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可愛い姉と、私
まさかバレた…?
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そして翌月、姉は計画上2週間ほどまとまった休暇を申請するにあたり、信頼のおける上司に家を出て平民になる事情を説明しに行った。
不可となれば、辞めるしかないかと言っていたはずなのに結果、何故かお仕事の関係上(?)、侯爵家の養子に入ることになった。
どう言うことかは全くわからなかったけれど、一緒に驚きの声を上げたフレディが、ニヤリと笑ったのを見逃さなかった。
思わずテーブルの下で足を踏んでやった。
少し複雑な気持ちで家に帰ると、自室で違和感を感じた。母の香水の残り香がするのは、よくある事だったけど、何か…………
そうしてふと勉強用に備えられた机の引き出しが、中途半端に閉まっている事に気づいた。
「あ…………まさか!」
慌てて確認すると、本に挟んであった鉄道のチケットを入れた封筒が開いているのに気づいた。
綺麗に入れてあったはずなのに、中のチケットが乱雑になっている。
気付かれた? 気付いた? 邪魔される?
どうしよう どうしたら……
不安が視界を支配したように色が失われていく。
めまいが起こりそうで机に手をついて、倒れないように自身の体を支えた。
「と…………取り敢えず鍵のかかるところへ……
落ち着いて、落ち着くのよ。後は観察して……次会うときに相談しなきゃ」
震える息を吐くと、私は姉に会う約束の手紙を送り、夕食も取らずに自室に篭って浅い眠りについた。
翌日、母は拍子抜けするくらい何も言わなかった。いつも通り……ともすればちょっと浮かれている…くらいだろうか?
奇妙だけど、変に疑いの目を向けられたり追及されるよりマシかと思い、内心胸を撫で下ろす。
直ぐに姉に報告して謝罪すると、慰められた。
そしてなんと、姉はその翌週母に呼び出しを受けて、お金を無心されたらしい。
ろくに手をかけてあげなかった娘に、お金を無心?伯爵家の夫人が?到底理解できなかった。
話を聞くと、母はあのチケットを私が母の誕生日に、母と二人で旅行する計画を立てていると思ったらしいとのこと。
常に斜め上の曲解を出してくる母だが、今回はそのおかしな理解力に助けられた形となったようだ。
一気に脱力したのは言うまでもない。
不可となれば、辞めるしかないかと言っていたはずなのに結果、何故かお仕事の関係上(?)、侯爵家の養子に入ることになった。
どう言うことかは全くわからなかったけれど、一緒に驚きの声を上げたフレディが、ニヤリと笑ったのを見逃さなかった。
思わずテーブルの下で足を踏んでやった。
少し複雑な気持ちで家に帰ると、自室で違和感を感じた。母の香水の残り香がするのは、よくある事だったけど、何か…………
そうしてふと勉強用に備えられた机の引き出しが、中途半端に閉まっている事に気づいた。
「あ…………まさか!」
慌てて確認すると、本に挟んであった鉄道のチケットを入れた封筒が開いているのに気づいた。
綺麗に入れてあったはずなのに、中のチケットが乱雑になっている。
気付かれた? 気付いた? 邪魔される?
どうしよう どうしたら……
不安が視界を支配したように色が失われていく。
めまいが起こりそうで机に手をついて、倒れないように自身の体を支えた。
「と…………取り敢えず鍵のかかるところへ……
落ち着いて、落ち着くのよ。後は観察して……次会うときに相談しなきゃ」
震える息を吐くと、私は姉に会う約束の手紙を送り、夕食も取らずに自室に篭って浅い眠りについた。
翌日、母は拍子抜けするくらい何も言わなかった。いつも通り……ともすればちょっと浮かれている…くらいだろうか?
奇妙だけど、変に疑いの目を向けられたり追及されるよりマシかと思い、内心胸を撫で下ろす。
直ぐに姉に報告して謝罪すると、慰められた。
そしてなんと、姉はその翌週母に呼び出しを受けて、お金を無心されたらしい。
ろくに手をかけてあげなかった娘に、お金を無心?伯爵家の夫人が?到底理解できなかった。
話を聞くと、母はあのチケットを私が母の誕生日に、母と二人で旅行する計画を立てていると思ったらしいとのこと。
常に斜め上の曲解を出してくる母だが、今回はそのおかしな理解力に助けられた形となったようだ。
一気に脱力したのは言うまでもない。
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