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美人な妹と私
訪れた転機
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そんな幼い日に約束を胸に、二人で努力する日々の中、突然転機は訪れる。
私が卒業後、フレディを含めた3人で有名なカフェに訪れた時だった。
テラス席で目に入った男女のカップルが居た。
隣国で流行している最先端の細身のスーツを着こなす男性は、艶やかな癖のある黒髪を後ろへ緩くなでつけ、男性にしてはぱっちりとした黒い瞳が印象的だった。
何処かで見たなと思っていると、妹が私の袖を引いて佇んでいた。
「アディ……?」
どうしたのと傾げれば、その男性もまるで呼ばれたかのように、パッとこちらに振り向いた。
妹と男性は時が止まったかのようにしばし見つめ合っていた。しかしそれはうっとりと言う様なものでもなく、二人の顔に浮かんでいたのは“驚愕”だった。
私はフレディへ個室の利用を尋ねてもらう様にお願いしてから、男性へと近づく。
「お取り込み中失礼致します。アマンダと申します。
もしこの後お時間ございましたら、少しお話しさせていただきたいのですが」
「……ああ、構いませんよ。少し待っていてくれますか?」
無事個室を確保して男性へと言付けると、3人で席を囲み、男性の訪れを待った。
ややあってからやって来た男性は、一つ息をついて挨拶をした。
「初めまして、僕はアデルバード・ロクザンヌ。
ロクザンヌ商会の者です」
それぞれに挨拶を返し、ひとまず席についた。
「驚いたよ、急に愛称を呼ばれた気がしたから。君もアディという愛称なんだね」
わざとなのか、砕けた口調で緊張感のかけらもない、ともすればこれが商人気質なのかと感じてしまった。
確信をついた質問をすると、アデルバードはやっと気まずそうな顔に変わった。
私が卒業後、フレディを含めた3人で有名なカフェに訪れた時だった。
テラス席で目に入った男女のカップルが居た。
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何処かで見たなと思っていると、妹が私の袖を引いて佇んでいた。
「アディ……?」
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わざとなのか、砕けた口調で緊張感のかけらもない、ともすればこれが商人気質なのかと感じてしまった。
確信をついた質問をすると、アデルバードはやっと気まずそうな顔に変わった。
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