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美人な妹と私
根回し
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男子生徒は、美しい妹に何とかお近づきになろうと躍起になった。
しかし、ブローチなどの装飾品を見せても欲しがられず受け取られない。姉からの品物を大事にする姿に感銘を受けて余計に惚れ込むが、そのうち妹と仲良くなった女子生徒が間に入ってガードするようになる。
鉄壁の守りが出来てしまい、何人も撃沈する中「あの娘は観賞用」と共通認識が広まり、不可侵ルールが暗黙のうちに出来上がったのだった。
学園で妹とばったり会ったときには、いつも以上にキラキラとした輝く笑顔を携えて、当然のように腕を広げて早足で近づくとギューギューと抱きつく。
まるで生き別れの肉親に会ったかのような錯覚に陥るが、『朝一緒に通学しているよね?』という言葉は空気を読んであえて誰も発さないのである。
私としても、妹に良くしてくれる妹の同級生に顔を繋ぐためにも、張り付く妹をそのままに、丁寧に挨拶をしてまわった。
「妹のアデラインがお世話になっております。
ジェライト伯爵家が長女、アマンダでございます。
少々ズレていることも有るかと思いますが、そこが可愛い我が妹をどうぞ宜しくお願いします。
何かあれば2ーAか、図書室に居りますのでご連絡くだされば幸いです。
あ、宜しければお近づきの印です。こちらをどうぞ」
持っていた手荷物から、冊子を手渡せば、面食らった妹のクラスメイト達は、手渡された冊子をマジマジと見つめる。
「次の試験対策冊子ですわ。1学年全範囲は、参考書として個々に販売しておりますので、ご希望であれば私に直接お声掛けくださいな。…じゃ、アディ、また放課後にね?」
切なそうな顔をした妹の頬を、諭すように優しく撫でてお互いの目的地へと足を進めた。
「な……なんですのコレ?!」
冊子をパラパラとめくって見つめる、妹のクラスメイト達は、驚愕の面持ちで食い入るように見つめていた。
後ろ姿を見えなくなるまで見送った妹は、振り返ってコテリと小首を傾げる。
「お姉様の対策冊子ですけれど?」
「ものすごく字が綺麗な上に、図解付きで優しく詳しい…!ポイントとなる部分にちゃんと印がついていますわ…!」
「そうなのです!お姉様の字はとっても美しくて、筆記体で書かれる字は芸術そのものですの。下手な絵画よりもずぅっと見つめていられますわ」
『いや、それもどうかと思うけど。』やはり空気を読んだクラスメイトは、口には出さなかった。
この冊子のおかげ(?)で、受け取ったクラスメイト達は成績を上げ、噂が広がり、参考書が売れに売れたのは余談である。
しかし、ブローチなどの装飾品を見せても欲しがられず受け取られない。姉からの品物を大事にする姿に感銘を受けて余計に惚れ込むが、そのうち妹と仲良くなった女子生徒が間に入ってガードするようになる。
鉄壁の守りが出来てしまい、何人も撃沈する中「あの娘は観賞用」と共通認識が広まり、不可侵ルールが暗黙のうちに出来上がったのだった。
学園で妹とばったり会ったときには、いつも以上にキラキラとした輝く笑顔を携えて、当然のように腕を広げて早足で近づくとギューギューと抱きつく。
まるで生き別れの肉親に会ったかのような錯覚に陥るが、『朝一緒に通学しているよね?』という言葉は空気を読んであえて誰も発さないのである。
私としても、妹に良くしてくれる妹の同級生に顔を繋ぐためにも、張り付く妹をそのままに、丁寧に挨拶をしてまわった。
「妹のアデラインがお世話になっております。
ジェライト伯爵家が長女、アマンダでございます。
少々ズレていることも有るかと思いますが、そこが可愛い我が妹をどうぞ宜しくお願いします。
何かあれば2ーAか、図書室に居りますのでご連絡くだされば幸いです。
あ、宜しければお近づきの印です。こちらをどうぞ」
持っていた手荷物から、冊子を手渡せば、面食らった妹のクラスメイト達は、手渡された冊子をマジマジと見つめる。
「次の試験対策冊子ですわ。1学年全範囲は、参考書として個々に販売しておりますので、ご希望であれば私に直接お声掛けくださいな。…じゃ、アディ、また放課後にね?」
切なそうな顔をした妹の頬を、諭すように優しく撫でてお互いの目的地へと足を進めた。
「な……なんですのコレ?!」
冊子をパラパラとめくって見つめる、妹のクラスメイト達は、驚愕の面持ちで食い入るように見つめていた。
後ろ姿を見えなくなるまで見送った妹は、振り返ってコテリと小首を傾げる。
「お姉様の対策冊子ですけれど?」
「ものすごく字が綺麗な上に、図解付きで優しく詳しい…!ポイントとなる部分にちゃんと印がついていますわ…!」
「そうなのです!お姉様の字はとっても美しくて、筆記体で書かれる字は芸術そのものですの。下手な絵画よりもずぅっと見つめていられますわ」
『いや、それもどうかと思うけど。』やはり空気を読んだクラスメイトは、口には出さなかった。
この冊子のおかげ(?)で、受け取ったクラスメイト達は成績を上げ、噂が広がり、参考書が売れに売れたのは余談である。
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