可愛い姉・美人な妹

サイドストーリー フレディ奮闘記

ジェライト家の真実

それは予想しない出来事だった。

3人で観劇した後に寄った、今流行りのカフェへと訪れた時だった。


時間もずれていたせいか、そこまで混んでいなかった店内。日差しをシェードで丁度よく遮ったテラス席へと案内される途中に、先を歩くアデラインが固まってしまった。

アデラインの一歩先を歩いていたアマンダが振り返り、アデラインを覗き込んで呼びかける。


「アディ……？」


すると、先に座っていたカップルの片割れがまるで自分が呼ばれたかのようにパッと振り向いた。

整った容貌の男性は、対外用の笑顔から表情がスッと抜け落ち、愕然とした面持ちへと変わっていく。

アデラインも伺うと同様の顔をして男を見つめている。


見比べるべくもない。その表情すらそっくりだった。


(……これはまさか……)


未だ調査中でちゃんとした情報が集まっていないのだけど……これはそういう事なんだろう。

そうすると、あの夫人は一体何を考えて……いや、考えていないからこそか……？

真実の一角にぶち当たった衝撃で呆然としていると、アマンダが「先輩、個室を」という言葉に促されて正気に戻った。

こうしている場合ではなかった。

早速店員に掛け合って空いている個室の確保をしてもらう。アマンダがその間に男へと話をつけたようだ。

アマンダが、真っ青なアデラインを抱くように支えて個室へと移動した。


「先輩、すみませんが先に帰って頂いても」
「アマンダ…知り合いでもない男性と、個室で話すのはアデラインにとっても良くないんじゃないか？此処で見聞きした事を、他人に漏らしたりしないと誓うから、せめて黙って同席する事だけは許してくれないか？」


アマンダを見つめて、君たち……いや、君が心配なんだと含ませた。


「先輩……心配性ですね」


困ったように笑い、アマンダはそう言った。


…………伝わってないよねコレ。