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退屈令嬢は新しいおもちゃに微笑む

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 使われた茶器を片付けるべく、侍女が壁際からエレノアに近づき声をかける。


「お下げします。
 それにしても、疎遠だった殿下が見違えるように過保護にお成りですね」
「うふふ、ちょっとやり過ぎたかしら?」

「いえ、卒業後間も無く婚姻でございますから、ちょうど良いかと。
 ただ、後半年以上我慢を強いられる殿下がお気の毒ではありますが…」


侍女はエレノアに遊ばれるであろう不憫なメイナードに、内心で謝罪と合掌を送る。


「そこは精神修行の一環と思っていただければ良いのではないかしら。うふふ」
「……あまり殿方の理性をお試しにならない方が宜しいですよ?」
「私にとっても匙加減の見極めに役立ちそうよね?
 まずは服装のボーダーラインからかしら?」

「お嬢様、程々でお願いいたします…!」
「あら、そこまで心配しなくても婚姻まで純潔は守るわよ」


 エレノア付きの侍女は、エレノアが幼少の頃より付き従っているため、少々無謀な所もある性格を知っている。

 生まれ持った容姿を磨き上げ、立ち居振る舞いを完璧に学び、どうすれば人を引きつけ、悲しげな表情を浮かべれば周りがどう反応するかも自邸内で実験していた。

 浮かべる涙の量まで調整できるのではないかと言うのが、公爵家使用人一同の見解である。

 人との駆け引きや、決定しかけたことをちょっとした動きや言葉で上手くひっくり返すのが趣味と言って良いほどなエレノアだが、汚い手は使わずあくまで自身の魅力や振る舞いしか使わないので、皆「しょうがないな」と暖かく見守っているのだが。


「上手く調整するわよ」
「ええ、公爵家一同、心よりっ信じております」


 彼女の性格をよく知る侍女は、心からそう願い、少々強調して口にするのであった。



 エレノアが復帰した後、メイナードは彼女の体調を慮り、メイナード自ら公爵邸へと頻繁に赴く様になる。

 公爵邸内で、どんな際どい調が行われたかは知るべくも無いが、帰り際のメイナードの顔が赤かったり、鼻を押さえていたり、やや前へ屈んだ様な体勢で王宮への馬車に乗り込むところを見ると…………



~~完~~
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みんなの感想(44件)

ゆん
2021.07.19 ゆん

興味が湧きアプリを落として検索から参りました。
テンポよく変わるお話とお嬢様の頭の良さ、キレの良さ、そこから周りの令嬢達の関係も変えていくなんて、天才過ぎてとても楽しく読めました!!!

素敵なお話をありがとうございます

ユウキ
2021.07.19 ユウキ

ありがとうございます♪

嬉しいお言葉に感涙です(´°̥̥̥̥̥̥̥̥ω°̥̥̥̥̥̥̥̥`)❤︎
描けば描くほどお腹が黒くなっていく主人公にビクビクしていた作品だったんです(笑

解除
k
2021.03.26 k

とても面白かったです。
何とも優雅で艶やか。
登場人物すべてが魅力的で、
胸踊る素敵で爽快な物語でした。
楽しい時間を凄させて頂きました。
ありがとうございます。

ユウキ
2021.03.26 ユウキ

ありがとうございます♪

嬉しいお言葉に感涙でございます(´°̥̥̥̥̥̥̥̥ω°̥̥̥̥̥̥̥̥`)❤︎
投稿してよかったです。ありがとうございました(.◜ω◝.)

解除
ゆづはる
2021.03.11 ゆづはる

フィクサーとは新しい!
テンポも良いし面白すぎで読み終わるのが残念なくらいでした。コロコロされる王太子のその後を見てみたいですね〜
他作品も面白かったのでお気に入り登録しました!これからも素敵な作品を期待してます!

ユウキ
2021.03.11 ユウキ

ありがとうございます♪

そう言っていただけると嬉しいです(*≧艸≦)❤︎

現在投稿中のは180度異なる暗い感じですが、此方もどうぞ覗いてむてくださいまし(o´罒`o)

解除

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