しくなった時
「ふふ、先輩いつもありがとっ、ひっく」
泣き笑いでフニャッと笑う顔はとても無防備で。
「せ、先輩?」
僕を一撃でベッドに沈めるには十分な威力であった。
アマンダは貴族籍を管理する科へと行って手続きを済ませると、上司に報告してそのまま出張の体で外へと出た。
僕は馬車止めで彼女を待ち、一路学園へ向かう。
卒業式は始まっているようで、閑散とした出入り口にアマンダを下すと、僕は近場の宿屋に向かって部屋を1室押さえた。寝室しかないような安い部屋だけど、着替えて出るくらいならこれでいいだろう。
アマンダから預かった荷物から、鉄道のチケット入った封筒がポケットから覗く。
これを見つけた伯爵夫人には焦ったが、侍女の誘導で「誕生日プレゼント」とは恐れ入る。まだ先だったよね?とは思わなかったのだろうか。
ボスんとベッドに腰を下ろした。
「……心配だ」
2人だけで。鉄道も中流向け指定席。ホテルも警備に力を入れているところだ。女性2人でも、普通なら要らぬ心配なのだろうけど。
「一緒に行きたい」
何度もアマンダにはダメだと言われたけど。
深い深いため息を何度かこぼすと、控えめなノック音が響く。アマンダかな?とそのまま許可を出すと、予想通りアマンダが姿を表した。
「どうだった?卒業式は」
「ええ、アディの輝く姿を目に出来てっ!本当に大きく立派になって……!」
感動の涙を流すアマンダを中に入れて、扉を閉める。腕に優しく触れながらベッドへ座るように誘導して、僕もちゃっかり横へと腰を下ろす。
普通なら意識しまくったり、緊張して然るべきシチュエーションのはずなのだが、彼女は咽び泣きに近い泣きっぷりで、雰囲気は甘くなりようがない。
仕方ないかと、内ポケットからハンカチを取り出してそっと涙を抑えてあげた。
「ひぃっく、先輩ありがっっ、とぉぅっ」
「まるで愛娘の結婚式にでも出たみたいな感じだよアマンダ」
「ぅぅ、だっってっ、うぃっく」
「アデライン来るまでに落ち着かないと、アデラインまで泣いちゃうよ?」
「そ、そりはっっ、だめっ」
「あーはいはい。擦らないで。こっちみてアマンダ」
こんな至近距離で覗き込んで、顔を拭っていてもアマンダは涙を止めるのに必死で気付きもしない。
ちょっと悔しくなった時
「ふふ、先輩いつもありがとっ、ひっく」
泣き笑いでフニャッと笑う顔はとても無防備で。
「せ、先輩?」
僕を一撃でベッドに沈めるには十分な威力であった。
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