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美人な妹と私
広がる格差にも負けない
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母の言葉を聞いて、幼いながらに私は思ったのだ。
家を継ぐ男の子がいない以上、妹の容貌で優秀な他家の令息を釣るのは妥当だな、と。
なので、母の言葉に感情を揺らすことなく、ただ素直に頷いた。母からは変なものを見る様な目で見られたが。
その翌年から、母が参加するお茶会に妹共々連れて行かれるようになった。
と言っても、私が参加するのは身内のお茶会が殆どで、妹だけはどこへでも連れていくという感じではあるのだが。
その身内のお茶会では、挨拶をするなり母のように妹を持ち上げて、私に残念なものを見るような目を向ける人もいれば、「妹に嫉妬してはいけないよ」「努力なさい」と見当違いに勇気付けようとする人もいた。
ハッキリ言って、鬱陶しい事この上ない。
妹が可愛いのは知っているし、というか当たり前だし。母が言うほど「出来が悪い」訳でない私は、母の言を真に受けて勘違いな忠告や励ましをくれる輩に用はないのである。
この顔で出来る最上級の笑顔をニッコリ作ると
「ご忠告いたみいりますわ。
まだ若輩の身なれば、皆様の御高説、有り難く拝聴させていただきます」
と、つっかえる事なく言い放って、教師に太鼓判を押された綺麗なカーテシーを優雅に決めれば、横に立つ妹はキラキラとした賛辞の目を向けてくれ、余計な忠告をする輩は姉妹の関係性を改めて認識して、たじろいでからそそくさと立ち去っていく。
その後ろ姿を見遣りながら、骨のない奴めと鼻をフンと鳴らせば、妹は「お姉様素敵っ!」と腕に抱きつく。これが毎回の流れである。
家を継ぐ男の子がいない以上、妹の容貌で優秀な他家の令息を釣るのは妥当だな、と。
なので、母の言葉に感情を揺らすことなく、ただ素直に頷いた。母からは変なものを見る様な目で見られたが。
その翌年から、母が参加するお茶会に妹共々連れて行かれるようになった。
と言っても、私が参加するのは身内のお茶会が殆どで、妹だけはどこへでも連れていくという感じではあるのだが。
その身内のお茶会では、挨拶をするなり母のように妹を持ち上げて、私に残念なものを見るような目を向ける人もいれば、「妹に嫉妬してはいけないよ」「努力なさい」と見当違いに勇気付けようとする人もいた。
ハッキリ言って、鬱陶しい事この上ない。
妹が可愛いのは知っているし、というか当たり前だし。母が言うほど「出来が悪い」訳でない私は、母の言を真に受けて勘違いな忠告や励ましをくれる輩に用はないのである。
この顔で出来る最上級の笑顔をニッコリ作ると
「ご忠告いたみいりますわ。
まだ若輩の身なれば、皆様の御高説、有り難く拝聴させていただきます」
と、つっかえる事なく言い放って、教師に太鼓判を押された綺麗なカーテシーを優雅に決めれば、横に立つ妹はキラキラとした賛辞の目を向けてくれ、余計な忠告をする輩は姉妹の関係性を改めて認識して、たじろいでからそそくさと立ち去っていく。
その後ろ姿を見遣りながら、骨のない奴めと鼻をフンと鳴らせば、妹は「お姉様素敵っ!」と腕に抱きつく。これが毎回の流れである。
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