1 / 69
美人な妹と私
プロローグ
しおりを挟む
政略結婚で結ばれた温厚な父と、やや気の強い母。父に似て普通な顔の私、そして奇跡が起きたとしか言えない美人な妹。
私の生まれた伯爵家は、この4人で構成されている。妹の美しさ以外は突出したところのない、凡庸な伯爵家である。
母に似たストレートな栗毛に、父に似た柔和…と言えば聞こえはいいが、大きくも小さくもない丸い黒目に、丸い鼻、丸いほっぺ。身長も一般的な高さよりもやや低いのが私。
比べて妹は、色は父に似ているが癖があって緩く波打つ艶やかな黒髪。
私と同じ色だけど、明らかに大きくてキラキラと輝く黒い瞳。抜けるような白い肌に、ほんのりと色付く頬、紅を引かなくても美しく色付く唇。
誰に似たのか、細くすらりと伸びた手足に、細い腰、骨格。
そんな姉妹を比べて、母は明らかに美しい妹を贔屓し、姉である私を蔑ろにしていた。
救いは、そんな美しい妹が母と同じような態度を取らず、「姉様、姉様」と慕ってくれ、母の横暴な態度を諫めてくれる事だった。
まだ幼いにも関わらず美しい容貌の妹が、甘えて慕ってくれれば悪い気はしない。かつ母を諫めて私の味方になってくれるのだ、私は今や立派なシスコンである。
父は仕事が忙しく不在がちで、家のことは母に任せきりだった。偶に家で過ごす時に母から飛び出る差別的な言葉に眉を顰めるも、大した事ではないと結論づけて右から左へと流していた。
そんな中、母は言った。
「我が伯爵家は、妹のアデラインが婿をとって継ぎます。なんの取り柄もない貴女は働きに出て、産んで育てて貰った恩を少しでも返しなさい」
私、アマンダ、10歳の出来事である。
私の生まれた伯爵家は、この4人で構成されている。妹の美しさ以外は突出したところのない、凡庸な伯爵家である。
母に似たストレートな栗毛に、父に似た柔和…と言えば聞こえはいいが、大きくも小さくもない丸い黒目に、丸い鼻、丸いほっぺ。身長も一般的な高さよりもやや低いのが私。
比べて妹は、色は父に似ているが癖があって緩く波打つ艶やかな黒髪。
私と同じ色だけど、明らかに大きくてキラキラと輝く黒い瞳。抜けるような白い肌に、ほんのりと色付く頬、紅を引かなくても美しく色付く唇。
誰に似たのか、細くすらりと伸びた手足に、細い腰、骨格。
そんな姉妹を比べて、母は明らかに美しい妹を贔屓し、姉である私を蔑ろにしていた。
救いは、そんな美しい妹が母と同じような態度を取らず、「姉様、姉様」と慕ってくれ、母の横暴な態度を諫めてくれる事だった。
まだ幼いにも関わらず美しい容貌の妹が、甘えて慕ってくれれば悪い気はしない。かつ母を諫めて私の味方になってくれるのだ、私は今や立派なシスコンである。
父は仕事が忙しく不在がちで、家のことは母に任せきりだった。偶に家で過ごす時に母から飛び出る差別的な言葉に眉を顰めるも、大した事ではないと結論づけて右から左へと流していた。
そんな中、母は言った。
「我が伯爵家は、妹のアデラインが婿をとって継ぎます。なんの取り柄もない貴女は働きに出て、産んで育てて貰った恩を少しでも返しなさい」
私、アマンダ、10歳の出来事である。
59
お気に入りに追加
1,047
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
今更「結婚しよう」と言われましても…10年以上会っていない人の顔は覚えていません。
ゆずこしょう
恋愛
「5年で帰ってくるから待っていて欲しい。」
書き置きだけを残していなくなった婚約者のニコラウス・イグナ。
今までも何度かいなくなることがあり、今回もその延長だと思っていたが、
5年経っても帰ってくることはなかった。
そして、10年後…
「結婚しよう!」と帰ってきたニコラウスに…
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
私が、良いと言ってくれるので結婚します
あべ鈴峰
恋愛
幼馴染のクリスと比較されて悲しい思いをしていたロアンヌだったが、突然現れたレグール様のプロポーズに 初対面なのに結婚を決意する。
しかし、その事を良く思わないクリスが・・。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
暗闇に輝く星は自分で幸せをつかむ
Rj
恋愛
許婚のせいで見知らぬ女の子からいきなり頬をたたかれたステラ・デュボワは、誰にでもやさしい許婚と高等学校卒業後にこのまま結婚してよいのかと考えはじめる。特待生として通うスペンサー学園で最終学年となり最後の学園生活を送る中、許婚との関係がこじれたり、思わぬ申し出をうけたりとこれまで考えていた将来とはまったく違う方向へとすすんでいく。幸せは自分でつかみます!
ステラの恋と成長の物語です。
*女性蔑視の台詞や場面があります。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
自己中すぎる親友の勘違いに巻き込まれ、姉妹の絆がより一層深まったからこそ、お互いが試練に立ち向かえた気がします
珠宮さくら
恋愛
とある国にシャーリー・オールポートという侯爵令嬢がいた。そんな彼女のことを親友だとしつこく言い続けていたのは伯爵令嬢で、これまでも周りはたくさんシャーリーの名前と侯爵家の名前を出して迷惑していた。
そんな彼女が婚約破棄をしようと必死になっているのを知って、シャーリーは不思議に思っていたが、そこからシャーリーの姉のことをどう思っていたかを知ることになる前には、人の話も聞かずにシャーリーは彼女から平手打ちをされていた。
そんなことがあって、シャーリーは姉妹の絆を深めることになるとは思いもしなかった。
いつだって二番目。こんな自分とさよならします!
椿蛍
恋愛
小説『二番目の姫』の中に転生した私。
ヒロインは第二王女として生まれ、いつも脇役の二番目にされてしまう運命にある。
ヒロインは婚約者から嫌われ、両親からは差別され、周囲も冷たい。
嫉妬したヒロインは暴走し、ラストは『お姉様……。私を救ってくれてありがとう』ガクッ……で終わるお話だ。
そんなヒロインはちょっとね……って、私が転生したのは二番目の姫!?
小説どおり、私はいつも『二番目』扱い。
いつも第一王女の姉が優先される日々。
そして、待ち受ける死。
――この運命、私は変えられるの?
※表紙イラストは作成者様からお借りしてます。
ヒロインは辞退したいと思います。
三谷朱花
恋愛
リヴィアはソニエール男爵の庶子だった。15歳からファルギエール学園に入学し、第二王子のマクシム様との交流が始まり、そして、マクシム様の婚約者であるアンリエット様からいじめを受けるようになった……。
「あれ?アンリエット様の言ってることってまともじゃない?あれ?……どうして私、『ファルギエール学園の恋と魔法の花』のヒロインに転生してるんだっけ?」
前世の記憶を取り戻したリヴィアが、脱ヒロインを目指して四苦八苦する物語。
※アルファポリスのみの公開です。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
愛を知らないアレと呼ばれる私ですが……
ミィタソ
恋愛
伯爵家の次女——エミリア・ミーティアは、優秀な姉のマリーザと比較され、アレと呼ばれて馬鹿にされていた。
ある日のパーティで、両親に連れられて行った先で出会ったのは、アグナバル侯爵家の一人息子レオン。
そこで両親に告げられたのは、婚約という衝撃の二文字だった。
(完結)妹の為に薬草を採りに行ったら、婚約者を奪われていましたーーでも、そんな男で本当にいいの?
青空一夏
恋愛
妹を溺愛する薬師である姉は、病弱な妹の為によく効くという薬草を遠方まで探す旅に出た。だが半年後に戻ってくると、自分の婚約者が妹と・・・・・・
心優しい姉と、心が醜い妹のお話し。妹が大好きな天然系ポジティブ姉。コメディ。もう一回言います。コメディです。
※ご注意
これは一切史実に基づいていない異世界のお話しです。現代的言葉遣いや、食べ物や商品、機器など、唐突に現れる可能性もありますのでご了承くださいませ。ファンタジー要素多め。コメディ。
この異世界では薬師は貴族令嬢がなるものではない、という設定です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる