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美人な妹と私
固まる決意
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「あの、母……ジェライト伯爵夫人とは親密な関係を?アデラインの親で有ると、お認めになられるのですか?」
「まぁ、そうなんじゃないかな。ここまでそっくりだと疑いようがないよね。
娘……かもしれない子に言うのは何とも気まずいね。ハハっ…
ジェライト伯爵夫人とは、まだ修行中の時に知り合ってね。僕は若かったし遊んでもいた。夫人は鬱憤が溜まっていたんだと思う。誘われるまま一定期間逢瀬を重ねて、修行期間が終わったから本店のある隣国へとお別れして帰ったんだ。…………まさかまさかだよ」
眉を下げて笑うアデルバードは、参ったねと呟いて頭を掻いていた。
「アディ……アデライン、どうする?」
泣き出しそうな妹の肩を優しく撫でれば、表情が見えなくなるまで俯いてしまった。
頭だけしか見えないが、その頭からは小さな声が聞こえた。
「どうも……しなくていいわ。責任取ってとかそんなの要らない。真実が知れた。それだけで十分だわ」
「そう…わかったわ。
アデルバード様、こちらから何か求める事も請求する事もないでしょう。お時間を頂き、ありがとうございました。」
まだ20代後半かと思われる若々しい容貌のアデルバードは、申し訳なさそうに、しかしどこか安堵の色をにじませた顔で席を立つと、「済まなかったね」と一言言いおいて去っていった。
「フレディ先輩、お茶でも頼みましょう。
お願いできますか?」
姉妹だけで相対するといった私に、知人でもない男性と個室に居させられない、見知った事は口外しないと言い、約束通り何も言わずに付き添ってくれたフレディは、給仕にお茶と摘めるようなお菓子を頼んでくれた。
そんなフレディに感謝を述べながら、運ばれてきたお茶やお菓子を妹にも勧めた。
落ち着いた頃、妹は固い決意のこもった瞳で私を見つめ、その決意を口にした。
「お姉様、迷いがなくなったわ。
─── 私も家を捨てます」
「まぁ、そうなんじゃないかな。ここまでそっくりだと疑いようがないよね。
娘……かもしれない子に言うのは何とも気まずいね。ハハっ…
ジェライト伯爵夫人とは、まだ修行中の時に知り合ってね。僕は若かったし遊んでもいた。夫人は鬱憤が溜まっていたんだと思う。誘われるまま一定期間逢瀬を重ねて、修行期間が終わったから本店のある隣国へとお別れして帰ったんだ。…………まさかまさかだよ」
眉を下げて笑うアデルバードは、参ったねと呟いて頭を掻いていた。
「アディ……アデライン、どうする?」
泣き出しそうな妹の肩を優しく撫でれば、表情が見えなくなるまで俯いてしまった。
頭だけしか見えないが、その頭からは小さな声が聞こえた。
「どうも……しなくていいわ。責任取ってとかそんなの要らない。真実が知れた。それだけで十分だわ」
「そう…わかったわ。
アデルバード様、こちらから何か求める事も請求する事もないでしょう。お時間を頂き、ありがとうございました。」
まだ20代後半かと思われる若々しい容貌のアデルバードは、申し訳なさそうに、しかしどこか安堵の色をにじませた顔で席を立つと、「済まなかったね」と一言言いおいて去っていった。
「フレディ先輩、お茶でも頼みましょう。
お願いできますか?」
姉妹だけで相対するといった私に、知人でもない男性と個室に居させられない、見知った事は口外しないと言い、約束通り何も言わずに付き添ってくれたフレディは、給仕にお茶と摘めるようなお菓子を頼んでくれた。
そんなフレディに感謝を述べながら、運ばれてきたお茶やお菓子を妹にも勧めた。
落ち着いた頃、妹は固い決意のこもった瞳で私を見つめ、その決意を口にした。
「お姉様、迷いがなくなったわ。
─── 私も家を捨てます」
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