24 / 41
目撃者は静かに微笑む
しおりを挟む
クレアは拘束されたまま、学園内にある警備室に連れて行かれた。恐らく先程の顛末の聞き取りが行われるのであろう。
皆が粗方去った後、ローランドは各方面に知らせを飛ばし終わってから警備室に向けて歩を進めた。
メイナードに任されたからには、側近であるローランドには、全てを明らかにして報告する義務が発生するのだ。
向かう道すがら、ローランドは状況を冷静に考察する。
ダンスの授業は女子生徒は練習用の簡素なドレスへ、男子生徒は体の線が判るようにシャツと黒い細身のパンツに着替えるために、他の授業より終わりが早い。そのため、あの時間の大階段周辺はほぼ無人である。
目撃者は居ないかもしれないなと、第三者の証言が無いという状況にローランドは眉間にシワを寄せてしまう。
その時、練習着のドレスをきた女子生徒が、足早に歩くローランドを呼び止めるべく声をかけてきた。
よく見ると、先程エレノアの欠席の伝言を頼んだ女子生徒ではないだろうか?着替え終えていないところを見ると、伝言の役目を果たした後、急いで戻ってきたのだろうか。
「あの……シュートルト様…よろしいでしょうか?」
その女子生徒はローランドへ近寄ると、躊躇いながら彼女が見た光景を途切れ途切れに話した。
「……そうですか、お手数ですが一緒に来てくださいますか?」
「はい、もちろんです」
真剣な面持ちで返事を返したその彼女── エレノアと同じクラスであり、公爵を主人と仰いだ手駒である彼女は、静かな微笑みを称えたままローランドの後について行ったのだった。
皆が粗方去った後、ローランドは各方面に知らせを飛ばし終わってから警備室に向けて歩を進めた。
メイナードに任されたからには、側近であるローランドには、全てを明らかにして報告する義務が発生するのだ。
向かう道すがら、ローランドは状況を冷静に考察する。
ダンスの授業は女子生徒は練習用の簡素なドレスへ、男子生徒は体の線が判るようにシャツと黒い細身のパンツに着替えるために、他の授業より終わりが早い。そのため、あの時間の大階段周辺はほぼ無人である。
目撃者は居ないかもしれないなと、第三者の証言が無いという状況にローランドは眉間にシワを寄せてしまう。
その時、練習着のドレスをきた女子生徒が、足早に歩くローランドを呼び止めるべく声をかけてきた。
よく見ると、先程エレノアの欠席の伝言を頼んだ女子生徒ではないだろうか?着替え終えていないところを見ると、伝言の役目を果たした後、急いで戻ってきたのだろうか。
「あの……シュートルト様…よろしいでしょうか?」
その女子生徒はローランドへ近寄ると、躊躇いながら彼女が見た光景を途切れ途切れに話した。
「……そうですか、お手数ですが一緒に来てくださいますか?」
「はい、もちろんです」
真剣な面持ちで返事を返したその彼女── エレノアと同じクラスであり、公爵を主人と仰いだ手駒である彼女は、静かな微笑みを称えたままローランドの後について行ったのだった。
45
お気に入りに追加
2,734
あなたにおすすめの小説
復讐は合わせ鏡のように─『私』を殺してでも絶対に許しませんわ!
naturalsoft
恋愛
シオン・ローゼンクロイツ公爵令嬢は、この国の王太子であるジーク・サザンクロス王子と婚約関係にあった。
しかし、学園でとある転入生が来たことで平和な日常が変わってしまった。
婚約のジーク王子がその転入生、マリア男爵令嬢に夢中になってしまったのだ。しかも、側近の高位貴族の子息達も同じく夢中となり、学園生活はメチャクチャになっていった。
そしてついに婚約破棄の出来事に発展していく─
事前にその気配を察知した、頭の切れる公爵令嬢は裏でその計画を潰そうと動いたが、予期せぬ事に逆上した王子に殺されてしまう。
公爵家の抗議を握り潰し、マリア令嬢と婚約を結び直して、幸せを満喫するジーク王子は気付かなかった。
その怨みは死なずに生き続けていることに………
断罪シーンを自分の夢だと思った悪役令嬢はヒロインに成り代わるべく画策する。
メカ喜楽直人
恋愛
さっきまでやってた18禁乙女ゲームの断罪シーンを夢に見てるっぽい?
「アルテシア・シンクレア公爵令嬢、私はお前との婚約を破棄する。このまま修道院に向かい、これまで自分がやってきた行いを深く考え、その罪を贖う一生を終えるがいい!」
冷たい床に顔を押し付けられた屈辱と、両肩を押さえつけられた痛み。
そして、ちらりと顔を上げれば金髪碧眼のザ王子様なキンキラ衣装を身に着けたイケメンが、聞き覚えのある名前を呼んで、婚約破棄を告げているところだった。
自分が夢の中で悪役令嬢になっていることに気が付いた私は、逆ハーに成功したらしい愛され系ヒロインに対抗して自分がヒロインポジを奪い取るべく行動を開始した。
逆行令嬢は聖女を辞退します
仲室日月奈
恋愛
――ああ、神様。もしも生まれ変わるなら、人並みの幸せを。
死ぬ間際に転生後の望みを心の中でつぶやき、倒れた後。目を開けると、三年前の自室にいました。しかも、今日は神殿から一行がやってきて「聖女としてお出迎え」する日ですって?
聖女なんてお断りです!
悪役令嬢はざまぁされるその役を放棄したい
みゅー
恋愛
乙女ゲームの悪役令嬢に転生していたルビーは、このままだとずっと好きだった王太子殿下に自分が捨てられ、乙女ゲームの主人公に“ざまぁ”されることに気づき、深い悲しみに襲われながらもなんとかそれを乗り越えようとするお話。
切ない話が書きたくて書きました。
転生したら推しに捨てられる婚約者でした、それでも推しの幸せを祈りますのスピンオフです。
村八分にしておいて、私が公爵令嬢だったからと手の平を返すなんて許せません。
木山楽斗
恋愛
父親がいないことによって、エルーシャは村の人達から迫害を受けていた。
彼らは、エルーシャが取ってきた食べ物を奪ったり、村で起こった事件の犯人を彼女だと決めつけてくる。そんな彼らに、エルーシャは辟易としていた。
ある日いつものように責められていた彼女は、村にやって来た一人の人間に助けられた。
その人物とは、公爵令息であるアルディス・アルカルドである。彼はエルーシャの状態から彼女が迫害されていることに気付き、手を差し伸べてくれたのだ。
そんなアルディスは、とある目的のために村にやって来ていた。
彼は亡き父の隠し子を探しに来ていたのである。
紆余曲折あって、その隠し子はエルーシャであることが判明した。
すると村の人達は、その態度を一変させた。エルーシャに、媚を売るような態度になったのである。
しかし、今更手の平を返されても遅かった。様々な迫害を受けてきたエルーシャにとって、既に村の人達は許せない存在になっていたのだ。
完結 冗談で済ますつもりでしょうが、そうはいきません。
音爽(ネソウ)
恋愛
王子の幼馴染はいつもわがまま放題。それを放置する。
結婚式でもやらかして私の挙式はメチャクチャに
「ほんの冗談さ」と王子は軽くあしらうが、そこに一人の男性が現れて……
婚約破棄の、その後は
冬野月子
恋愛
ここが前世で遊んだ乙女ゲームの世界だと思い出したのは、婚約破棄された時だった。
身体も心も傷ついたルーチェは国を出て行くが…
全九話。
「小説家になろう」にも掲載しています。
【 完結 】「婚約破棄」されましたので、恥ずかしいから帰っても良いですか?
しずもり
恋愛
ミレーヌはガルド国のシルフィード公爵令嬢で、この国の第一王子アルフリートの婚約者だ。いや、もう元婚約者なのかも知れない。
王立学園の卒業パーティーが始まる寸前で『婚約破棄』を宣言されてしまったからだ。アルフリートの隣にはピンクの髪の美少女を寄り添わせて、宣言されたその言葉にミレーヌが悲しむ事は無かった。それよりも彼女の心を占めていた感情はー。
恥ずかしい。恥ずかしい。恥ずかしい!!
ミレーヌは恥ずかしかった。今すぐにでも気を失いたかった。
この国で、学園で、知っていなければならない、知っている筈のアレを、第一王子たちはいつ気付くのか。
孤軍奮闘のミレーヌと愉快な王子とお馬鹿さんたちのちょっと変わった断罪劇です。
なんちゃって異世界のお話です。
時代考証など皆無の緩い設定で、殆どを現代風の口調、言葉で書いています。
HOT2位 &人気ランキング 3位になりました。(2/24)
数ある作品の中で興味を持って下さりありがとうございました。
*国の名前をオレーヌからガルドに変更しました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる