退屈令嬢のフィクサーな日々

ユウキ

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向かい合う二人

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「…あんた…!あんたのせいでこんな所に居るのよ?!機嫌がいいわけないでしょ!!」

「レディは大声を出すものではなくてよ?
 それに私のせい…?ウフフ…どうしてかしら?」
「あんたが私を引っ張って…!自分で落ちて行ったくせに!!」


 クレアが勢いよく掴みかかった鉄の柵がガシャン!っと音を上げる。
 ギリギリと奥歯を噛み締め睨む顔は、小動物のように可愛いなどと形容できないものへと変貌していた。


「クスクス…私、嘘は言ってないわ。
 貴女も言いたいなら、そうなさったら如何?
 どう受け取られるかは相手方の、心証次第だけれど」
「はぁ?!」

「例えば肉食獣の群れから怪我を負った草食動物が出てくれば、誰しも肉食獣が襲って怪我を負ったと思い、同情して保護するでしょう?
 貴女が殿方に嘘を囁いてしたことがこれね。
 私は自身を肉食獣ではなく、怪我を負った草食動物であると周囲に認識させたの。
 同じように、貴方の周りに草食動物を散らして、貴女の負った怪我は自身で負ったのだと認識を塗り替えたの。
 最後に私が目の前で傷を負い、貴女を草食動物ではなく、あれこそが危険な肉食動物であると見せつけてあげたの。
 でもね、貴女と違って私は何一つ嘘はついていないのよ?貴女と同じように、思わせただけよ?」

「な…!悪役令嬢のくせに!!!私の邪魔するなんて許せないっっ!!!」


 ガシャンガシャン!と音を立て続ける柵を微笑んだまま見つめ、エレノアは優しく声を掛ける。


「あら、だったら正直に訴えてご覧なさいな。ただ、除籍程度で済まないかもしれないわ。
 最悪の場合、貴女の首が家の門に飾られかねない事を、念頭に置くことをお勧めするわ」
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