37 / 41
向かい合う二人
しおりを挟む
「…あんた…!あんたのせいでこんな所に居るのよ?!機嫌がいいわけないでしょ!!」
「レディは大声を出すものではなくてよ?
それに私のせい…?ウフフ…どうしてかしら?」
「あんたが私を引っ張って…!自分で落ちて行ったくせに!!」
クレアが勢いよく掴みかかった鉄の柵がガシャン!っと音を上げる。
ギリギリと奥歯を噛み締め睨む顔は、小動物のように可愛いなどと形容できないものへと変貌していた。
「クスクス…私、嘘は言ってないわ。
貴女も言いたいなら、そうなさったら如何?
どう受け取られるかは相手方の、心証次第だけれど」
「はぁ?!」
「例えば肉食獣の群れから怪我を負った草食動物が出てくれば、誰しも肉食獣が襲って怪我を負ったと思い、同情して保護するでしょう?
貴女が殿方に嘘を囁いてしたことがこれね。
私は自身を肉食獣ではなく、怪我を負った草食動物であると周囲に認識させたの。
同じように、貴方の周りに草食動物を散らして、貴女の負った怪我は自身で負ったのだと認識を塗り替えたの。
最後に私が目の前で傷を負い、貴女を草食動物ではなく、あれこそが危険な肉食動物であると見せつけてあげたの。
でもね、貴女と違って私は何一つ嘘はついていないのよ?貴女と同じように、思わせただけよ?」
「な…!悪役令嬢のくせに!!!私の邪魔するなんて許せないっっ!!!」
ガシャンガシャン!と音を立て続ける柵を微笑んだまま見つめ、エレノアは優しく声を掛ける。
「あら、だったら正直に訴えてご覧なさいな。ただ、除籍程度で済まないかもしれないわ。
最悪の場合、貴女の首が家の門に飾られかねない事を、念頭に置くことをお勧めするわ」
「レディは大声を出すものではなくてよ?
それに私のせい…?ウフフ…どうしてかしら?」
「あんたが私を引っ張って…!自分で落ちて行ったくせに!!」
クレアが勢いよく掴みかかった鉄の柵がガシャン!っと音を上げる。
ギリギリと奥歯を噛み締め睨む顔は、小動物のように可愛いなどと形容できないものへと変貌していた。
「クスクス…私、嘘は言ってないわ。
貴女も言いたいなら、そうなさったら如何?
どう受け取られるかは相手方の、心証次第だけれど」
「はぁ?!」
「例えば肉食獣の群れから怪我を負った草食動物が出てくれば、誰しも肉食獣が襲って怪我を負ったと思い、同情して保護するでしょう?
貴女が殿方に嘘を囁いてしたことがこれね。
私は自身を肉食獣ではなく、怪我を負った草食動物であると周囲に認識させたの。
同じように、貴方の周りに草食動物を散らして、貴女の負った怪我は自身で負ったのだと認識を塗り替えたの。
最後に私が目の前で傷を負い、貴女を草食動物ではなく、あれこそが危険な肉食動物であると見せつけてあげたの。
でもね、貴女と違って私は何一つ嘘はついていないのよ?貴女と同じように、思わせただけよ?」
「な…!悪役令嬢のくせに!!!私の邪魔するなんて許せないっっ!!!」
ガシャンガシャン!と音を立て続ける柵を微笑んだまま見つめ、エレノアは優しく声を掛ける。
「あら、だったら正直に訴えてご覧なさいな。ただ、除籍程度で済まないかもしれないわ。
最悪の場合、貴女の首が家の門に飾られかねない事を、念頭に置くことをお勧めするわ」
151
お気に入りに追加
2,785
あなたにおすすめの小説

婚約破棄ですか、すでに解消されたはずですが
ふじよし
恋愛
パトリツィアはティリシス王国ラインマイヤー公爵の令嬢だ。
隣国ルセアノ皇国との国交回復を祝う夜会の直前、パトリツィアは第一王子ヘルムート・ビシュケンスに婚約破棄を宣言される。そのかたわらに立つ見知らぬ少女を自らの結婚相手に選んだらしい。
けれど、破棄もなにもパトリツィアとヘルムートの婚約はすでに解消されていた。
※現在、小説家になろうにも掲載中です


別れたいようなので、別れることにします
天宮有
恋愛
伯爵令嬢のアリザは、両親が優秀な魔法使いという理由でルグド王子の婚約者になる。
魔法学園の入学前、ルグド王子は自分より優秀なアリザが嫌で「力を抑えろ」と命令していた。
命令のせいでアリザの成績は悪く、ルグドはクラスメイトに「アリザと別れたい」と何度も話している。
王子が婚約者でも別れてしまった方がいいと、アリザは考えるようになっていた。
覚悟は良いですか、お父様? ―虐げられた娘はお家乗っ取りを企んだ婿の父とその愛人の娘である異母妹をまとめて追い出す―
Erin
恋愛
【完結済・全3話】伯爵令嬢のカメリアは母が死んだ直後に、父が屋敷に連れ込んだ愛人とその子に虐げられていた。その挙句、カメリアが十六歳の成人後に継ぐ予定の伯爵家から追い出し、伯爵家の血を一滴も引かない異母妹に継がせると言い出す。後を継がないカメリアには嗜虐趣味のある男に嫁がられることになった。絶対に父たちの言いなりになりたくないカメリアは家を出て復讐することにした。7/6に最終話投稿予定。

酒の席での戯言ですのよ。
ぽんぽこ狸
恋愛
成人前の令嬢であるリディアは、婚約者であるオーウェンの部屋から聞こえてくる自分の悪口にただ耳を澄ませていた。
何度もやめてほしいと言っていて、両親にも訴えているのに彼らは総じて酒の席での戯言だから流せばいいと口にする。
そんな彼らに、リディアは成人を迎えた日の晩餐会で、仕返しをするのだった。

玉の輿を狙う妹から「邪魔しないで!」と言われているので学業に没頭していたら、王子から求婚されました
歌龍吟伶
恋愛
王立学園四年生のリーリャには、一学年下の妹アーシャがいる。
昔から王子様との結婚を夢見ていたアーシャは自分磨きに余念がない可愛いらしい娘で、六年生である第一王子リュカリウスを狙っているらしい。
入学当時から、「私が王子と結婚するんだからね!お姉ちゃんは邪魔しないで!」と言われていたリーリャは学業に専念していた。
その甲斐あってか学年首位となったある日。
「君のことが好きだから」…まさかの告白!

婚約したがっていると両親に聞かされ大事にされること間違いなしのはずが、彼はずっととある令嬢を見続けていて話が違いませんか?
珠宮さくら
恋愛
レイチェルは、婚約したがっていると両親に聞かされて大事にされること間違いなしだと婚約した。
だが、その子息はレイチェルのことより、別の令嬢をずっと見続けていて……。
※全4話。

可愛い妹を母は溺愛して、私のことを嫌っていたはずなのに王太子と婚約が決まった途端、その溺愛が私に向くとは思いませんでした
珠宮さくら
恋愛
ステファニア・サンマルティーニは、伯爵家に生まれたが、実母が妹の方だけをひたすら可愛いと溺愛していた。
それが当たり前となった伯爵家で、ステファニアは必死になって妹と遊ぼうとしたが、母はそのたび、おかしなことを言うばかりだった。
そんなことがいつまで続くのかと思っていたのだが、王太子と婚約した途端、一変するとは思いもしなかった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる